2013.04.12
読み物

【対談:第一回】記憶を記録として残す

対談

対談:第一回「記憶を記録として残す」

NPOオブセリズム / 花井 裕一郎さん × シャンティ広報課 / 鎌倉 幸子
2014年4月12日 内田洋行 新川本社ビル「ユビキタス協創広場CANVAS」にて

Library of the Year 2011を受賞し、トリップアドバイザーの「死ぬまでに行ってみたい世界の図書館 15」に選ばれた長野県小布施町の図書館「まちとしょテラソ」の前館長で、現在は図書館をはじめ、街づくり活動の拠点とする文化施設のコンサルを手掛ける花井さんにまちづくりの中の図書館にお話いただきました。

NPOオブセリズム 花井 裕一郎さん

  • 演出家。小布施町立図書館まちとしょテラソ前館長。「ないのにある」=「存在そのものは目に見ることが出来ないが、そこにはエネルギーが存在する」ことを体感しながら、本来の人間の姿・生き方を模索し、創作活動を展開。

シャンティ広報課 鎌倉 幸子

  • 1999年シャンティに入職。カンボジア事務所図書館事業コーディネーター、東京事務所海外事業課カンボジア担当、国内事業課長を経て、2011年より広報課長。東日本大震災後、岩手で行っている移動図書館プロジェクトの立ち上げを行う。

「記録されないものは、記憶されない」

花井:図書館について情報交換したり、一緒に講演などの仕事をしているけど、会ったのは最近なんですよね。

鎌倉:まだ1年経ってないです。2013年3月にライブラリーキャンプ (※1)で小布施に私が伺ってからなんですよ。もう随分経ったような気もしますが。

花井:あ、鎌倉さんの本を読ませてもらいました。今回本を書かれたのは、「記録を残したい」からと書いてあったような気がしましたが。

鎌倉:本の中にも書いたんですけども「記録されないものは記憶されない」と思っています。

花井:かっこいいな

鎌倉:生まれ育った町なのに、震災後「あのお店屋さんの看板の色はどんなんだったんだろう。思い出せないんだよねー」という話を聞きました。毎日そこに暮らしていても、そこの住民だってどんどん忘れていく、風化は一日ごとに止めようもなく進んでいくんだって思いました。だからこそ記録として残していくのが大切なのかなと思ったのです。

花井:僕は、東北でいつもレンタカーを借ります。で、ナビが「次のコンビニを左に曲がってください」とかいうけどコンビニがあるわけがないじゃないですか。ないものを目印に、そこを曲がれって言うのはすごい悲しかった。「記録」を考えると、カーナビの地図はすごいな。

鎌倉:移動図書館でも震災前の地図とか写真集がよく借りられます。ここに何が在ったか覚えたい。自分の家があった場所を確認し、以前の町がどうだったかを振り返りたいと。記録としての地図の存在は大きいですよね。

花井:アーカイブ(※2)だね。

鎌倉:記録は団体にとっても大切ですよ。今回の東北の震災が起きたときも、すぐ動けたのは、阪神・淡路大震災のときの活動の記録となる報告書や当時神戸事務所にいたスタッフが団体として残っていたからなんです。「緊急救援時における10カ条」というのがシャンティの中にはあって、それが軸になった。震災は悲しい出来事です。でもだからこそ記録をアーカイブとして残していかねばと思っています。

花井:鎌倉さんの本の中に、僕が東北で知り合った人がたくさん出てくる。あの人は、最初こうやって行動したんだ、こんなこと考えていたんだと思って読んだ。一人ひとりの記録がすごい詰まってる。アーカイブとして繋がっているよね。

東北の移動図書館

鎌倉:東北での移動図書館プロジェクトの立ち上げも、現場で聞いた声が後押しをしてくれました。「なぜ今、図書館か」という記録は残しておきたかった。2011年4月に出会った気仙沼の司書の方と炊き出しの話になりました。炊き出しはありがたいということを前提にしながらですが、「食べたものは無くなるけど、本は読んだ記憶が残ります。だから私は図書館員として本を届けたいんです。」とおっしゃったんです。その後、「こんな時だからこそ、今出会う本が子どもたちの一生の支えになる」と力強くおっしゃった。本当につらくて大変な時だからこそ、手にした本のその一行、一ページに支えられたら、その本は一生のお守りになる。大変な時「だからこそ」本を届けて行かなきゃならないと感じました。

(※1)ライブラリーキャンプは、日常から離れた空間で、幅広く「ライブラリー」を討論する場を創出することを目的とした、宿泊前提のキャンプです。広い意味での図書館が抱える諸課題を論じ合い、暫定的な解を導き出す時間と空間を創り出していきます。このキャンプの経験によって参加者の知識・技術の深化を促し、知的創造の拠点たりうる図書館の創造へとつなげます。 企画・運営は、アカデミック・リソース・ガイド株式会社が行っています。

(※2)重要記録を保存・活用し、未来に伝達すること

図書館に行く理由

花井:どうして鎌倉さんはシャンティで仕事をし始めたの?

鎌倉:カンボジアの留学生と友達になったんです。ある日、カンボジアの内戦の話になり、ご両親とも処刑されてしまい、一人ぼっちになったという話をしてくれました。強制労働とかも経験し、最後、国境をこえて隣国のタイにある難民キャンプに命からがら逃げた話も聞きました。親もいず一人ぼっちで生きていくためには教育が必要だと思ったみたいなんですね。そんな時、シャンティが難民キャンプの中で運営していた図書館に通って本をはじから読んだみたいなんです。図書館は親がいなくても、難民でも差別をせず扉を開けてくれる場所だって。だから「留学できたのも、あの図書館があったから」という言葉を聞いて、「図書館ってすごい」と思ったのがきっかけです。

カンボジアの小学校にて

花井:図書館って、短期的な結果をもとめられるとおもうんですね。貸し出し数とか利用者数とか。

鎌倉:そのカンボジアの留学生が「10年以上前に図書館に行ったから今の自分がある」という話を聞き、図書館って今日や明日の人生を劇的に変えないかもしれないけど、長いスパンで考えた時にじわじわとですが影響を与える場所なのでは。

花井:僕もいま図書館に関わっていて、今ではそういうことをいっているけれど、ちっちゃい頃は、あの子がいるならいってみようかなという不純な動機も。

鎌倉:デートスポットになってますよね。

花井:あの子が読んでいたから、この本借りようとか。高校までは、図書館は待ちあわせの場所だった。浪人した時は図書館に行ったな。でも、浪人してたのになぜか車を持っていた。海の道具がいつも入っていて、図書館に行って30分くらいは勉強するんだけど友達がきたら海に行っちゃった。帰ったら図書館が閉まっていたという。

鎌倉:あの子が読んでいたから・・・ではないのですが、私が初めて図書館で借りた本は怖いもの見たさがあったと思いますが「ミイラ」の本。小学生低学年の時でしたが、結局怖くて読まずに返しちゃった。図書館はある意味、失敗をさせてくれる場所なのかもしれませんね。

「図書館と効率性」

花井:今日facebookで僕とつながっている人のページを見ていたら「効率的、効果的な図書館経営ってなんだろう」って書いてあったんです。僕も答えが出せなくって。図書館は、効率的ではないところもあると思ったんです、一瞬。

鎌倉:効率的、効果的な図書館経営をどう測るかですね。

花井:僕なんかは最初の話のように、どのようにアーカブしていくかのほうがミソだと思っているので、あんまり効率的になると商売のようになっちゃうかと。

まちとしょテラソ外観

鎌倉:一見非効率と思われるものが効率を生むような気がしますね。例えばまちとしょテラソで、いろいろな妖怪の本が置いてあったり、太極拳が突然始まるじゃないですか。いろんな切り口で、利用者の方と時間をどれだけ費やし、対話するか。その声が違うアイデアを生むかもしれない。

花井:時間軸ですよね、長い時間軸でみるとすごい効率的。

鎌倉:図書館の評価の指標っていろいろでてるじゃないですか。

花井:ある人にね、「まちとしょテラソは田舎の経営ですねって」言われたんです。「田舎的経営って?都会的経営って何ですか?」って思ったんだけど。都心に新しくできている図書館も、やっていることは同じでしょ?

鎌倉:その指標は何だろう。会場の皆さんの中で、効率的図書館についてご意見のある方いますか?

参加者①:一利用者として考えているのは、効率的っていうのは貸出の方法とかが、自動貸出機になっているんですね。それはすごく効率的で良いと思うんですけど、私たち利用者に対してどうなったかというと。中のスタッフの人たちが減って、案内してくれたりとか、直接教えてくださる方とかが減ったというのがあって。長い目で見ると、作業的には早くなったかもしれないですけど、その場で生まれる人のつながりが以前に比べて減ったのかなっていうのがあります。

参加者②:インプットに対するアウトプットっていう数字しか出ないんですよね。「ここの図書館は年間何人利用した」とか、「貸出数が何冊」とか、「蔵書数がいくらか」とか数字に出ると、評価になるっていう。ところがその、例えば満足度。利用者の満足度は、そういうふうには出ない。「受付の人がどうだ」とか、人によって違ったり場所によって違ったり。そういうことも指標にしていかないと効果的とか効果がわからない。効果っていうのはその、この人がこういう図書館に一年間通ったからこうなった、みたいな。そういうのは数字で表れにくいですけど、その辺じゃないかなと。

花井:やっぱり時間軸というものがありますよね。一年とか短期間ではなくて、そこに住んで、その図書館に通ってこうなった、とかが大切。図書館って投資する世界だと思う。そこに住む子ども達に対してどれくらい投資し、成長を支えるか。それが地域の図書館の投資だと思うんですよね。そこで、初めて効率的っていうのが時間軸の中で分かると思う。

「図書館は町づくりの中心」

花井さんの写真

鎌倉:花井さんの自己紹介を簡単にお願いします。

花井:僕は、福岡県で生まれて、中学高校と地元にいました。大学のために東京に出て、フジテレビのアルバイトから20年以上映像の世界で生きてきました。小布施に移り住んで、町づくりに目覚めた。図書館に巡り合った。

鎌倉:花井さんはご自身のことを演出家とおっしゃってますよね。最近は、図書館だけではなく町全体の演出をされているようなイメージがあります。

花井:そうですね。図書館っていうのは町づくりの中心のキラーコンテンツだと言ってきました。来年度も二つの図書館を作るお手伝いをするんですけれど、「町づくりをしながらどうやって図書館を作りましょうか」とまずは話しています。

鎌倉:図書館を作るときの大切にしているポイントはありますか。

花井:僕はやっぱり歴史だと思ってる。図書館を作るにも町を作るにも、根っこにあるのはその地域のものである歴史。そこから広がっていけばいいと思っている。自治体の中には、自分で調べることなく「何しましょう」って言われることもある。「じゃあ僕を歴史館に連れて行ってください、資料館に連れて行ってください」ってかならず言うんです。初めて行く町にも外に出ると、地元には語る人がいるんですよ。ボランティアさんとかね。そのおっちゃんたちと話すのが一番面白い。

鎌倉:文化が人の根っこにあると感じたのが、2011年4月に陸前高田市に行った時です。瓦礫の中に、シーツが旗のようになびいていたんです。そこが掲示板になってたんですよ。自分のいる避難所の場所など伝えているメッセージの中に、「けんか七夕を復活させるのはオレだ」って書いてあったんです。こんな時でも、何百年続いている祭りを繋げて行くのかと考えていた。すごい熱を感じました。

花井:祭りはすごく大事ですよね。そんな熱を感じられる町こそ、おもしろいと思います。

鎌倉:外の人。ヨソモノがどうやって、そこの文化の中に入っていくのか、心がけていることはありますか。

花井:外の人でも、地元の文化とか歴史とかを大切にすることで、町の人に受け入れられるのではないかと思います。

鎌倉:テレビ局時代取材で訪れた小布施に長くお住まいですよね。図書館であるまちとしょテラソにも5年間関わっていらっしゃいましたよね。長かったですか?

花井:いやーあっというまでしたね。

「最初にやったのは、町の人に話を聞いてまわること」

鎌倉:図書館づくりで、一番時間を費やしたのはどこだったんですか?

花井:2年間費やした準備室の時ですね。

鎌倉:図書館の準備室で、最初にやったことって何ですか。

花井:町民の人に会いに間を回る事でしょうね。まず小学校にいって、20分の長い休み時間に小学校に行って、視聴覚室の中にぽつんといる。しばらくすると校内放送で「新しい館長がきています。みなさん要望をいいにいきましょう~」と流れた訳です。どわーと、地鳴りみたいな音が聞こえるんですよ。キタキタキターみたいな。そうやって声を拾っていきました。

鎌倉:意見を聞くっていったら、大人に聞くことが中心のようなイメージがありました。

花井:だから大人のところにも行きました。図書館に来る人だけではなく、来ない人の話も絶対聞かなければいけない。乱暴な言い方だけど、図書館を使ってくれているお客様って放っておいても来てくれる、使ってくれる。でも、図書館を使っていなかった人に来てもらいたいというのが僕たちのミッションだった。じゃあ使わない人に説明にいかないとな、と。そこで、小布施の中の市民団体や町の人がやっている会議があると聞くと、すぐ連絡して「その会議の時間5分でいいからください」って言って時間をもらいました。結局30分くらいしゃべってくるんだけど。夜に会議をしたらお母さんたちが来れないということで、昼間にやったり。こんな「館長と話そう」シリーズを続けました。

鎌倉:その会議の存在はどうやって知るんですか。

花井:やっぱり聞きに回る、リサーチですよ。リサーチをするっていうのが僕はすごく大事だと思ってる。

鎌倉:こちらから出向いて、人に話を聞きに行く事は、自動的に図書館のPRにもなってるじゃないですか

図書館の中にいる花井さん

花井:そうかもしれない。まず僕のことを知ってもらわなきゃいけないじゃないですか。Tシャツきてたオッチャンですから。その人がいきなり館長ですからね。それはみんなびっくりしますよね。ネクタイもしてないし。

鎌倉:まちとしょテラソの館長を任期満了で辞められた後も、全国を飛び回っていますね。色々な自治体に呼ばれているようですが、何を求めて花井さんを呼んでらっしゃるんですかね。

花井:改革っていうと大仰かもしれないけど、行政職員の意識改革のためにとよく呼ばれるんですよ。「僕が、ですか?」って思うけど。また、みんなが知りたいのは「図書館」というよりは、もうちょっと大きい枠での「町づくり」。それに関わる自治体の方もそのためのトレーニングをしたいと思っている。

鎌倉:発想のトレーニングですか。

花井:はい。「発想の転換と妄想すること」については講演で伝えています。僕たち演出家って妄想ばっかりしてるんですよ。妄想がないと生きられないくらい。それがどんどん大きくなったときにぼんと花開く瞬間がある。

鎌倉:役場が花井さんを呼ぶって言うことは殻を破りたい、一歩外に出たいと思っていらっしゃるのかも。

花井:嬉しい瞬間もたくさんありますよ。ワークショップで1時間なり2時間なりしゃべるじゃないですか。そうすると確実に興奮して、スイッチが入っているひとがいるんですよ。若手職員の中に時々、管理職の人がいます。最初は、ふんぞり返って聞いているんです。それがどんどん体が起きて来る人がいる。そうなると嬉しくなっちゃう。そういうひとはとくに懇親会のときに声をかけてくれるし。もっと嬉しいのはこの人のスイッチが入ればこのチーム全体が変わるんですね。

鎌倉:管理職の意識改革も必要ですね。

花井:図書館も教育委員会だけでなく影響のある人が左右したりしますからね。でも、図書館ておいてかれてるんですよ。

鎌倉:最後みたいな。

花井:首長がいて、教育委員会があって、その中に生涯学習課がある。生涯学習課も図書館だけではなく体育館とか文化施設も管理している。図書館という存在が首長のどまんなかにあるようにしていかないといけない。

「図書館は町づくりの中心」

鎌倉:花井さんがどこかの図書館の館長にまたなったとするじゃないですか。どうやって首長の意識を変えて図書館の位置づけを高くしていきますか。

花井:図書館は、その町を形成する拠点となると思う。町として子どもたちがどう育ってもらいたいのか考える中で、図書館はそのためのお手伝いができる場所。こんなすてきな場所はないと思う。100年とか200年先の話を語ろうと思う。

鎌倉:未来を作る場所ですね。

花井:それくらいのスパンで歴史家は未来を見るわけですよね。未来を見るために、今何をすればいいのかと考えるのが大切。まちとしょテラソにいた時、予算委員に呼ばれたんです。その時に、100年後を考えながら図書館経営をしていきたいと話をしました。

鎌倉:ちょっと短いスパンになりますが自分の人生を振り返った時に、図書館が私を支えたって言う事例ってたくさんあると思う。東北で行っている図書室の運営のために募金を募ったことがあります。その時に、支援をお寄せくださった方の多くが、自分たちが小さい時の図書館の思い出や図書館がいかに自分を支えてくれた場所だったかと話をされるんです。

東北の図書館

花井:図書館は映像家にとっては重要な場所なんですね。テレビ局のアシスタント時代は国会図書館に行っていました。ただ色々な理由で図書館に来ない子どもたちがいます。子どもたちが図書館を使うかどうかは親に左右されることが多い。どうすればよいのか、今、一生懸命考えてます。

鎌倉:ふらっと立ち寄れる場所って限られている。公民館の講座だと予約しなければいけない。コンビニは24時間空いていますが、お金がないと行きづらいし、怪しまれてしまう。ふらっと行ける場所って公園か図書館なのかもしれない。そういえば、花井さんは「広場」という表現をよく使いますよね。

花井:行けば誰かがいて、誰かと会えて遊べる場所が広場。図書館では、人だけではなく、本だったり情報との出会いだったりする。その出会いを作り出して行くのが僕たち図書館に勤めている人間の仕事なんじゃないかな。

鎌倉:本との出会いというと、私は今日返却された本の棚をみるのが好きなんです。

花井:あれはその町のアーイカブですよね。僕は館長時代に、返却コーナーに返ってきた本をすぐに戻すなって言っていたんですよ。あそこが一番おもしろい。要は町の人が借りた本がどういう傾向にあるのかすぐにわかるわけですよ。図書館の人にはすぐに戻すの命の人が結構いる。本って、なんかきっかけになるんですよね。このほん読んだ?とかね

鎌倉:また、人って大切ですよね。近所に区立図書館があって、新人のスタッフがいて。たどたどしいけど一生懸命がんばってる。心の中で「がんばれ」って応援しちゃう。

花井:子どもも「あのお姉さんに返したい」、「あの人いるー?」とか聞くんですよ。そこを大事にしたい。人につくんですよね。

鎌倉:図書館でベラベラと利用者と話しづらい環境だけど、人はよくみてる。

花井:声をかけるべきだとおもいますよ。個人情報がどうだとかあるけど、もっとコミュニケーションするべき。いじりたおしてもいいのでは。話をすることで、初めてその図書館に求められていることが分かったりする。会話がないならAmazonでいいじゃん。

鎌倉:移動図書館もそうで、本についてだけではなく、生活のことなどお話をずっとされる方もいます。

花井:出会いときっかけですよね。そういう思いを持って図書館を経営していかないと、情報を右から左に流すだけの場所になってしまう。みんながあと1%がんばるだけですごいデザインができあがるっていう本があるだけど、本当にそうだなと思うし、そうありたい。

「来たくても来られない人に届けるためにどうするか」

鎌倉:最後にこれからの図書館をどうお考えになりますか。

花井:「私たちの図書館はこれなんです」と言うものを作っていかなきゃいけないと思う。メディアにいたからつい見ちゃうんだけど、「私たちのキラーコンテンツはこれ」というのをはっきりさせるべき。

鎌倉:「みんなに開かれる図書館」ゆえに個を出せないのかも。

花井:これからは「移動図書館」という形も必要になってくると思う。高齢化社会になれば来たくても来られない人に届けるためにどうするか。

鎌倉:移動図書館を行っている自治体の図書館関係者の方が、「移動図書館の一番重要な役割は利用者の生の声を聞ける事」と。一番ご用聞きになるのが移動図書館だと。

花井:図書館が待って商売をする時期は終わりに来ている。外に出てニーズを聞く時代だと。

鎌倉:高齢化社会の中、移動もご苦労されている人も増えてますし。

花井:効率化で片付けるのではなく、役場だけではなく町全体でやればいい。簡単じゃないかもしれないけど、ちょっと今の1%プラスして考えればできそうな気がする。

花井さんと鎌倉さん

本を開くことは、未来を拓くこと。

生まれた環境が違うというだけで、本を知らない子どもたちがいます。そんな子どもたちに本を届けるため、月々1,000円から活動を応援いただける「アジアの図書館サポーター」を募集しています。

アジアの図書館サポーター募集中