ラオスの村で見つけた、キャッサバとのつながり
皆さんこんにちは。
東京事務所、事業サポート課の谷島です。
前回、私が担当しているラオスに出張したときのことです。
小学校を訪ねてルアンパバーン県の北部にあるポントン郡のある村に行きました。
先生の家で昼食の準備をしていた時、家の外でキャッサバの薄切りを天日乾燥しているのを見つけました。
キャッサバとは?
もしかするとキャッサバを聞いたことがない方も、タピオカは食べたことがあるのではないでしょうか。
キャッサバはタピオカや、インドネシアなどでよく食べられている「えびせん」など、お菓子や麵類といった加工食品の原材料になっていて、実は私たちにとっても身近な食材になってきています。
以前、私は大学(農学部)でキャッサバの病虫害の調査をしていたことがあるので、ラオスの村で思いがけずキャッサバに出会えたことに、ついつい感激してしまいました。
キャッサバは南米原産のイモ類で、私が調べた十数年前の当時、ナイジェリア、ブラジルに次いで、タイが生産量の世界第3位でした。4位がインドネシアでしたが、生産高の変動幅が大きく、毎年アジアの2か国の順位は拮抗していました。2014年~2019年には、タイのキャッサバ生産量は変わらず世界第3位で、近年は第4位のインドネシアの1.5倍程度の生産量をキープしています。(出典:FAOSTAT 以下同様)
タイと国境を接しているラオスでも、キャッサバは傾斜地でも栽培できることもあり、山がちな地形であっても生産が増えているのでは?と思い調べたところ、2008年~2018年の10年間で、ラオスのキャッサバの生産量は9倍ほどに増加していました。
ちなみに2019年時点でラオスのキャッサバ生産量は世界26位でした。
その背景は、タイへの輸出需要が増え、その供給先として周辺国のラオスとカンボジアに期待の目が向けられているそうです。そして、シャンティが活動しているルアンパバーン県は、メコン川流域に次ぐラオス国内のキャッサバの主要産地ということでした。(出典:ラオスのキャッサバ生産)
ところで、キャッサバには有害な物質が含まれていることがあるので、収穫後に「毒抜き」の加工が必要ですが、天日干しはその方法のひとつです。
輸出用の分については大規模なプランテーションで生産され、収穫・出荷後にタイや中国のデンプン工場で加工されていますが、家庭で使う分については、こうして各家庭で加工しているのでしょう。
ちょっと目を離したすきに・・・
そんなことを考えていると、どこからか一匹のブタが現れて、キャッサバの周りをウロウロし始めました。
ふと皆が目を離したそのとき、ブタはすかさず鼻でキャッサバの乾燥台を器用にヒョイとひっくり返して、なんと加工中のキャッサバを地面にぶちまけると、勢いよく食べ始めました。
私が慌てて先生を呼んでくると、先生はとっさに大声をあげ、石や小枝を投げてブタを追い払い、他にもあったキャッサバの乾燥台をブタの手(鼻)が届かない薪棚の上に急いで移動しました。
(まるで、お魚をくわえた猫を追いかける「サザエさん」の一シーンを見ているようでした)
本当は最初からこの場所にあった方が良いのでしょうが、ここは軒下なので、より日光が良くあたる元あった場所に置いてあったのでしょう。
ブタの方は、先生が家の中の台所に戻り、ほとぼりが冷めた頃、どこからともなく戻ってきて、地面に残っていたキャッサバをあっという間に平らげると、またそそくさとどこかへいなくなりました。
先生とブタの様子を見ていて、この近所で飼われているブタで、きっと常習犯なのだろうな、、という気が何となくしました。ブタは毒抜きが終わっていなくても中毒にならないのか?とも思いました。(後で調べてみたら、なんとブタのキャッサバ中毒による死亡例の報告もあるのだそうです。キャッサバの品種や土質にもよりますが、果たしてこのブタはどうだったでしょうか)
身近になったキャッサバと私たち
タピオカの食感はモチモチしていて、私も大好きですが、モチ米を食べる文化のラオスでも、きっと色々なキャッサバの加工・調理があって、家庭の食卓や、子どもたちのおやつに登場していることでしょう。
次回の出張のときには、キャッサバで作るラオスの家庭料理やお菓子をリサーチしたいとひそかに考えています。(グルテンフリー食材としても注目しています!)
ただしその一方で、増えるキャッサバの需要が、現地の家庭や子どもたちに負の影響を与えている可能性があることについても、決して忘れてはならないと思います。
https://sva-old.skr.jp/wp/?p=23780
お読みいただき、ありがとうございました。
事業サポート課 谷島