【寄稿】教育協力と「非認知スキル」の向上(浜野 隆)
年4回発行しているニュースレター「シャンティ」に寄稿いただいたシャンティと深く関わりのある方からの記事をご紹介します。
シャンティ国際ボランティア会 理事
浜野 隆 お茶の水女子大学 基幹研究院人間科学系教授
シャンティとの出会い
1994年ごろのことです。当時東京工業大学の助手だった私は、国際教育協力の専門家になるための養成研修を受けていました。その中の1コマに、「NGOの教育協力」というセッションがあり、「曹洞宗国際ボランティア会」の方がお話に来てくださったのを覚えています。
おそらく、これが私がシャンティを知る最初のきっかけだったと思います。
教育者として関わる国際協力
1995年以降、20年以上にわたって、私はアジア、アフリカの各地で教育協力、特に基礎教育分野への協力に、事業形成、評価、専門家、開発調査、研修受け入れなど、様々な形でかかわることになりました。気がつけば、大学では「教育開発論」や「国際教育協力論」を担当する教員になっていました。
現在私が勤務するお茶の水女子大学は、日本で最初の幼稚園が附設された学校であったことから、幼児教育に関して長い伝統があり、幼児教育の国際協力にも積極的です。
私自身も、シャンティがカンボジアで展開する幼児教育の調査(写真)やアフガニスタン向けの絵本作成などでご一緒することができ、多くのことを学ばせていただきました。
カンボジアの幼稚園での読み聞かせ(2007年撮影)
幼児教育の重要性
現在、教育界では、非認知スキル(意欲や忍耐力、社会性等の総称)が注目されています。
非認知スキルは幼児期に大きく伸びると考えられており、世界的にも幼児教育への関心が高まっています。
また、2018年、シャンティが事務局を務めるJNNE(教育協力NGOネットワーク)主催のセミナー「教育の質と非認知的スキル」にて、講師をさせていただきました。多くの方々に参加をいただき、教育協力において非認知スキルへの関心が高まっていることを実感しました。
本の読み聞かせは子どもの向社会性(思いやり)を高めるといわれており、幼児教育も含め、シャンティの事業は、非認知スキルに関係するものが多いと感じています。
学力や識字能力といった「認知スキル」のみならず「非認知スキル」への効果という点からも、今後のシャンティの教育協力に期待しています。
本寄稿記事とニュースレターについて
本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.302 (2019年秋号)」に掲載した巻末言「道」の内容を元に再編集したものです。※ニュースレター「シャンティ」は年4回発行し、会員、アジアの図書館サポーターに最新号を郵送でお届けしています。
シャンティは、子どもたちへ学びの場を届け、必要としている人たちへ教育文化支援を届けています。引き続き、必要な人へ必要な支援を届けられるよう、月々1,000円から継続的に寄付してくださる「アジアの図書館サポーター」を募集しています。