2020.11.22
読み物

【寄稿】SDGsを本当に実現すべきものと想っているか(増田和生)

SDGs
ニュースレター
人びとの声
連載企画

年4回発行しているニュースレター「シャンティ」に寄稿いただいたシャンティと深く関わりのある方からの記事をご紹介します。

シャンティ国際ボランティア会 監事
増田 和生 元 自治労大阪本部 特執

時代に即した支援活動のあり方

はじめてシャンティの活動を知り、タイのセンサイ村やラオスのリンサン村などで一緒に活動させて頂いた時から30年近くになる。支援に行ったというより、現地スタッフの活動姿勢から学ばせてもらった記憶が多い。
今ではラオスの少数民族が暮らす地域での複式学級支援、カンボジアのコミュニティラーニングセンターでの識字教室や幼児教育の質の改善を目指した活動など、現地教育行政部局との地道な連携で大きな評価をいただいている。アフガニスタン、ネパール、ミャンマーまた国内外の災害被災地への支援などを含めて、シャンティとしては現在持てる能力を最大限に引き出して活動していると思う。
だからこそ、2019年からの活動の押さえ処、方向付けを多くのステークホルダー(利害関係者)の方々と「共通のものとしていく過程」が重視されなければならないと感じる。
環境に適応し続けるものだけが生き延び、次の役割を果たすとよく言われる。長く抱え込み、大切にしてきたことがリスクに転化していないかを問い直さなければならない難しい局面だ。

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2013年9月 ラオスで撮影(著者:後列左から3人目)

SDGsで問われる活動のかたち

現役時代、私は自治労という労働組合で長く活動してきた。自治労がカンボジア、ラオス、ベトナムで「アジア子どもの家」事業を5年間、シャンティと日本国際ボランティアセンター(JVC)のサポートを受けて取り組み始めたのは1996年だった。自らの利害を中心とする活動から、アジアの子どもたちに目を向け、今でいえばSDGsのような活動を始めたのだと思う。今、労働組合が格差の拡大を食い止め、ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の獲得へと歩を進められるか。SDGsを受けて、本業のあり方にまで踏み込み始めている企業セクターがある中で、NGO/NPOにとってはチャレンジするしかないところに来ているのだと思う。

本寄稿記事とニュースレターについて

本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.299 (2019年春号)」に掲載した巻末言「道」の内容を元に再編集したものです。※ニュースレター「シャンティ」は年4回発行し、会員、アジアの図書館サポーターに最新号を郵送でお届けしています。

シャンティは、子どもたちへ学びの場を届け、必要としている人たちへ教育文化支援を届けています。引き続き、必要な人へ必要な支援を届けられるよう、月々1,000円から継続的に寄付してくださるアジアの図書館サポーターを募集しています。