2022.01.27
海外での活動

「複式学級運営の手引き」の承認

ラオス

皆さま こんにちは

ラオスで2018年8月から実施している複式学級運営改善事業において開発した「複式学級運営の手引き」が、この度ラオス教育スポーツ省から公式な教材として承認を受けました。

ラオスの小学校では全国の約3割、農村部では半分以上が、1人の教員が1教室で2,3学年の児童を教える複式学級が行われています。しかし、残念ながら大半の先生は複式学級において効果的な授業を行うことができていません。例えば、先生が一つの学年の児童に授業を行っている間に、他学年の児童は友達と遊んでいるなど勉強しておらず、時間を無駄にしている状況が多く見られます。複式学級が多いラオス、特に農村部においては、先生方が複式授業を効果的に行う知識・技術を身に着けない限り、ラオスの児童の学習能力向上は見込めないため、この複式学級における教授法と、農村でも手に入る材料で作成可能な手作り教材を紹介した手引きの開発を行いました。

 

この手引きは、2018年9月にラオスの教育行政官や教員養成校の教官を招いて日本での研修を皮切りに、過去に実施した類似事業の対象校への視察、ドラフト版を用いたトレーナー養成講座、教員研修並びに小学校でのモニタリングを2サイクル実施し、その前後で7度に渡る手引きの開発・改訂会議を重ねて完成させました。複式授業の運営方法は日本で実施されている手法を基にしていますが、延べ300人近い教員の授業を観察し、そこから見えてきた課題や先生方からドラフト版を用いた感想・意見を反映させる事により、よりラオスの現状に沿い、農村部の教員にも理解・活用し易い内容に仕上がっています。

今後、この教材で紹介されている教授法が広くラオス全国に普及し、先生方の複式授業実施の一助となり、子どもたちの学力向上に繋がる事を願っています。

*この事業は国際協力機構(JICA)の草の根技術協力で実施しており、北海道教育大学から技術的な助言を受けています。

ラオス事務所 玉利清隆