2016.08.21
海外での活動

絵本が子どもたちの手に届く

ラオス

サバイディー!
はじめまして、ラオス事務所で研修させて頂いております、法政大学2年の齋藤開です。ラオスにきて早くも2週間が経ちこの研修も折り返し地点まで来ました。

さて、この2週間の研修で私が感じた事を一つピックアップして書かせていただきたいと思います。先週、シャンティラオス事務所が事業地として支援を行っているルアンパバーン県ヴィエンカム郡への出張に同行させていただきました。今回の出張の目的は、ヴィエンカム郡の教員を対象に読書推進活動、簡単に言えば絵本の講習会を行うためです。

今回は9つの学校における15人の教員を対象に行われました。1校につき2人の教員に来てもらう講習会であるため本来なら18人になるはずですが1つの学校に1人の先生しかいない学校もあり、農村地での教員の少なさが垣間見えます。この講習会では2日間にわたり主に読書の重要性や本の管理方法、読み聞かせの方法などを伝え、読み聞かせの練習の場を設けたものです。

私がこの講習会を通して感じたことは、自らの常識を捨てることの重要性です。上記に本の管理方法と書きました。管理方法といっても様々なことですがその中の一つに「本のページが破れたり取れかかっていたりしたら透明のテープを貼って修復する」といった内容のものがありました。率直に「そんなことまで教えるんだ」という感想を持ちました。
しかし、このことは彼ら教員にとっては必要なことです。我々にとっては、できて当たり前のことかもしれません。でも、絵本に触れる機会が乏しい教員の方々にとってこれは知らないことであり重要なことなのです。私はこのことから自らの視野の狭さに気づかされました。

また、なぜこのような講習会を行うのかといった理由を考えても同じ答えが出てきます。日本ではほとんどすべての人が絵本を知っているでしょう。多くの人々が読み聞かせを聞き、絵本を読んで育ってきたと思います。ほとんどの幼稚園や小学校に絵本は配備されており、私たちにとって絵本は当たり前の存在であるかもしれません。ですから、例えば私たちが誰かから絵本をもらったとしてもそこに説明の必要はありません。
しかし、それはすべての国で同様であるとは言えません。実際に、この講習会を通して初めて絵本に触れる教員の方もいるとのことです。

絵本に向き合う教員の方々
絵本に向き合う教員の方々

そんな教員の方々に、ただ絵本を配布するだけでその絵本たちはちゃんと利用されるでしょうか。職員の方からお話を聞いたところ、以前同様の講習会を行った後に、とある教員の方が「前にシャンティ以外からもらった絵本の扱い方がようやくわかってこれから活用できそう。ありがとう。」という言葉をいただいたそうです。時々このようなコメントをもらうことがあるらしく、聞くところによると絵本を配布する団体は他にもあり、学校によってはすでに絵本があったりするそうです。

しかし扱い方がわからないから実際に利用したことはなく倉庫に眠ってしまっているというケースが多々あるといった現状を聞きました。このようにせっかく絵本をもらっても無駄にしてしまっていたといった実態がありました。絵本を配りさえすれば自分たち同様扱えるだろうといった考えから起きてしまったのかもしれません。

そのため、絵本の扱い方を教えるといったこの講習会はそれを知らない教員の方々にとって非常に大きな意味を持つものだと私は思います。私たちにとって当たり前のことは他の人にとってはほとんど知られていないことだったりします。このような支援において支援する側は自らの常識の範疇を逸脱する必要があり、かつ相手を知らなければならない。それができて初めてその人たちの力になれるということを大きく痛感しました。

最後にもうひとつだけ、この出張の前に、対象校に配るための絵本を大量に用意しました。

その時は束としてしか見てなかった絵本だったのですが、ふと事業地で絵本を開いたらこんなものが!

これは、日本語の絵本を事業対象国に送るために、対象国の言葉(今回だったらラオス語)に翻訳したシールを日本語の上に貼るのですが、そのシールをボランティアで貼っていただいた支援者の方々の名前が記されています。

これを見つけた瞬間、いままで束で見てきた絵本に突如命が宿ったように感じました。一つ一つの絵本にそれぞれの思いがあり、それをのせて現地まで届いている。それを現地で目の当たりにしてなんだか感動してしまいました。それと同時に支援者の方々無しにはこの事業は成り立っていないということを知り、非常に責任の伴う仕事であるということも同時に実感することとなりました。

さて、研修期間も半分過ぎてしまいました。ラオスは非常に過ごしやすく時々日本にいるのだかラオスにいるのだかわからなくなります。残り2週間ほどですができるだけ多くのことを学んでいきたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

ラオス事務所研修生 齋藤開

※写真掲載絵本 「ねないこだれだ」福音館書店