2025.08.12
読み物

世界の絵本を読んでみよう 「ウサギとスズメ」アフガニスタン

アフガニスタン
世界の絵本を読んでみよう
絵本
連載企画

シャンティ国際ボランティア会は、良質な本が少ないアジア各国・各地域で独自に制作した絵本を出版しています。子どもたちに質の高い絵本を提供できるよう、現地の作家やイラストレーターを対象とした専門家による研修を実施したり、少数民族たちに口頭で伝承されてきた民話などを絵本にまとめる活動を行っています。

今回は2009年 アフガニスタン「ウサギとスズメ」をご紹介します。


1.森の中にウサギの親子が住んでいました。ある日、子ウサギは外に遊びに行きたくてしかたありませんでしたが、母ウサギは「帰ってくるまで家を出てはだめよ」と言い、食べ物を探しに出かけました。
しかし、子ウサギは外に出てしまいました。その様子をウサギ親子の家の近くに住むスズメが見ていました。スズメは大急ぎで子ウサギを追いかけ「早く戻りなよ。オオカミに食べられてしまうよ」と言いました。


2.しかし、子ウサギはスズメの言うことを聞かずに進み、突然オオカミに出くわしました。しかし、子ウサギはその動物がオオカミだと気づいていません。
オオカミに目的地を聞かれた子ウサギは「緑の原っぱに遊びにいくんだよ」と答えました。するとオオカミは「一緒に行こう。僕には自分だけの野原があるんだ。緑の草もニンジンもたくさんあるよ」と言い、子ウサギは喜んでついていきました。


 
3.スズメがもう一度飛んできて言いました。「これがオオカミだよ。ついて行くと食べられてしまうよ」。しかし子ウサギは「僕は行くんだ!邪魔しないでよ!」と無視しました。そこでスズメは母ウサギのところに飛んでいき、子ウサギがオオカミについて行ってしまったことを伝えました。


4.オオカミと野原に着いた子ウサギは、ニンジンを食べておなかがいっぱいになりました。するとオオカミは「僕の家においでよ」と言いました。
子ウサギがオオカミの家に入ると、コンロと鍋が目に入りました。子ウサギが「何に使うの?」と尋ねると、オオカミは「この鍋でお前を料理して食べるんだ!」と言いました。


5.怖くなった子ウサギは椅子の裏に逃げ込み、隠れて泣きました。「あぁ、どうして僕はお母さんの言うことを聞かなかったんだろう!」
その時、外で母ウサギの声が聞こえ、オオカミがよそ見をしている隙に、子ウサギは家の外に飛び出しました。気づいたオオカミも、子ウサギを追って飛び出しましたが、オオカミは自分で掘っていた穴に落ちてしまいました。


6.子ウサギは無事、母ウサギのもとへたどりつき、一緒に家に帰りました。母ウサギは「なぜ言いつけを守らずに外に出たの?」と子ウサギを叱りました。子ウサギは「お母さんごめんなさい。これからは必ず言うことを聞きます」と謝りました。


「世界の絵本を読んでみよう」シリーズ

本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.321 (2025年06月号)」に掲載した内容を元に再編集したものです。

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