2009.07.29
読み物

三木先生にお会いしました

ラオス

こんにちは。シャンティ絵本を届ける運動の服部です。
以前、このブログでも紹介され、ラオスでの謄写版(とうしゃばん)ワークショップでお世話になった三木敏正先生にお会いしました。三木先生は、大阪府吹田市に勤務されている小学校の先生です。

ちょっとしたインタビューも行いましたので、その様子を披露いたします。

Q1:シャンティラオス事務所では、10年ほど前、ガリ版ネットワークの志村章子さんを通じて三木先生を紹介頂き「謄写版による文集作りワークショップ」を開催しました。三木先生は最初どのような思いでラオスにいかれましたか?

最初、「ラオスの小学校の先生へ」というタイトルで、手紙を書いて、それを志村さんにラオスまでもっていってもらいました。ラオスのワークショップは、行く前は、自分でいいのか・・・というのが正直な気持ちでした。でも志村さんから「十分でない教育環境の中でも頑張っているラオスの先生たちを励ましてほしい」との言葉に心を打たれ、ラオス行きを決心しました。


Q2:確か3~4日間のワークショップでしたが、一番強く印象に残ったことを教えて下さい。

ラオスの先生が原稿をもってきて、それを謄写版で形にする喜びが感じられてよかったです。一番心に残ったのは、最終日の閉会式。参加していたラオスの先生方一人ずつに謄写版を手渡ししました。ラオスの先生方はとても嬉しそうで、自分の新任時代と重なりました。
Q3:その他、ヴィエンチャンの町、ラオスの人、社会など感じたことがあったら教えて下さい。

ヴィエンチャンは草のにおいのする空港。例えばバンコクは大阪、ヴィエンチャンはのどかな東北という印象。初めての町なのに、何度か足を踏み入れたことのあるような町並で、なつかしさでいっぱいになりました。

Q4:ラオスから戻った後、先生はラオスのことを学習テーマにして生徒たちに伝えようとされたと伺っています。その授業では、いったいどんなことを子どもたちに伝えたかったのですか?

ラオスから帰ってきて、吹田市の道徳教育副読本でラオスの子ども達のことをとりあげ、ラオスの子どもは、水くみ、まきひろいなどお手伝いをたくさんすることを紹介しました。子どもにも役割があることを、写真付きで日本の子どもたちに伝えました。ラオスという国の関心を高め、総合的な学習として国際理解教育へと広げていくことができました。

Q5:日本はもとより、ラオスでも、電気とテクノロジーの発達によって、謄写版などの手間のかかるローテク技術がだんだんとすたれてきました。そんな中、謄写版が学校教育にもたらしたもの、残したものとは、どんなものだったのでしょうか。先生の体験から教えて頂けますか?

謄写版印刷は、1つ1つ丁寧にガリキリするので、1つの文集、作文が丁寧にできるのです。作業があることで、ただ書いてコピーするより子ども達も丁寧に作業します。印刷がどのようにできるのか、子ども達にもしくみが学べます。物質的に豊かで技術が進んだとしても、心が荒廃しては何もならないことを教えてくれる、ひとつのノスタルジアかも知れません。

私自身の経験ですが、教師になったら子どもと共同作業のできる謄写版をやろうとずっと思っていたので、初任給48,000円もらって、16,000円をはたいて謄写版を購入したのです。転勤しても自分で購入した謄写版なので、持参して次の学校に行きました。

その謄写版は、吹田市立古江台小学校4年4組の教室にあります。謄写版に必要なろう原紙がもう手に入らないので使うことはできません。しかし図工の時の版画印刷で、そのローラーがまだ現役で使っています

三木先生ありがとうございました。シャンティではラオスの子どもたちへの支援活動を続けています。これからも応援をよろしくお願いいたします。