世界の絵本を読んでみよう 「平和を好む鳥」ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ
シャンティ国際ボランティア会は、良質な本が少ないアジア各国・各地域で独自に制作した絵本を出版しています。子どもたちに質の高い絵本を提供できるよう、現地の作家やイラストレーターを対象とした専門家による研修を実施したり、少数民族たちに口頭で伝承されてきた民話などを絵本にまとめる活動を行っています。
今回は2009年ミャンマー(ビルマ)難民キャンプで出版した絵本「平和を好む鳥」をご紹介します。
1.昔々、あるところに、平和に暮らしたいと願うたくさんの種類の鳥たちがいました。鳥たちは、自分たちのリーダーを決めたいと、そろって長老たちに願い出ました。
2.長老たちは話し合い、サイチョウがリーダーに一番ふさわしいと結論を出しました。
リーダーになったサイチョウは言いました。「君たちは私をリーダーに選んだ。だから、私の言うことを聞き、私が命令したことは何でもしなければならない」。
3.サイチョウは、日が昇る前、まだ暗いうちに早起きをする鳥でした。彼は毎朝、まだ空が暗いうちから鳥たちを起こすようになりました。何日か過ぎたある日、みんなはサイチョウに合わせられなくなりました。
そこで、鳥たちは、長老たちに再びリーダーを選びたいと訴えました。
4.長老たちはまた話し合い、今度はキジを新しいリーダーに選びました。
リーダーになったキジは言いました。
「すべての兄弟、姉妹、父、母たちよ。君たちは私をリーダーに選んだ。だから、私の言うことを聞き、私が命令したことは何でもしなければいけない」。
5.キジは、アリ塚をつついて食べ物を見つける鳥でした。鳥たちは毎日、キジと一緒にアリ塚から食べ物を取らなければなりませんでした。何日かたつと、みんなはくちばしが痛くなり、キジに合わせられなくなりました。
鳥たちが再び新しいリーダーを求めたので、長老たちは話し合いの末、オウチョウがリーダーにふさわしいという結論に達しました。
6.リーダーになったオウチョウは言いました。「すべての兄弟、姉妹、父、母たちよ。君たちは私をリーダーに選んだ。だから、君たちはいつでもしたいように働き、起き、眠り、食べ物を見つければよい。君たちには、その権利がある」。
それを聞いた鳥たちは、オウチョウの方針を受け入れ、彼こそ完璧なリーダーだと尊敬しました。
「世界の絵本を読んでみよう」シリーズ
本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.320 (2024年11月号)」に掲載した内容を元に再編集したものです。
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