2011.05.02
読み物

メーソットからはじめまして~チャレンジに向けた新たな思い~

スタッフの声
ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ

皆さん、はじめましてビックリマーク

4月末よりミャンマー(ビルマ)難民事業事務所に赴任しました、渉外担当の菊池礼乃(きくちあやの)です。

私がこの地に到着してからまだ1週間も経っていませんが、事務所のあるメーソットの町を紹介しながら、赴任して最初に感じたことを綴ってみようと思いますメモ

私たちの事務所のあるメーソットは、タイ北西部のターク県の中に位置し、ミャンマー(ビルマ)への主要な玄関口となっています。タイの首都バンコクからバスで約8時間、途中くねくねとした山道を越えてやっと到着しましたクローバー

さすが、タイとミャンマーの国境の町、様々な民族の人々が集い、活気に溢れています。異なる文化が共存、融合するときの独特なエネルギーに町全体が包まれているような、そんな印象を受けます。



町を歩けば、タイ人、ミャンマー人、バングラデシュからミャンマーを越えて渡ってきたイスラム教徒、ミャンマー南東部からタイ国境にかけて広く住んでいるカレン人、少数ではありますが、中国系の人も見かけます。昔はこの国境の町にムスリム商人が多く居住していたそうですが、1988年のミャンマーでの民主化運動が鎮圧されてからは、ミャンマー人の数が急激に増えたそうです。また、欧米人の姿を見かけることもしばしば。この町には多くの国際機関、国際NGO、ローカルNGOがオフィスを構え、ミャンマーからきた難民や移民等への様々な支援活動を行っています目

このお店の看板も、この通り、タイ語、英語、ミャンマー語、中国語が併記されていて、この町に様々な民族の人々が共存していることをよく物語っています。

 

また、町の中には仏教寺院、モスク、カトリックの教会もあり、特に仏教寺院とモスクは、町の中に点在しているそうです。

料理も、タイ料理、ミャンマー料理、カレン料理、など様々な料理があり、どの料理にも舌鼓にひひ 1年後の体重が心配になってしまいます。。。

町を散策してみると、町の一角から大きな声援が・・・。どうやら、現地の高校の校庭で運動会のような催しものが開かれているようです。中に入ってみてみると、色々な民族の子どもたちが一緒になって元気いっぱいサッカーや綱引きなどの競技に参加しています。とても身近な風景の一つですが、ここにも、民族の共存、融合の一端を見たような気がしました。

 

このような、文化の共存、融合が見られる一方で、日々この町の複雑な現実を目の当たりにします。民族の迫害を受けてタイ側に逃げて来ざるを得ない人々、少しでもよい賃金を求めて出稼ぎにくる人々、その中で食べることもままならない人々、病院へ行けない人々、学校に行けない子どもたち。。。

数日前に、メーソットにあるメータオクリニックという無料で診療を行っている病院を、このブログにも以前登場された歯科医の阿部先生に案内していただきました。先生は、ボランティアとして、定期的にこの病院で診療をされています。たまたま病院の中を見学しているときに、この病院の創設者であるシンシア先生にお会いすることができたのですが、後で阿部先生からシンシア先生の信念の話を伺うことができました音譜

シンシア先生は、「困難」を表す、’difficult’ と’challenge’という単語を使い分けるのだそうです。そして、あえてこの病院が直面しているタイ、ミャンマー国境の複雑な現実に対して、よりポジティブな、乗り越えていける’challenge’(チャレンジ)という言葉を使い、前を見据えながら、活動を通して、少しでも状況を改善していこうと尽力されているとのことでした。

私たちのミャンマー(ビルマ)難民事業事務所の主な活動は、タイ、ミャンマー国境の難民キャンプになりますが、そこでも、メーソットの町が持つような複雑な現実、もしかしたら、もっと顕著に難民の人々が抱える複雑な実情に触れることになるかもしれません。

メーソットに到着して数日でも、目の前に広がる現実に、自分が何ができるのだろうと改めて考えさせられてしまうのですが、シンシア先生が言うような、’challenge’の気持ちを持ち、常に前を見据えて、1冊の絵本から、多くの子どもたちの笑顔に繋がるように、一生懸命頑張りたいと気持ちを新たにするのでした!!


メータオクリニックの前で