2020.08.22
読み物

シャンティな人たち「奈良大学文学部教授|嶋田学」

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連載企画

長年、図書館の現場で活躍され、図書館経営や図書館ネットワークづくりに携わってこられた嶋田学様に、人々の可能性を応援する本や図書館についてお話を伺いました。

プロフィール:嶋田学

1963年大阪生まれ。豊中市立図書館、滋賀県旧永源寺町図書館準備室、東近江市立八日市図書館、能登川図書館、永源寺図書館などを経て、2011年4月、岡山県瀬戸内市の新図書館開設準備室長に着任。2016年6月から瀬戸内市民図書館館長。2019年4月から奈良大学文学部教授(司書課程)。

図書館が結んでくれたご縁

2019年4月から、母校の奈良大学で司書課程の教員をしています。1986年に大学を卒業後、民間企業勤務を経て、1987年から大阪府豊中市立図書館で司書としてのキャリアをスタートしました。1998年10月からは、滋賀県旧永源寺町の図書館準備室で新たな図書館整備の仕事を2年間した後、2000年10月に永源寺町立図書館を開館させました。

2005年2月には、1市6町による市町村合併により東近江市立永源寺図書館となった図書館での勤務を続けていましたが、2006年に同市八日市図書館、2008年には同市能登川図書館に異動、2009年に再び永源寺図書館に戻り、開館10周年記念事業を企画、開催する機会に恵まれました。

その後、2011年4月からは、ご縁があって岡山県瀬戸内市内の新図書館館長候補者として転籍し、新図書館整備の仕事や学校図書館をはじめとした図書館ネットワークづくりなどの業務にもあたりました。市民との協働による基本計画策定や設計案の調整など、丁寧な図書館づくりを進めた結果、2016年6月1日に瀬戸内市民図書館もみわ広場がオープンしました。

図2

出会った人や自分自身が幸せになる仕事をしたい

以前から図書館経営や図書館論に関心があり、在野での研究や非常勤講師として教育の仕事にも少し関わらせていただいております。

当時、シャンティの広報課長であられた鎌倉幸子さんと知人を通しておはなしさせて頂く機会を得ました。東北での「走れ!移動図書館プロジェクト」を軌道に乗せられたぐらいの時期だったと思います。シャンティの事務所で色々なセクションの方々を紹介頂いて、みなさんのお仕事のことも伺って、自分も何かの形で支援の輪に交ぜてもらいたいと思いました。

人間、幸せになるために生きていると思うのです。あるいは生きたいように生きた結果、幸福という心象につながる、と言いましょうか。「学び」や「仕事」は、そうした結果につながるものとして、世の中にあってほしい。少なくとも、自分がかかわる仕事は、そこで出会った人々の幸せ、そして自分自身の幸福につながるものとなるようにしたい、というのが大切にしてきたことです。

図3

図書館は、必要とする「何か」をガイドしてくれるところ

図書館員は、みなさんが願う人生、こうしたいという可能性を応援し、役立ちたいと考えて働いています。ご自分の人生で必要な情報や、やってみたいこと、解決したい問題など、遠慮なく図書館に持ち寄って頂ければと思います。司書は、図書館にある膨大な資料や情報から、きっとみなさんの必要とする「何か」をガイドしてくれるものと思います。

生きていく力の大切なものの一つとして、「読むこと」をすくい上げ、特に支援が必要な地域の子どもたちに、絵本を届ける仕事、そして、図書館を作る事業を推進しておられるシャンティのみなさんには、言葉で表現しきれない敬意を感じています。引き続き、人類という仲間を見据えているシャンティのみなさんのお仕事を少しでも応援していければと思います。

「シャンティな人たち」

本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.302 (2019年秋号)」に掲載した内容を元に再編集したものです。

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