2021.12.03

第28回 読売国際協力賞 贈賞式の報告

受賞

第28回読売国際協力賞の贈賞式が11月25日、東京・帝国ホテルで開催され当会若林会長が賞状と副賞500万円を受け取りました。
式では、及川祥一様(読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆代理)よりご挨拶を頂戴した後、若林会長よりご挨拶申し上げました。

また、林外務大臣より祝電を頂戴しましたので、ご紹介いたします。

祝電

第28回読売国際協力賞の受賞を心からお慶び申し上げます。
シャンティ国際ボランティア会は、設立から40年もの長きに亘り、紛争や貧困など厳しい環境で暮らすアジアの子どもたちへの教育支援や緊急救援を行ってこられました。
ノーベル平和賞を受賞されたマララ・ユスフザイさんが述べておられるように、「1人の子ども、1人の教師、1冊の本、そして1本のペン、それで世界を変えられ」ます。1人でも多くの子どもたちが学ぶ機会を得て、自分たちの手で未来を創ることが出来るよう、カンボジア、ミャンマー、ラオス、タイ、ネパール、アフガニスタンの6か国で、これまで1000館以上の図書館と420校以上の学校を建設されたほか、35万冊を超える絵本を届けるなど、現地に根ざした、きめ細やかで地道な活動を続けてこられているシャンティ国際ボランティア会の取組を高く評価いたします。

外務省は、これまでODAを通じてシャンティ国際ボランティア会と連携してきており、本年は、ミャンマー、ネパール、アフガニスタンで学校図書室や図書館の建設等を含む読書推進のための環境整備等について協力しています。日本は一人ひとりの保護と強化に焦点を当てた人間の安全保障の考え方を重視しており、教育の推進はその中核となるものです。
すべての人が質の高い教育を受けられる世界、そして誰一人取り残さない世界の実現に向けて、引き続き志を同じくする皆様と共に力を合わせて参ります。
最後に、皆様の今後の御活躍と益々の御発展をお祈り申し上げるとともに、関係者の皆様に敬意を表し、今般の受賞につき改めてお祝いを申し上げます。

令和3年11月25日
外務大臣 林 芳正

 

受賞者スピーチ(全文)

この度、読売国際協力賞をいただけましたこと、オールシャンティはもとより、今まで弊会の活動にご支援くださいました多くの皆様と共に、喜びを分かち合いたいと思います。ちょうど設立40周年を迎えた節目の年にもあたり喜びもひとしおです。アジアの子どもたちへの教育・文化支援という、裏方の活動に光をあてていただいたということは感謝、感激でございます。
弊会は、「共に生き、共に学ぶ」という活動理念を持っております。ただ今ご紹介いただきましたように、1980年代初頭、カンボジア難民キャンプにおいて我々の先達が支援に赴いたその現場で、「さあ、我々に何ができるのだろうか」と自問をしたそうです。命からがら国境を越えてきた難民の悲惨な状況の中で、食糧支援、あるいは医療支援というのは欠かせませんが、「ちょっと資金が乏しい我々にはできない」とすれば、「でも難民の人たちがやがて立ち直っていくためには必ず教育というものが求められる」、それも今からやろうという決意を持って、その時から我々の活動の中心軸が決まりました。
早々ですけども、難民キャンプの中の移動図書館活動、クメール文化に育まれた民話絵本等々を車に積んで難民キャンプを巡る、子どもたちは先を争って本を読んで、その嬉々とした姿に周りにいた大人たちも心に明かりが灯ったようなひと時になったと聞いております。そうして細々と活動を始めたわけですが、より良い支援の形というものはどうあるべきかということも併せて考えたときに、現地の人たちと「共に生き、共に学ぶ」という、この謙虚な姿勢が必要ではないかということで40年間、この姿勢はずっと貫かれてまいりました。
現在は、日本を含むアジアの7ヵ国8地域で活動をしております。具体的には、絵本出版、学校建設、図書館の設置等々、大事なことはそれらの施設、絵本を有効に活用してもらえるように、先生方あるいは活動のスタッフへの研修を必ず何回か繰り返して行っております。こうしてソフトとハード、一緒になってバランスよく子どもたちに提供されることによって、子どもたちの心に栄養を補給し、やがて生きる力となっていくということを我々は考えているわけです。
嬉しいことに、活動の当初の頃、支援を受けた子どもが、今ご紹介にあったように外交官になったり、あるいは国営放送のニュースキャスターになったりというようなことがございます。もっと嬉しいのは、それだけに終わらないということですね。その大人になった子どもが、後から続く同じ困難に遭遇している子どもたちに支援の手を差し伸べているという、その心が平和に続く道筋ではないかというふうに思っております。もちろんスタッフ皆、同じ思いでいるわけです。
今、世界では紛争や迫害により住む家を追われた難民、国内避難民の人たちが7900万人にものぼり過去最多を記録しているそうです。私たちが活動をするアフガニスタン、ミャンマーにおいても突然の政変により、多くの難民が報告されております。この状況に我々も非常に苦慮をしておりますが、困難に遭遇した人たちを置いて撤退するという選択肢はありません。なんとか、我々の今までの知見を総動員して、今までせっかく蒔いてきた種が必ず芽を出すはずです。その時まで頑張って支援を継続していきたいと思っております。
弊会の団体名は、「シャンティ」と言います。「平和、寂静」を意味する古代インド語です。日本生まれの仏教系NGOとして活動をして参りました。その根底には、慈悲の教えというものがあります。これは、唱えているだけでは成就いたしません。それに、教えに基づいた行動、これが相まって初めて慈悲の教えが成就するわけです。これからは志を同じくする企業、諸団体、個人の皆さんと連携をしながら平和に向けて一歩一歩進んでいければと思っております。
そしてこの度、弾みのつく栄えある賞をいただきまして心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

令和3年11月25日
会長 若林恭英

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読売新聞掲載記事

2021年度(第28回)絵本アジアの子どもに 公益社団法人「シャンティ国際ボランティア会」

【動画つき】「シャンティ国際ボランティア会」への贈賞式

写真撮影:川畑嘉文