【寄稿】難民キャンプでの平和の祭典(天野教之)
年2回発行しているニュースレター「シャンティ」に寄稿いただいたシャンティと深く関わりのある方からの記事をご紹介します。
シャンティ国際ボランティア会 専門アドバイザー
天野教之(天野医院 院長)
難民キャンプでの平和の祭典
2018年にミャンマー(ビルマ)難民事業事務所(BRC)のセイラーさんと東京でお会いする機会があり、難民子ども文化祭に誘われた。難民子ども文化祭は元々、カンボジアのアンコールワットの広場で開催していたと聞いているが、ミャンマー難民キャンプ内においても多民族の文化交流をはかる目的でシャンティが開催してきた。以前BRCを訪問した時に記録ビデオを見せてもらっていた。その実際を見たいと強く思い、急遽スケジュールを調整し訪問した。
日中のゲームプログラムに参加する子どもたち
難民子ども文化祭では、昼間の部ではすべての子ども、すべてのスタッフが同じTシャツを着て歌・ダンス・ゲームを楽しむ。それぞれの民族対抗のゲームもあり、民族が入り混じったチームのゲームもあり。ゲームをみんな一緒に楽しむ。うまくいってはしゃぐ子、ちょっと悔しそうな子。みんなが声を合わせて、リズムを合わせてダンスする。広場には笑い声が広がる。そこには民族の壁なんてない。
日が暮れてあたりが暗くなってからは舞台に明かりが灯され、民族衣装を着た子どもたちが舞台に立ち、その民族の舞踊や歌を披露する。みな誇らしげ。舞台を見つめる子どもたちの瞳も輝く。自分の民族文化に誇りを持ち、他民族の文化を素晴らしいと感じる。
民族舞踊を誇らしげに披露する子どもたち
私自身は島国日本に生まれ育ち、あまり日本人としてのアイデンティティ―を意識することはなかった。しかしこの難民子ども文化祭に参加して日本人としての文化を強く感じた。そして他の民族もまた独自の素晴らしい文化を持っていることを実感した。また民族の壁を越えて仲良くできることを確信した。きっと子どもたちも同じ体験をし、彼らは将来の世界平和の礎になるだろう。
開会式では「世界平和は一人ひとりがみなシャンティ(平和、寂静)な心を持つところから始まるのですよ」と三部副会長は子どもたちに呼びかけた。子どもたちも、そして私も難民文化祭への参加を通して、シャンティな心に触れることができた。
本寄稿記事とニュースレターについて
本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.315 (2022年6月号)」に掲載した巻末言「道」の内容を元に再編集したものです。※ニュースレター「シャンティ」は年2回発行し、会員、アジアの図書館サポーターに最新号を郵送でお届けしています。
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