2021.09.09
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カンボジア「まち」の昔と今

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カンボジア
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2021年の今年は、シャンティがカンボジアに事務所を開設して30年目になります。本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.301(2019年夏号)」の内容を元に再編集して掲載しております。

現在、150万人ほどが暮らすカンボジアの首都プノンペン。内戦が終結した1979年の人口は2~5万人ほどだったと言われています。近年は、中国の洪水のような投資により高層ビルが立ち並び、新車や新型トゥクトゥクが忙しく街の中を行き来しています。

経済的な変化や日本企業

世界銀行によるとカンボジアは2015年の1人当たりの国民総所得(GNI)が1070ドルとなり、低所得国(1025ドル以下)から低中所得国(1026ドル~4035ドル)になりました。しかしながら、国連の分類では引き続き「後発発展途上国(LDC)」で、カンボジア国民の35%(UNDP発表の多次元貧困指数)がまだ貧困状態にあるといわれています。カンボジアは今後も経済成長を続けながら、貧困層の生活レベルを向上させてゆかなければなりません。そのためには民間投資を促進し企業活動を盛んにするとともにカンボジア政府や市民組織が自立・発展するように各国政府や国際NGOなどによる教育や医療、インフラなどに対して継続的な支援が必要とされています。

2 モニヴォン通り(南へ下る)19871212
プノンペンのモニボン通り(1987年)

4 同、モニヴォン通り(南)20170509
プノンペンのモニボン通り(2017年)

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建設ラッシュのプノンペン市街(2019年)

仏教国、破壊からの復活

紀元前3世紀、カンボジアに仏教が伝来して以来、仏教はカンボジアの社会に深く浸透し、「カンボジア人であることは仏教徒である」といわれるほど人々の仏教に対する信仰心は篤く、仏教はカンボジアの精神文化の基盤となっています。
暗黒のポル・ポト政権時代(1975年4月~1979年1月)にはあらゆる宗教が弾圧され、すべての仏教寺院(3369ヵ寺)は閉鎖。6万5千人いた僧侶はすべて還俗させられました。しかし1979年にポル・ポト政権が崩壊すると、人々は心の奥深くに封じ込めていた信仰を取り戻し、地球社会の核となる寺院を再興させ、ゼロからの村づくり、国の復興が始まりました。
内戦から和平、復興、開発へ。そして経済発展を目指すカンボジアですが、その反面、民主化の後退、格差の拡大、開発による環境破壊や土地問題の激化、伝統文化の衰退、モラルの退廃などの問題が起こっています。
しかしながら、破壊された仏教が人々の信仰によって蘇ったように、コミュニティーの中心にお寺があり、人々の心の中に仏教がある限り、どんな問題が起こったとしてもカンボジアの人々は必ずその問題を乗り越えてゆくことでしょう。

文筆 手束耕治

2 同、正面 19950721
カンボジア国立仏教研究所の再建予定地(1995年)

20190524 仏教研究所正面
再建後のカンボジア国立仏教研究所(建物手前、2019年)

特集「変わりゆくカンボジア、今の姿」

本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.301 (2019年夏号)」に掲載した内容を元に再編集したものです。

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