ミャンマーカレン族の伝統カレー「ターラポット」
皆さん、こんにちは。ミャンマー事務所のシトゥです。本日はミャンマーにある民族の一つであるカレンの伝統料理「ターラポット」をご紹介したいと思います。
東南アジアに位置するミャンマーは、他に類を見ない多様性を誇ります。国内には、数多くの文化、信仰、伝統、宗教、民族が調和を保ちながら共存しています。宗教の分野では、人口の89％が仏教徒であり、キリスト教、イスラム教、ヒンズー教、ユダヤ教、アニミズムも信仰されています。8つの主要民族と135の民族グループがあり、8つの主要民族の中ではビルマ族が全人口の70％を占める最大の民族です。
ミャンマーの各民族には、それぞれ独自の伝統料理があります。ラカイン族の有名な料理は「ラカイン モン ティ」であり、「シャンヌードル」はシャン族の伝統料理としてミャンマー全土で有名です。「カチンエール」やカヤーのソースもミャンマーで人気があります。
カレン族のソウルフード「ターラポット」
「ターラポット」は、ミャンマーのカレン族の代表的な伝統料理のカレーで、ソウルフードでもあります。「ターラポット」には、メインディッシュとしてシチューのようなどろっとしたタイプと、スープとしてよく食べられるさらっとしたコンソメタイプの2つの種類があります。かつてカレン族の人々は、長旅の間や農作業の間の食事として、葉っぱに包んだどろっとしたタイプの「ターラポット」を持ち歩いていました。
カレン族は、ミャンマー国内では少数派です。少数民族の人々は内戦の影響や差別を受け、多くの困難に直面してきました。家族のために十分な食べものを準備することができないこともあり、どうにかしなければなりませんでした。そのような中でも、カレン族の女性たちは、「ターラポット」を作ってしのいできました。一般的なミャンマーの食事は、ご飯に様々なカレーを添えて栄養をとります。ですが、どろっとしたタイプの「ターラポット」は、一皿で米、肉、野菜が取れ、栄養満点です。「ターラポット」の美味しさの秘訣は、材料に食用油を使わないことです。そのため、健康のために油を摂りたくないという人にぴったりなヘルシーな料理です。
ターラポットの材料・作り方
「ターラポット」の主な材料は野菜、肉、米粉などです。調理法はそれぞれの地域で微妙に異なり、それぞれの地域の食材や季節の野菜を取り入れています。タケノコは雨季に多く採れ、「ターラポット」の味を左右する重要な食材です。様々な種類のタケノコの中でも、オスのタケノコは甘味が強く、特に好まれます。ちなみに、タケノコはミャンマーで非常にポピュラーで、様々な民族が異なる調理法で料理に使っています。「ターラポット」には魚を入れるのが一般的ですが、魚介類だけでなく、豚肉、鶏肉、牛肉など、好みに応じて様々なバリエーションがあります。
私たちの事務所があるカレン州パアンの「ターラポット」の調理法は、タケノコを薄くスライスし茹でた後、お湯を捨て、再び新しい水にタケノコを入れ、お湯を沸かします。下茹でしておかなければ、苦みが残ってしまいます。お湯が沸騰したら、米粉か炒った米粉を加えます。米粉を炒めておくと、香ばしい香りをつけることができます。鍋底にこびりつかないよう、絶えずかき混ぜます。カレーにとろみがついてきたら、魚介ペーストを加え、次にきれいに洗った野菜を加えます。お好みでお肉を加えてもかまいません。最後に味つけもお好みで。
カレンの人々の多くは、生の鶏肉や海老、魚、または焼いた魚やカタツムリを使って「ターラポット」を作ります。タケノコ、ナハカノコソウ（薬草の一種）、ロングペッパー（インド原産のコショウの一種）、バジル、ジェンコル豆、コニマの葉や他の野菜は、好みに応じて加えます。乾燥したマスタードの葉とローストチキンを入れた「ターラポット」も美味しいです。
ターラポットが食べられる場所
パアンには「ターラポット」を出すレストランがたくさんあります。ナイトマーケットは特に有名で、郷土料理のレストランでは簡単にこの料理が食べられます。
（写真：ナイトマーケット）
フント パ タイ湖（Htunt Pa Taing Lake）はパアンの美しい観光地で、ベジタリアンでも写真のような付け合わせの料理と「ターラポット」を味わえます。
（写真：付け合わせの料理とターラポット）
（写真：フント パ タイ湖）
「ターラポット」とお肉を一緒に食べたい人には、カレン族の伝統的なレストランがおすすめです。
（写真：カレン族の伝統的なレストラン）
最近はカレン族の起業家が、観光客のために「ターラポット」のレトルト食品を作っているので、観光のお土産にもおすすめです。カレン族の人々は「ターラポット」に昔も今も変わらず深い感謝と親しみを感じており、「ターラポット」はカレン族の文化遺産ともいえる料理です。
ミャンマー事務所 シトゥ
