2019.07.20
開催終了

「中期事業戦略発表会&感謝の集い」開催報告

イベントレポート

中期事業戦略発表会&感謝の集い

シャンティ国際ボランティア会は、設立から38年、多くのみなさまに支えて頂いているおかげで、活動を継続することができています。この度、2019年度からの6年間の中期事業計画を策定し、シャンティが目指すべき方向性と新しい事業、そして新体制についてお伝えするため、2019年7月10日、出版クラブホール・会議室にて「中期事業戦略発表会&感謝の集い」を開催いたしました。

第一部:中期事業戦略発表会および新体制の発表

新体制の執行部

最初に、会長の若林恭英(写真右)より、世界情勢が大きく変化する中で、市民社会におけるNGOの役割も変換点を迎え、私たちシャンティも「変化すべきもの」、「守り続けるべきもの」を見極めて活動を展開する必要があると実感していることをお伝えしました。

そして、中期事業戦略の中心的な役割を担う新たな執行部に、岡本和幸専務理事(右から2番目)、八木澤克昌アジア地域ディレクター(右から3番目)、山本英里事務局長(左端)が就任したことをご報告いたしました。

新事務局長就任挨拶と中期事業戦略について

この度、シャンティ初の女性事務局長に就任した山本英里より就任挨拶と、今回策定した中期事業戦略についてご説明させていただきました。

新たに事務局長に就任した山本英里

シャンティ国際ボランティア会は1981年に、カンボジア難民の緊急援助活動から開始された日本のNGOで「共に生き、共に学ぶ」平和な社会の実現をミッションに掲げています。

シャンティは「教育には人生を変える力がある」と信じ、本を通じた活動を通して人材育成、環境整備、教育の質の向上を目指した活動を各地で行っています。

今回、中期事業計画を策定した背景には、社会課題のボーダレス化、国際協力における現場での役割の変化、アクターの多様化など、今NGOはどうあるべきかという課題に直面している現状があります。これらの課題に対し、新たに策定した中期事業戦略において、以下の4つの領域において事業展開していきたいと考えております。

中期事業戦略の内容

シャンティでは、4つの領域において、事業展開していきます。

●専門性を高めた海外事業展開

・絵本やお話を軸とした読書推進活動のパッケージ化
・緊急人道支援への取り組み

●日本国内での新規事業の推進

・子どもの貧困や在日外国人が抱える課題を解決するための取り組みの推進

●政策提言・パートナーシップの強化

・事業国におけるシャンティのお話や読書推進の手法を含む提言書を作成し、具体的な提案を政策に盛り込んでいくこと
・同じ目的を持つ企業や団体と連携していくこと

●組織の国際化

・個々のスタッフの能力強化と次世代リーダー育成
・国を超えた国際職員の配置と多様な働き方に柔軟に対応できる制度の構築
・国内外での団体の認知度を高め、多様な財源を確保

これらの目標を達成するには、新しいチャレンジを含め私たちの発信力を上げ、支援者を募っていくことが重要だと考えています。これからシャンティは、日本のNGOとしての認知度を高め、共感していただける仲間を増やしていきたいと思っています。

トークセッション

朝日新聞東京本社編集局補佐、藤谷 健氏にモデレーターを務めていただき、NECソリューションイノベーター株式会社事業支援部のシニアマネージャー早川鋭氏とシャンティ事務局長山本の3名が登壇し、「これからの時代の国際協力」というテーマでトークが行われました。

2019年に20周年を迎えたシャンティの基幹事業「絵本を届ける運動」に参加頂いている多くの企業を代表して、今年で参加17年目を迎え、毎年200名を超える社員のみなさまに参加頂いていますNECソリューションイノベーター株式会社様にご登壇いただきました。

パネルトーク、左から山本英里、NECソリューションイノベータ株式会社 早川鋭氏、朝日新聞東京本社 藤谷健氏

まず、朝日新聞の藤谷氏より、SDGsの概要についてご説明いただきました。

「SDGs(持続可能な開発目標)の前身であるMDGs(ミレニアム開発目標)との大きな違いは、達成する当事者はあくまで発展途上国であり、日本を含む先進国は支援する立場という位置づけでした。SDGsでは、先進国・途上国を問わず目標達成に取り組むという点が大きく異なります。日本人も“自分事”として、目標達成していく方向に変わったわけです。」

続いて、早川氏より、企業の取り組みについてご紹介がありました。

「NECソリューションイノベーターは、1975年に設立されました。NECグループでは社会貢献活動を教育文化、福祉・ダイバーシティ、環境・地域社会という形で展開しております。その活動の一環として、2002年からシャンティの「絵本を届ける運動」に社員が参加しています。社員は絵本を自宅に持ち帰り、ご家族やお子さんと一緒に絵本に翻訳シールを貼ってくださったりしています。「届ける国はどんな国なんだろうね」と、世界の現状について家族と話す良いきっかけになっています。また、絵本の最後のページに現地語で自分の名前を書くことができるので、現地の方とのつながりを実感できる点も好評です。」

その後、「パートナーシップ」の話題になると、三者とも「対等なパートナーとして一緒に考え、NGO1団体だけでなく、同じ経験をもつ企業や団体と連携していかないと現地のニーズに応えていけない」という意見がでました。

最後のまとめとして、藤谷氏は「速度が違う課題がある中で、それぞれが得意な分野で知見を集めて、課題解決のために取り組むことがこれからの国際協力かなと思います。」という言葉をいただきました。

第二部:感謝の集い

第一部終了後、出版クラブホール・会議室の別会場に場所を移し、日ごろよりシャンティを応援、ご支援くださっている関係者の皆さまへの「感謝の集い」を開催いたしました。

太神楽を披露して下さった鏡味 味千代さま

第二部の幕開けは、鏡味 味千代氏による太神楽の披露でした。鏡味氏は公益社団法人 落語芸術協会に所属され、各地で開催されるチャリティ寄席にて、シャンティのために募金を集めてくださっております。ハラハラドキドキさせるその演目に、参加者一同息をのみ、大いに会場を盛り上げていただきました。

飛び入りで傘回しをされた国際協力機構(JICA)諸永さま

演目の途中「ご来賓の方にも挑戦していただきたい」と、鏡味氏に導かれてJICA 国内事業部市民参加推進課 課長 諸永氏が壇上へ。傘回しに挑戦され、会場をさらに盛り上げてくださいました。

来賓のみなさまよりご挨拶いただきました

ご来賓のみなさまを代表て、外務省 国際協力局民間援助連携室 室長  佐藤氏と、国際協力機構(JICA) 国内事業部市民参加推進課 課長 諸永氏、特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC) 事務局長 若林氏よりご挨拶を頂戴しました。

外務省 佐藤氏より

佐藤氏は「シャンティの好きなところ」として”図書館活動”を挙げてくださいました。ご自身の中南米での勤務経験を引き合いに、未来を担う子どもたちを育てるには、学校だけでなく図書館を作ることも大切だと評価してくださいました。

ご挨拶くださった外務省 国際協力局 民間援助連携室 室長 佐藤 靖様

「ご存じの通り、ODA(日本NGO連携無償資金協力)の一般管理費の引き上げは、財務省が今NGOの状況を理解してくれて今に至っています。政府の資金だけでなく、やりたいことを自分たちで持ってきているところに一般管理費を出すということになりました。夢を追いつつ、自己資金を高めていただいて、また一緒に仕事をしていきたい。同時にいいプロジェクトを実施されることを期待します。」

国際協力機構(JICA)諸永氏より

先ほど、傘回しを飛び入りでご披露くださった諸永氏からは、シャンティがJICAにとって3つの光るところがあるということについてお話してくださいました。

国際協力機構(JICA)国内事業部市民参加推進課 課長 諸永浩之様

「シャンティはJICAにとって、3つの光るところがある団体です。”教育”、“専門性の高いプロフェッショナルとしての事業”、そして、自分たちの活動だけでなく”NGO業界全体に対して広い視野を持ったところ”です。普段は優しい山本さんですが、時にきらりと目が光る時があります。それはびっくりすると共に、尊敬の眼差して見ています。共に仲間として、これからも関わっていきたいと思います。」

国際協力NGOセンター(JANIC) 若林氏より

若林氏からは、シャンティの今後の活動についてコメントをいただきました。

認定NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長 若林秀樹様

「キーワードは社会課題のボーダーレス化、パートナーシップの連携。さまざまな問題を考える上で、切り分けるのは難しいことです。そういう意味で、ぜひ国内事業に関わって欲しく、国内事業に携わっている人もぜひ海外に行っていただいて、垣根を作らずに活動していければと思います。皆さんと共に頑張っていきたいと思います。」

歓談の様子とご出席者

今回の発表会では、本当に様々な業界、業種のみなさんがご参加くださいました。

感謝の集いに大勢の方がご参加くださいました

感謝の集いで

感謝の集い

国際協力/NGOの団体のみなさまをはじめ、出版社、ご支援団体、絵本を届ける運動参加企業のみなさまなど、シャンティの活動はたくさんの方に支えられてはじめて実施できていることを、スタッフ一同強く感じる機会となりました。

温かいご支援とご協力、誠にありがとうございます。

感謝の集い:シャンティよりお礼

最後に、シャンティからのお礼として、八木澤アジア地域ディレクター、岡本専務理事、三部副会長よりご挨拶申し上げました。

八木澤克昌アジア地域ディレクター

アジア地域ディレクター八木澤 克昌

岡本専務理事

専務理事 岡本 和幸

三部副会長

副会長 三部 義道

長年、アジアの最前線で活動を牽引してきた八木澤からは、

「7月9日は私がシャンティに入った誕生日なのです。このような日にこのように大勢の方にいらして頂き、とても嬉しく思います。山本は、シャンティ始まって以来初の女性の事務局長です。これから6年間、新しい国際協力の価値観を作っていきたいと思います。私は日頃からミッション・パッション・ドリームと言っているんですが、謙虚に地道に、一人でも多くの人の命を救えたらいいなと思います。私は現場におりますので、現場からつなげていきたいです。」とご挨拶させて頂きました。

岡本からは、若い力を結集して前へ前へ進もう。

三部からは、新執行部2人を支えながら更に活動を展開していきたい。という想いをお伝えしました。

様々な想いを胸に、ここからまたシャンティの新たな活動が始まります。

引き続き、ご支援とご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。

新事務局長の就任挨拶と中期事業戦略について詳しくはコチラ