2025.12.12
海外での活動

ラオス 教員研修を実施しました!

ラオス
活動風景

ສະບາຍດີ(サバイディ:こんにちは)、ラオス事務所のオイです。

シャンティ ラオス事務所は11月後半から12月の頭にかけて、教員研修を実施しました。それぞれ5日間に渡る研修で、対象の2郡から合わせて約60名の教員が参加しました。

教員研修の様子

本研修では、教員が教育現場の背景や少数民族児童のニーズを踏まえ、国語(ラオス語)の授業における指導力を高めることを目的として、次の3つの研修目標を設定しました。

CPD (Continuing Professional Development: 継続的な職能開発) システムについて参加者が理解する

小学校教員がラオス語教科の指導力向上のために行う活動について体験を通して参加者が理解する

ラオス語教科の継続的な職能開発のための活動計画を作成する

これらの目標を達成するため、今回の研修では参加者が実際に「体験」することに重点を置いて、プログラムの構成を行いました。特に、ラオス語教科の指導力向上のための活動を紹介する題目では、活動内容を説明した後に、グループに分かれ実際にそれをやってみる時間を長く設けました。

具体的には、「ラオス語教科指導書の学習と教員同士の学び合い」、「補助教材やマテリアルの開発」、「ラオス語授業計画書の学び合い」等が挙げられます。その他、児童の学習達成度を測り課題に応じた対策を講じたり、オンラインで視聴・入手可能な教員用の学習ツールでラオス語授業の良い例等を学び、それを自分の授業で活かすための模擬実践等も行ったりしました。

グループワークにて参加者が指導書や教科書について学んでいる様子

 

補助教材の有効的な活用について協議している様子

 

教育スポーツ省のYouTubeチャネルでラオス語の授業の良い例を閲覧している様子

 

児童が取り組む練習問題を作りそれを使って模擬実践している様子

なんといっても今回の目玉は、教員が実際に授業案を作成して、その授業を近隣校で実施し、研修会場に戻りみんなで振り返りを行うグループワークでした。今回授業を実施することとなった教員は、翌日に控える本番に向けて一生懸命授業案を書いたり、児童がグループワークで使うカードや表などを作成したりしていました。時々、授業の構成や活動を計画する際に、教員同士で教え合ったり学び合ったりしている姿も見られました。

実際に授業が始まると、前日に作った授業計画に則って、時に修正を加えながらも生き生きとそして真剣に子どもたちにラオス語を教えていました。

研修会場の近隣校で前日に準備した授業を実施している様子①

 

研修会場の近隣校で前日に準備した授業を実施している様子②

 

今回授業を実施しなかった教員たちは、授業の観察に専念し記録を取り、この後の振り返りで良かった点や改善点等について積極的に話し合いました。

その他の教員が授業観察シートを用いて授業の記録を取っている様子

 

授業の振り返りで他の指導法を模擬実践し有効性等について検証している様子

今回の研修の目指すところは、ここで体験した活動(「授業観察と振り返り」や「ラオス語教科指導書の学習と学び合い」、「補助教材やマテリアルの開発」等)つまり、学校におけるCPD(教員によるラオス語教科の指導力の職能開発)の活動を実際にそして継続的に各学校で行ってもらうことです。

そのため、シャンティは県・郡の教育スポーツ局や教員養成校の職員と共に、対象校の教員が継続して活動を実施するための支援やシステムの構築について約3カ月に渡り協議を重ねてきました。

協議の結果、私たちは次のような対策を講じることを決めました。例えば、学校におけるCPDの活動を先導し、教育行政職員に活動の報告を行うIPS(アイ・ピー・エス)と呼ばれる役職を配置したり、WhatsAppという連絡機能アプリを使用して、IPSの報告から許育行政職員が「困りごと」や質問に即時に対応したりできる仕組みを作りました。その他、今回の研修の目標の一つでもあるラオス語教科の継続的な職能開発のための活動計画作成も教員が各校で持続的に成長していくための戦略の一つです。

県・郡の教育スポーツ局や教員養成校の職員との協議の様子やIPSへのオリエンテーションの様子については、先日掲載したブログ記事よりご確認下さい。

ラオス 教員研修に向けた第一回計画会議を開催しました

ラオス 少数民族児童のための教員のラオス語授業能力向上に向けた取り組み

対象1郡においてIPSに任命された教員たち

 

ラオス語教科の継続的な職能開発のための活動計画を作成している様子

上記の仕組みや取り組みに加えて、これからはモニタリングも実施していきます。対象校の教員が実際に各校で活動を実施しているかの確認はもちろんのこと、実際にラオス語の授業を観察・記録し教員の指導力が向上しているかを調査し、適切なフィードバックを行います。

このようにして、教員自らが受け持つ少数民族児童のために、より効果的で子どもたちのニーズに即したラオス語教科の授業が実施できるよう支援していきます。

今後も、モニタリングの様子やその他の活動(読書推進活動や村落教育開発委員会の活動等)についてもブログを掲載し紹介していきますので、ぜひご覧ください。

 

ラオス事務所 オイ

本事業は、JICA草の根技術協力事業の助成によって実施しています。