11/13放送『世界の村で発見!こんなところに日本人』をご覧いただいた皆さまへ
シャンティ国際ボランティア会、ミャンマー事務所の伊藤杏子です。
この度は「世界の村で発見!こんなところに日本人」をご覧いただき、ありがとうございました。
私は以前、自分が育った環境は極めて普通だと思っていました。家があること、ご飯があること、学校に行けること、自分で自分の道を選びながら進めること。しかし一歩外の世界には、それが当然でない環境に置かれている人々が沢山いることを知りました。それと同時に、国を越えても人はみんな同じ人であることも分かりました。
それなのに生まれた環境によって、人生が変わってしまうことは余りにも不公平で、もし自分がどこか違うところに生まれていたら、もしそこが戦争中だったら、と考えるようになりました。
そんな不利な環境に置かれている人々の役に立ちたいと思ったのが、国際協力を目指した始まりでした。そんな個人的な動機や背景と共に、現在活動しているミャンマーの現状をお伝えできる機会をいただき、光栄でした。
ミャンマーの現状と課題、ミャンマー事務所で取り組んでいること
皆さんは、絵本を読んだことがありますか。お子さんの学校に図書室はありますか。
ミャンマーの子どもたちは絵本を知りません。絵本の世界に感動したことや共感する体験をしたことがありません。ミャンマーの学校には図書室がありません。ミャンマーでは、先生が言うことをひたすら暗記しなくてはなりません。なぜ「1+1」が「2」になるのか分からなくても先生に質問することは許されず、教わった答えをそのままテストに書くことを学びます。この様な環境で、どうしたら子どもたちは考える力を養えるのでしょうか。
ミャンマーでは、50年以上続いた軍事政権の影響から、人々は自由に考え、自由に発言することを許されてきませんでした。民主政権に変わった今でも、人々は本当に思っていることを口に出すことを恐れています。
現在ミャンマーでは、教育改革も行われていますが、長く根強い歴史的背景があり、真の民主的な発展を遂げられるかはとても難しい課題です。ミャンマーの未来を担う子どもたちが如何に想像力を働かせ、自分の頭で考え、判断していく力を身に着けることができるか、ミャンマーの山積みにされた課題を解決し、平和な社会を築けるかが求められています。
この様な中、私たちはミャンマーの子どもたちの学習環境の改善を行っています。ボロボロになった校舎を新しくしたり、学校図書室や移動図書館活動を通して地域の子どもたちに絵本を届けています。絵本の力がミャンマーの子どもたちの生きる力となり、国や世界の健全な発展に繋がることを願って、日々活動しています。
番組/取材で伝えきれなかったこと
今回の番組では、活動を通じて暮らしが良くなった人や絵本を手にした人の声を紹介することができませんでした。また、私たちの活動を支えてくれている人たちが大勢います。
「おおきなかぶ」作: A・トルストイ 絵: 佐藤 忠良 訳: 内田 莉莎子(福音館書店)
一生懸命にミャンマーの環境を良くしようと働いているミャンマー事務所のスタッフ、日本のご支援者の皆さま、活動に賛同しいつも支えてくれている多くの学校や図書館関係者、地域の人々の協力なしでは何も成し遂げることができません。
皆さんの力によって届いた絵本を手にした子どもたちの笑顔は、何にも変えがたくキラキラしていて、きっとこの子たちが素敵な未来をつくってくれるのだろうと信じています。
シャンティ国際ボランティア会
ミャンマー事務所
伊藤 杏子
あなたのご支援が、子どもたちの「生きる力」に
私たち一人ひとりが、すべての子どもたちの幸せを願い、自分ができることをすることで、子どもたちの未来は守られます。
ご無理のない範囲でかまいません。私たちの活動へのご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。あなたのご支援が、ミャンマーの子どもたちの生きる力となるよう、しっかりと現地へ届けてまいります。
番組で紹介された「絵本を届ける運動」について
番組内で紹介された「絵本を届ける運動」は、一人1冊からご参加いただけます。
12/21(金)に帰国報告会を開催しました
番組ではご紹介しきれなかった「図書館事業」について、一時帰国に合わせて伊藤からお伝えする報告会を12月21日に開催しました。
https://sva.or.jp/wp/?p=31503