メラウ難民キャンプで活躍する謄写版!
ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所の小野です。
今日は、先週、メラウのキャンプ委員会で見つけた、懐かしの謄写版(とうしゃばん)をご紹介します。
この写真を見るだけで、涙が出る・・・という人は相当に通な方です!
ロネオ印刷機用インク、ボールペン原紙、ローラー・・・汚れ作業をしながら一枚一枚印刷する姿が浮かびますね。
謄写版は100年以上前に日本で生まれた万能印刷器で、日本の軍隊、教育界などで大活躍しました。それがSVAの創成期に、電気のないところで本を作り、それを図書館に配架する・・・という感じで、当時のカンボジア難民キャンプ、ラオス難民キャンプで大活躍したのです。私たちの大先輩たちの勇士がダブります。
私個人としても、SVAのラオス事務所で1993年から教材開発事業を担当し、ラオスじゅうの小学校に謄写版を普及した経験もあり、ほおずりしたくなるようなかわいさです。
こんな風にリサイクルできる原紙をぶら下げて取っておくところも懐かしい!
ちなみに、この原紙を作成する方法ですが、鉄筆とヤスリで手書き・・・ではありませんでした。PCのワープロでカレン語を打ってそれを「ドットプリンター」という特殊なプリンターにボールペン原紙をはさめて印刷するやり方をとっていました。それらを置いてある小さな部屋をのぞかせてもらったのですが、あまりの興奮に写真を撮るのを忘れてしまいました。
特殊といっても今となっては特殊になってしまったという意味で、日本もPCの導入初期にはインクリボンを使うこの印刷機を使っていたと思います。
こんな風に簡単に何枚でも印刷できるのは便利ですよね。謄写版は今でもこうして難民キャンプのマネジメントに生かされているのです!
かなり前になりますが、図書館にも謄写版を配布して図書館員らに使ってもらっていたことがあります。しかし、壊れてまったり、使うのが苦手だったり、汚れ仕事が嫌いだったり、だんだんと使用度が減って、今では図書館員室という倉庫に眠っているか、廃棄処分になったものも多いと思います。
そんな中で、メラウでは、キャンプ委員会事務所の一角を堂々と占有していた・・・すばらしいことです。
こうしたローテクを大切に維持している(維持せざる得ない、とも言えますが)キャンプ委員会にも頭が下がりますが、タイの難民キャンプにおいて、歴史的に自主印刷の文化を普及したSVAの「種まき力」にもすごいものがあります。
皆さんも、ぜひメラウキャンプの謄写版を見に来て下さい!
小野豪大