スォスダイチュナムトメイ(あけましておめでとうございます)
カンボジア事務所の加瀬です。
2020年はコロナ禍の中でカンボジアを含む全世界が大きく変化した年であったと思います。
未だ、光明が見えにくい中ではございますが、21年が皆様にとって、少しでも良い年となることを切に願っています。
私自身、現地での駐在生活をしつつ、コロナの新規感染が広がりを見せる時などは、自分自身のカンボジアでの在り方について、とても悩むことも多いのが正直な気持ちです。「困難な時間を共に過ごす事こそ、国際協力を志す者として大切なのではないか」という思いがある一方で、「外国人として自分が感染した場合など、結果としてこの国の人々に迷惑かけることになるのではないか」という狭間で、「『協力』という言葉が自分のエゴになっていないか」という思いが交錯します。東南アジアで長く活動をする機会を頂いてきましたが、私自身にとって、もっとも苦しい経験でもありますが、現在は、感染の拡大傾向が鈍化し、感染対策を徹底することで、駐在を継続することが出来ています。
コロナ禍以前でも、カンボジアの子どもたちが小学校で学ぶ時間は、ASEAN主要国の半分程度だと言われていました。教員や学校の不足で、2部制、3部制を導入する学校が全体の8割近くに上っているためです。新型コロナウィルスの影響で、子どもの「学ぶ」時間がさらに少なくなっており、失われた学びを取り戻すことは容易ではありません。
教育分野への支援活動を展開していく中で、これまで以上に教員が効果的に指導し、子どもがより良く学べる環境を、物理的にも、そして目に見えない指導や学習の質という形でも、構築していくお手伝いが、より一層重要になると思っています。コロナ禍の中で限られた学びの時間をこれまで以上に効果的なものにしなければならないからです。
人々の「学び」は目には見えません。
今日の「学び」が、すぐに明日の改善につながれば素晴らしいのですが、「学び」の多くが、すぐに結果として現れるわけでもありません。
自身の人生を振り返ると、たくさんの「学び」の機会がありました。「学び」がすぐに私自身の人生を変えたわけではないけれども、人生を生きる上での大切な「血と骨」となり、今の自分があると思っています。
見えない「学び」、すぐに成果が出ないかもしれない「学び」、それでも人生を生きる上でとても大切な行為である、「学び」。「学び」の価値をこれからも大切に、微力ではありますが。カンボジアの皆さんがこの困難な時代を乗り越えて行く上での、何かしらのお手伝いができればと思います。
カンボジア事務所 加瀬