高騰する食糧とラオス農業開発
サバイディー(ラオス語でこんにちは!)
ラオス事務所の半田です。
先日、新聞記事の見出しを見て驚きましたので、
今日はラオスの農業についてお伝えします。
私が驚いた記事は、
「唐辛子(1キロ)の値段が豚肉(1キロ)の値段を上回る」
という8/31のビエンチャンタイムズの記事でした。
まさかと思っていたのですが、記事を読み進めていくと、
唐辛子1キロ当たりの値段が3万から4万キープ(およそ400円から530円)
確かに豚肉に1キロに匹敵するくらいの値段になっています。
主な原因は、供給量の不足です
(雨季は、洪水や野菜がだめになるリスクがとても高いそうです。)
地元の方も、雨季になると野菜の値段は高騰するのは想定の範囲ですが、
この値上がりの仕方は異常だと記事の中でインタビューを受けた女性は言います。
実は、食料の値段の高騰はラオス国内でも議論の的になっています。
国連食糧農業機関(FAO)のデータによると、国内の食の値段指標は
最も低い2004年の7.54から2012年には8.62へと上がっています。
(この食料価格の上昇は、物価の上昇の影響もあると思われます。)
参照した記事によると、食の値段は、マーケットセールによって決まり、
政府機関ではコントロールすることができません
(ただし、ラオス国内では、豚肉は例外的に値段をコントロールされているそうでうす。)
ラオス商務省は、他の中央機関、県や郡の農業機関に国内の農産物の流通に関する調整の改善を行っています。
この新聞記事(ヴィエンチャンタイムズ2017年8月31日の記事)は、
ラオスの農業の課題はマーケットシステムにあると指摘しています。
農産物の生産者はその生産物を販売する場所がないと訴えています。
FAOによると、ラオスの農業の約80パーセントは自給自足のためで、30パーセント程度が商業用となっています。
しかし、インフラストラクチャーの未整備などが伴い、農産物の流通網が発展していないことなどが規模の拡大を妨げていると考えられます。
一方、ラオス国内の農業機関は、生産者の生産する量が、外国市場の需要に満たないことが原因であるとも言っています。
欧州連合(EU)の統計によると、ラオスからEU加盟国内に輸出された農産物のシェア見ると、わずか0.1パーセント。隣国ベトナムの2.2パーセント、タイの2.1パーセントに比べるととても少ないです。
実は、ラオスの総耕地面積は、国土の10パーセントにすぎません。農業の多くは、天水農業が中心で、気候条件の影響をとても受けやすいため供給量の安定がとても難しくなっています。実際、ラオスで輸出が可能なほど安定した供給が可能なものが、コーヒーくらいであり、他の野菜や果物などは生産量拡大のためにさらなる技術革新が必要とされています。
この現状に対して、ラオス国内では他国からの投資や援助もあり、農業技術向上プロジェクトが多数行われています。
実は、ラオス国内では肥料や農薬の値段が高いことも影響し、これまで化学肥料や農薬を使用せず、気候的な特性から害虫が少ないことから、有機農法に適した場所が多くあります。そのことから、有機農法を用いた農業技術革新プロジェクトも多く行われています。
安全な食べ物を家族や友達と楽しく食べたいですよね。
ラオス国内で食の安全に配慮した農産物マーケットの拡大がとても楽しみです。