【東日本大震災支援】気仙沼市での支援事業を地元へ引き継ぎます
当会は、2011年3月13日より宮城県気仙沼市にて、地域行政、自治体とともに、生活必需品の提供、入浴サービス、緊急支援期における活動を実施しました。
その後、復興期に入り「子ども支援」「漁業支援」「まちづくり支援」の3分野で事業を実施してきましたが、2016年5月末日で気仙沼市での事業を現地支援団体などに移譲し、当会としての5年2ヶ月にわたった支援事業を終了します。
■「まちづくり支援」
2013年春ごろより、住民による「復興まちづくり」が動き始めました。当会は登米沢地区(気仙沼市 本吉町)の防災集団移転の事務局サポートをはじめ、階上地区(気仙沼市)では自治体とともに「まちづくり計画」を作成し、市長へ提出しました。また、津波で流出した前浜地区(気仙沼市 本吉町)の集会所の再建事業には、地域住民が建設作業にも参加し、地域の交流の場が復活しました。このように、地域の人のつながりを大切に進めてきた事業の中から、災害遺族の会「つむぎの会」も立ち上がりました。今後、「階上地区まちづくり協議会」と「つむぎの会」は地元の方々によって継続されます。
■「漁業支援」
津波で船や漁業設備を失った蔵内地区(気仙沼市 本吉町)の漁師たちが避難所で出会い、「俺たちには漁業しかない」と立ち上がり結成された協働グループが「蔵内之芽組(くらうちのめぐみ)以下「芽組」」です。シャンティは「芽組」と共に、地域の文化である漁業を継続させるための取り組みを行いました。2014年、震災後初めてホヤやホタテの収穫が終了しました。ワカメなどの収穫も安定してきた中、2014年に直売所兼お食事処「海の駅よりみち」を地域のお母さんたちと立ち上げました。そして、2015年、生業の安定化と地域の活性化を目的に海産物加工場を建設。今後は「芽組」と「海のよりみち」を中心に漁業を通したまちづくりが継続されます。
■「子ども支援」
2013年夏より開催している自然体験活動「あつまれ、浜わらす!」では、子どもたちが再び「海と向き合って行く」ことを目的としています。震災以降、子どもたちにとって海は遠い存在となってしまいましたが、地域の人たちから知恵や伝統を学びながら、子どもたちが本来持っている生きる力を引き出す活動を目指しています。この活動は、国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)の「生物多様性アクション大賞2015」に入賞しました。活動を継続してきた結果、地域の方々の理解も深まり、協力者も増えてきたことから2015年8月に地元職員が中心となり特定非営利活動(NPO)法人「浜わらす」を設立しました。今後の活動は同団体によって引き継がれます。
浜わらすウェブサイト
■シャンティ国際ボランティア会と東日本大震災事業
1981年、カンボジア難民キャンプで人々の精神的な支えとなるために、図書館活動を行ったことから活動がスタートしました。以来30年以上にわたり、図書館活動を中心としたアジアの子どもたちのための教育支援を行ってきました。現在は、タイ、カンボジア、ラオス、タイにあるミャンマー(ビルマ)難民キャンプ、アフガニスタン、ミャンマーで活動を実施しています。また、阪神・淡路大震災をはじめとして、国内外50を越える災害救援を行っています。
東日本大震災では、宮城県気仙沼市の他、岩手県陸前高田市、宮城県亘理郡山元町に現地事務所を設置し、長期的な支援活動を行っています。現在は、図書館や書店が壊滅的な被害を受けた地域で、「いわて/みやぎ/ふくしまを走る 移動図書館プロジェクト」を実施していますが、市町村の復興状況にあわせ、徐々に活動を公共図書館や地域団体へ移譲しています。また、福島では南相馬市の小高地区で今後予想される避難指示解除にあわせ、「福島でのコミュニティ支援事業」を継続しています。地域住民の方と共に人の輪が広がるような活動を実施して参ります。