モバイルライブラリー活動 ATS(アジアの図書館サポーター)
さばいでぃ!
SVAラオス事務所でインターンとして活動中の大学院生、西岡悠美子です。
ラオスの現状を、目で見て、感じて知りたい!という思いでラオスにやってきました。今回、
インターン中最も印象深かったモバイルライブラリー&ATSカードの紹介を致します!!
■SVAラオス事務所の事業
1..図書館活動・青少年育成事業
・モバイルライブラリーと各県の県立図書館の支援等
※今回、このモバイルライブラリー部分を紹介!
2.学校支援事業
・学校建設
・学校運営、教員研修、教材開発提供等
■モバイルライブラリー(移動図書館)
・1ターム12ヶ月間で、毎週火・水に3校、約3時間/1校で小学校を訪問
・図書サービスを各地域の小学校に提供、歌や本の読み聞かせ等のアクティビティも実施
・ヴィエンチャン首都公共図書館と情報文化省の公務員の方も一緒に向かい、ナレッジ共有も行う
※この活動で小学校訪問する際に、ATSカードは作成されます!
■ATSカード:SVAに寄付して下さっているドナーの方に送るカードのこと。
■モバイルライブラリー、1日のスケジュール
(参加:ミンチェンスタッフ、2名のラオス人公務員の方、2名のインターン(私はこのうちの1名))
9月13日(火)
09:00 SVAオフィスを出発
10:00 小学校1校目訪問 ★今回この小学校での活動に焦点をあてて書きますっ!
12:30 ランチタイム
13:30 小学校2校目訪問
15:00 村のタラ-ト(市場)に寄る
16:30 オフィス帰宅
■訪れた小学校
・サイタニー郡、ポーンガーム小学校
・少数民族とラオ族の児童が50:50の割合で所属
・SVAでは、毎年より厳しい環境下にある小学校を選定した上で活動を行っています。この小学
校も、少数民族の割合が多く、モン語等を話し共通言語のラオ語を話さない小学生が多くいます
・多くは3年生頃になると、ラオ語が使用可能になってくるという事
>集合写真 ※ちょっと警戒気味
■SVAのモバイルライブラリー活動による児童への良い影響
・本を読みたい!という子どものモチベーションを起こすモバイルライブラリーは、上記で挙げた少数民族の子どもを始め、多くの児童の識字率向上に貢献しています
・先生にインターヴューした所、活動が始まった今年の1月以前と、現在では、子どもの教科書に対する姿勢が変わったとおっしゃっていました
・1つ目の変化は、ラオスにはあまり無い絵本の絵にまず興味を持ち、次にその絵が何かを知りたいという気持ちから字を読む様に努力する様になったという事
・2つ目の変化は、その様に本、字を読むことに子どもが慣れ、字を読む事への抵抗感が減った事だという事です
■上記活動に参加して考えた事 ※推測で書いている部分が多くあります。すみません
今回、SVAの図書館活動を通じて、初めて「ノンフォーマル教育」「ライフスキル教育」「非認知的能力の育成」が重要であるという認識を持つ様になった。実は、図書館活動に関して詳細を知る前には、フォーマル教育により学習達成度等の認知的能力がアップすれば、それが発展に繋がると考え、それ以上の教育は必要ないのではないかと、薄々思っていた面があったからである。しかし、実際は、<他社と友好的な関係を築く><他社に共感することが出来る>といった、日常起こる問題に対処し、解決していく力と定義されるライフスキル等を含めた「非認知的能力」を育成する事が、重要であるということを知った。これは、ライフスキルに関しては、教育開発における世界基準である、Education forAll「ダカール行動枠組み5」においても言及されており、世界的コンセンサスを得た重要性の認識であると言えるだろう。何故、これらの教育が重要かというと、これらが1国を反映させていく際に必要と思われる社会統合の促進において、「多文化共生」といった価値観やもののとらえ方、考え方を子ども達の中に醸成する効果があるという点からだと言われている様である。これは、49もの民族を抱え、統合の難しく見えるラオス国にとっては、非常に重要な教育の1つではないかと考えた。現在は、最貧国として他国との格差はあるものの、周辺国のタイやベトナムと比較すれば、恐らく農村部と都市部等、国内での格差は小さいものではないかと感じている。しかし、今後、国の発展が進み、格差が広まる事により、民族間に亀裂が生じ始めるということは、往々にして考えられるではないだろうか。特に、言語の違いにより、既に少数民族の方が職業を得難いという問題は発生している。今後、この民族間の格差が拡大した場合に、国内で生じる課題を他国の様に、暴力の力で解決するのか、または、お互いの違いを認識した上で、協調しながら、国全体で発展に臨むことが出来るのか、これは、未だ現在最貧困国であり、且つ、国内の格差が他国程顕著でなく、更に少数民族のアイデンティティが他国と比較して保存され続けている例として珍しいのではないかと予想されるラオス国において、今のこの段階でどの様な国の政策、特に、今後のラオス国を担う子ども達への教育政策を取るか、そして、その政策を共につくり、サポートしていくドナー達の手腕にかかっているのではないかと考えた。そんなラオス国の教育環境の中で、ミンチェンお兄さんの移動図書館活動は、非常に重要な位置を占めていると感じた。そして、今後の活動の継続、促進を図る為にも、このATSカードがいかに重要なものであるかという事を感じた。
*完*