2009.05.18
読み物

ラオスの医療事情

ラオス

シャンティラオス事務所の川村です。

ここ2週間我が家は不運で、3歳の息子の発熱と嘔吐による4日間の入院(腎盂炎)に引き続き、先週は妻が高熱と腹痛で緊急入院する羽目になりました。入院といっても、ラオスの病院にではなく、タイのウドンタニ県の大きな私立病院です。
ラオスの病院はそのほとんどが国公立で、社会主義の国ですから、基本的に治療費は無料か極めて低額なのですが、かといってまったく無料で治療を受けられるわけではありません。薬や注射、手術の必要があれば、縫合の糸や点滴もその場で自分で買わないといけないのです。結局お金がない人は治療を受けられないのです。その一方で、医療レベルの質の低さはあちこちでささやかれ、特に首都の人には不人気です。医療事故も多発しています。質の低さももちろん、医療関係者の責任感というか意識も問題です。

私の同僚は以前マラリアに罹り、酷い頭痛と高熱に悩まされ、急いでラオスの国立病院の救急外来を訪れたところ、酷い頭痛の原因は「眼鏡の度数があっていないのでは?」といわれたといって憤慨していました。私の経験でも、検査もせず、すぐに想像で病名を判断し、薬を処方し、効果がないと更に量を増やす傾向ありです。

これでは、ちょっと心配な病状の時は安心できません。そのため、どうしてもタイの私立病院を頼ることになります。

しかし、ヴィエンチャンからタイのウドンタニ県までは、国境越えのうえ車で片道2時間。更にラオスは右側通行、タイは左側通行で運転も気を遣います。今回の息子と妻の入院で、結局私は10回も往復せざるを得ませんでした。

細菌培養検査の結果、妻の病名はなんと「腸チフス」でした。清潔な日本ではほとんどなくなった病気ですが、東南アジアではまだまだ一般的。放っておけば40度を超える高熱で死ぬこともあるそうですから、気をつけなければいけません。



タイの私立病院に入院する息子