2021.02.01
読み物

【寄稿】松永然道名誉会長と“ラブ・ミー・テンダー”(大菅俊幸)

スタッフの声
連載企画

年4回発行しているニュースレター「シャンティ」に寄稿いただいたシャンティと深く関わりのある方からの記事をご紹介します。

シャンティ国際ボランティア会 専門アドバイザー
大菅俊幸

熱気あふれる予算会議

思い出話を一つ。1997年の1月、シャンティに入職して一年余りの時であったと記憶する。年度末に行われる予算調整会議が、東京都葛飾区にある「水元青年の家」で合宿形式で行われた。
当時のシャンティの会議は、熱血漢が多かったせいか、事業に対する思い入れが強かったからか、怒号が飛び交うのも珍しいことではなかった。予算を削減せよ、といつも集中砲火を浴びていたのが私の属する広報課でもあった。
昼間の会議が終わって「やれやれ」と夕食を取って、ひと風呂浴びると、施設の音楽室にピアノやギターやボンゴがあるのを見つけた。当時のスタッフ、澤元さんと岩船さんに声を掛けて一緒に演奏を始めた。この三人は、それまで音楽活動をしてきた人たちで、意気投合してシャンティーズというバンドを結成したばかりであった。

気持ちをひとつにしてくれた歌

気がつくと、その音につられて、音楽室にほぼ全員のスタッフが集まっていた。湯上がりのタオルを頭に乗せて、浴衣姿の松永さん(名誉会長)も有馬さん(初代専務理事)もいた。しばらくすると、つかつかと松永さんが来てこう言った。「私にも歌わせてくれる?」。


故・松永然道老師(左)
そして始まった「Love me tender , Love me sweet , Never let me go~」。何と、ロックの神様エルヴィス・プレスリーのヒット曲、「ラブ・ミー・テンダー」であった。歌い終わると万雷の拍手。「松永(名誉)会長が、このような歌を歌うとは……」。そんな歓喜の拍手でもあった。その場が一つになっていた。その後で松永さんは私にこう言った。
「そうだね。悲愴感だけじゃ駄目だよね。こうでなくっちゃね。大菅さん、ありがとう」私の気持ちを分かっていただけたようで、少しうるうるきたのを覚えている。つくづく「シャンティに入ってよかった」と思った時であった。

本寄稿記事とニュースレターについて

本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.293 (2018年冬号)」に掲載した巻末言「道」の内容を元に再編集したものです。※ニュースレター「シャンティ」は年4回発行し、会員、アジアの図書館サポーターに最新号を郵送でお届けしています。

シャンティは、子どもたちへ学びの場を届け、必要としている人たちへ教育文化支援を届けています。引き続き、必要な人へ必要な支援を届けられるよう、月々1,000円から継続的に寄付してくださる「アジアの図書館サポーター」を募集しています。