長期化する難民キャンプ、私たちにできることとは|6月20日 世界難民の日によせて
毎年6月20日は世界難民の日です。
2025年4月末現在でUNHCRの統計によると紛争、迫害などによって、住む場所を追われた人々の数は増加しつづけ、過去最大の1億2,210万人に上ると発表されました。
ほぼ日本と同じ人口が強制的に移動をさせられていることになります。
この10年で避難を強いられた人の数はほぼ倍増していますが、人道支援への厳しい資金削減が続いています。そのため難民をはじめ危険から逃れてきた人々を、さらに脆弱な環境に追い込んでいます。
(c)川畑嘉文
シャンティが2000年から活動を行っている、タイにあるミャンマー(ビルマ)難民キャンプに暮らす人々は、キャンプ設立以来初めて、食料を受け取ることができないリスクにさらされています。
ミャンマーでの紛争から逃れてきた10万人弱の人々が暮らすこの場所は、長い歴史を持つ難民キャンプの一つであり「忘れられた難民キャンプ」と言われています。
今年で50年を迎えるこの難民キャンプの将来の展望として、2021年の政変前まではミャンマー国内への帰還や第3国へ移住する取り組みによって、難民キャンプは徐々に縮小、閉鎖を視野に調整が行われていました。
(c)川畑嘉文
すでに難民キャンプで暮らす人々は5世代にもわたります。難民キャンプを見渡すと「暫定的」な居場所として一見平穏に見えますが、経済活動は依然として厳しく制限されています。
難民キャンプの運営はそこに暮らす人々によって主体的に行われているものの、生活に必要な収入を稼ぐことは禁止されているため、食料や家屋、公共施設の運営はすべて支援に頼らざるを得ない状況です。
(c)川畑嘉文
その食料が今、絶たれようとしています。
約10万人以上の食料支援は長年にわたり海外のNGO1団体が担っていました。しかし、資金難の影響でこの団体だけで食料を全て担うことができなくなりました。
現在、支援に関わる多くの団体が協力してこの状況を何とか乗り越えようと奔走しています。
(c)川畑嘉文
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このように根本的な解決策が見いだせないまま、支援が絶たれてしまうということは、この難民キャンプで暮らす人々、子どもたちの選択肢が限られるということです。
法を犯して難民キャンの外へ出れば、犯罪者として拘束されてしまいます。
ミャンマー国内には彼らが暮らすことが許される土地、家はありません。
徐々に支援が削減されている中で、子どもたちに食べさせる食料が手元から消えていき、獲得するすべもないというのはどれほどの恐怖でしょうか。
(c)川畑嘉文
シャンティの図書館に来る子どもたちは、まだこのような状況を理解できない子もたくさんいます。
日本から届いた絵本にあるようなハッピーエンドを信じて、今日も図書館に来て絵本の1ページをめくっています。
(c)川畑嘉文
世界難民の日に、喫緊の支援を必要とする難民の方々がいること、そして、このような状況を生み出さないための根本的な解決に取り組んでいくために、
私たちは何ができるのか、改めて一緒に考えていきたいと思います。
2025年6月20日
事務局長 山本 英里
【動画】絵本は世界とつながる窓|シャンティのミャンマー(ビルマ)難民キャンプでの取り組み