軍事クーデターから1年半、ミャンマーの人道危機は続いています
今月1日で、ミャンマーで起きた軍事クーデターから1年半が経ちました。先月には民主活動家ら4人の死刑執行が伝えられ、国内外で抗議デモが行われています。私たちは、暴力とミャンマー国内の分断が一層深刻になっていくことをとても憂慮します。
軍事政権の弾圧で142人の子どもを含む2000人を超える市民が犠牲になり、83万人が故郷を追われて、国境地帯や近隣国に逃れています。人々の生活も困窮しており、物価の高騰や失業で人口の約40%が貧困ライン以下での生活を強いられています。
(詳しい数字は下記<数値で見るミャンマー>をご覧ください。)
クーデター以来閉鎖されていた学校は、去年11月に本格的に再開されましたが、軍事政権下の教育に抵抗を感じる人も多く、復学率は低迷しました。それでも子どもたちへの教育を望む思いは強く、今年6月の新学期からは少しずつ子どもたちが学校に戻ってきています。
新しい校舎で学ぶ子どもたち
国際社会からの関心が低下するなかでも、ミャンマーの人たちの苦しみは続いています。
今の子どもたちへの教育がミャンマーの未来を作ります。すべての子どもたちに最大限の学びの機会が与えられ、未来を描けるように、シャンティはこれからも支援に力を尽くしていきます。そのためにも志がある人たちや日本政府、それに国際社会とも力を合わせて、関与し続けることが不可欠だと強く訴えます。
最後に、日本にいる私たちへ、ミャンマーを忘れないでほしいという現地職員の思いをもとに、シャンティのブログにて現地の様子や活動状況を現地職員が毎月報告しています。ぜひ、彼らの声に耳を傾ける時間をいただけますと幸いです。
ミャンマーのブログ:https://sva.or.jp/activity/myanmar/#blog
事務局長
山本 英里
夏募金ご協力のお願い
シャンティでは、現在、夏募金へのご協力をお願いしています。図書館や学校の建設、机や本棚、絵本や書籍の支援などを通して、再び、子どもたちが学ぶための環境をつくってまいります。どうかご支援いただけますようよろしくお願いいたします。
下記よりお申込みいただけます。
http://www.sva.or.jp/summer/
【数値で見るミャンマー】
ミャンマーで軍事政権の弾圧やクーデターの混乱下で命や生活を奪われた人々の数は、今も増え続けています。
2,123人の市民が犠牲となり、14,883人が軍に拘束されています(7月26日時点)¹ 。
一部地域では国軍による空爆が行われ831,000人が家を追われ、
難民や国内避難民として安全を求めて逃れています(7月6日時点)² 。
子どもたちも混乱に巻き込まれ、日常を奪われた当事者です。
142人の子どもたちが軍により殺害され、1,400人以上の子どもたちが拘束されました。
25万人以上の子どもたちが難民や国内避難民となり、教育にアクセスできずにいます ³(6月14日時点)。
命の危険だけでなく、困窮する日々の生活も見逃されてはいけません。
人口の約40%が貧困ライン以下での生活を強いられています ⁴ 。
物価の高騰が続き、燃料価格は昨年に比べ80%上昇しました ⁵ 。
2021年には160万人の雇用が喪失しました ⁶ 。
¹ Assistance Association for Political Prisoners, 2022年7月26日アクセス
² UNHCR, MYANMAR EMERGENCY UPDATE, 6 July 2022
³ UN HRC, Conference room paper of the Special Rapporteur on the situation of human rights in Myanmar, 14 Jun 2022
⁴ World Bank, Myanmar Economic Monitor, July 2022
⁵ WFP, Myanmar Market Price Update, May 2022
⁶ ILO, Employment in Myanmar in 2021, January 2022