カンボジア幼児教育事業:「遊びや環境を通した学び」実践のための新規事業を開始
公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(会長 若林恭英/東京都新宿区)カンボジア事務所は、カンボジアにおける幼児教育の質を改善するため、『カンボジア国 幼児教育カリキュラムに基づく「遊びや環境を通した学び」実践のための基盤構築事業』を開始します。事業開始を記念する式典には、カンボジア教育・青少年・スポーツ省ホン・チュンナロン大臣、3名の次官をはじめとした教育関係者、日本大使館、国際協力機構カンボジア事務所よりご来席を頂きました。
カンボジア教育・青少年・スポーツ省ホン・チュンナロン大臣らに来席いただいた事業開始式典の様子
カンボジアの幼児教育とシャンティの取り組み
幼児期は人間の基礎を形成する上で最も重要な時期です。適切な幼児教育を受けることは、それ自体が子どもの権利を保障するだけでなく、社会を生き抜くために必要な様々な能力を身に着けるためにも重要です。しかしながら、カンボジアでは幼児教育を受ける3~5歳の幼児の割合は37.7%*にとどまっています(*Education Congress, Ministry of Education, Youth and Sport, 2020の各年齢の就園率をもとに算出)。2018年には教育省が定める幼児教育カリキュラムにおいて、遊びを通した学びや、教員の創意工夫などの必要性が反映されるなど、カンボジアの幼児教育の方針転換にもインパクトをもたらしています。一方、幼稚園教員や教室環境、教材や絵本の不足により、質の高い幼児教育が提供しきれていない現状があります。
そこで、シャンティでは、教育省や教員養成校、バッタンバン州教育行政等と協力し、1. 幼児教育カリキュラムに基づく「遊びや環境を通した学び」の実践のための教員向けガイドブックの作成、2. ガイドブック普及のための人材育成、3. バッタンバン州における普及モデルの構築、を通じて、将来的に「遊びや環境を通した学び」がカンボジアの幼児教育全体に普及していくための基盤づくりに取り組みます。
カンボジア事務所所長 加瀬貴よりコメント
カンボジア国の幼児教育セクターでは、低い就園率および教員の質が近々の課題となっております。多くの幼稚園では、初等教育と同じような授業が展開されており、幼児期に必要な「学び」を幼児らしく学ぶことが難しい現状です。JICA草の根技術協力事業の一環で実施される本事業を通じて、同国教育省、JICA、日本国専門家、当会の密なパートナシップの基、「遊びや環境を通した学び」が同国の幼児教育に普及していく基盤づくりを行うことで、幼児が楽しく遊びそして学ぶ事の大切さを伝えていければと思います。