2021.05.13
読み物

【世界の絵本を読んでみよう】ラオス ヤアンラーン

むかしむかし、動物と人が言葉を通じてお互いを理解し合っていたころ、ヤアンラーンという女性がいつも動物たちと一緒に歌い、夫と暮らしていました。

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時が経ち、年老いたヤアンラーンは亡くなりました。

彼女が大好きだった動物たちはとても悲しみ、お墓に眠るヤアンラーンの体を金や銀、宝石と針で覆いました。

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動物たちの中で、ジャコウネコだけがお葬式に行きませんでした。そのことを良く思わなかった他の動物たちは、ジャコウネコに木の上だけでしか食べ物を取れないようにしました。ジャコウネコは友達もいなくなり、独り木の上で過ごすようになりました。

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ある日、ヤアンラーンのお墓に誰もいないとき、ジャコウネコはお墓に向かって言いました。「お葬式に行かなくてごめんなさい。僕は間違っていたから、夜になると目が見えなくなってしまったんだ。僕を許して。どうか、夜に目が見えるようにしてください。」

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すると、お墓から不思議な力が現れて、ジャコウネコの目が見えるようになりました。それからというもの、この話を聞きつけた人々がお墓を訪れるようになり、訪れた人々はみんな願いが叶うようになりました。

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こうして、ヤアンラーンはカム族の母として、よく働く素晴らしい女性だと称えられ、代々この話が言い伝えられました。カム族では誰かが亡くなると、お墓の上に尖った針の象徴として尖った農具をさし、亡くなった方に敬意を払うようになりました。

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※この絵本はカム族の中で口頭伝承されていたお話を聞き取り、出版したものです。テン族の人たちもヤアンラーンを自分たちの祖先として慕っています。

本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.296(2018夏号)」に掲載した内容を元に再編集したものです。

多くの民族が暮らす国

ラオスは50もの民族が暮らす多民族国家です。

少し前になりますが、2018年のシャンティ夏号では、「多民族国家ラオスのいま」という特集もあり、各民族の衣装の紹介や、彼らの文化に対する思いが書かれていいます。

過去の機関誌シャンティは2017年春号以降であれば、シャンティのホームページから電子ブックで閲覧することが出来ます。

ニュースレター「シャンティ2020秋号(Vol.307)」

時期によって様々な特集が組まれていますので、ぜひ読んでみて下さい。