少しずつ、一歩ずつ
ラオスでは読書の重要性や教育分野における役割が認められ
教育省は数年前から全国の小学校に図書室を設置しようという
計画を進めています。
現地の自治体や民間支援団体等の協力により、小学校に図書室が
設置される数が徐々に増えています。
比較的早い時期に図書室が設置された小学校へ、図書館事業課の
スタッフと一緒に行ってみました。
民間支援団体の寄付を受けて図書室に入ってみると、
なかなか、うまくはいっていないようです。
小学校の校長先生から、この図書室の担当は彼女です、と
紹介されたのは、見るからに新人の若い女性の先生。
『本、好きなんです。好きなんですけど...、あのぉ...』
その後の言葉が、続かない。
薄暗い図書室で、しかめっ面の校長先生と隣で固まる先生。
しぃ~ん
うわっ、この空気をなんとかしなけねば!と、孤軍奮闘、奮起一番!
私のありったけの、かつ、全てがおぼつかないラオス語で
『いやぁ~ あのですね、図書というものは、なんと言いますか...』と
身振り、手振り、全身を使って話し始めた時、隣から、
『あっ、向こうの校舎って、中はどうなんってんですか』なんて、先生に
向かって伺うような感じで立ち上がり、歩き出すスタッフ。
木陰を、ぽつぽつ歩き始めて、ぽつぽつ話し始めている2人。
新人の先生と、ラオス事務所・ベテランスタッフのミンチェン。
2人を追いかけるタイミングを逃した私は、薄暗い図書室でしかめっ面の
校長先生と図書室について話そうと挑んだが、肝心の『図書室』の
ラオス語通じない。
語尾を上げたり下げたり、語頭を伸ばしたり縮めたり。手を変え品を変え...
ホーンサムット、 ホーンサームーット、 ホーンーサームーットー
小学校からの帰り道、新人の先生と歩きながら何を話していたか尋ねると、
『少しず、がいいと思います、一歩ずつで、いいと思いますよ、それに
頑張ると長続きしないから、出来る事からやればいいと思います、と。
まずは、先生が好きな本を、子どもたちにも教えてあげるのとか、
どうですか って、言った。 で、スズキサンたちは何を話してたの?』
『話せば長くなるから、やめとくよ』
中央省庁がすべきこと 新人の先生ができること SVAが取り組むこと
それぞれが手を取り合って、いつか、きっと、必ずと、願っています。
ラオス事務所 鈴木淳子