2024.09.10

絵本に込められた想い『やっぱりおおかみ』

ラオス
絵本
絵本のチカラ
絵本を届ける運動
連載企画

シャンティは1999年から「絵本を届ける運動」を開始し、絵本が不足するアジアの地域に日本から絵本を届けています。厳しい環境で暮らす子どもたちに、絵本を通してたくさんの物語や言葉を知る喜びに出会ってほしいと願い、これまでに40万冊以上の絵本を届けてきました。

子どもたちの年齢や文化的背景に応じて必要な絵本は異なり、児童書の書店員、図書館員、出版社から、おすすめを教えてもらっています。

今回は、絵本『オレンジいろのペンギンThe Story of James』に込められた想いを、株式会社福音館書店の町田春生さんに伺いました。

『やっぱりおおかみ』

『やっぱりおおかみ』作・絵:ささきまき 出版社:福音館書店

 

心の隙間に「おおかみ」を

ひとりぽっちのおおかみが、仲間をもとめて街をさまよいます。
「どこかに だれか いないかな」
うさぎ、やぎ、ぶた……。みんなにぎやかで楽しそうにしているのに、おおかみが来ると逃げ出してしまいます。
「おれに にたこは いないかな」

ちょうど50年前、前衛漫画家であった佐々木マキさんの、絵本作家デビュー作として描かれたこの絵本は、孤独なおおかみが、最後には孤独な存在である自分を受け入れるというこれまでにない斬新なテーマで、不思議な余韻を感じさせるものでした。
幼いころに読んでも、よく分からないかもしれません。でも成長して、他者との違いや孤独感を感じる瞬間が訪れたときに、ふっと心の隙間からおおかみが顔を出して‟自分だけが違っていても、仕方ないよね、だってそれが自分なんだもの“とささやいてくれることでしょう。おきまりの「け」と唱えながら。

出版社紹介:株式会社福音館書店

1952年創業。1956年に月刊物語絵本『こどものとも」を創刊し、以来『ぐりとぐら』『魔女の宅急便』といった創作絵本・童話や、『てぶくろ』や『エルマーのぼうけん』など海外の優れた児童書をたくさんの子どもたちに届けています。

ラオス語に訳された絵本

 

「絵本を届ける運動」では、翻訳絵本を作ってくださる方を募集しています。

参加のお申し込みはこちらから「絵本を届ける運動」


本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.318(2023年11月号)」に掲載した内容を元に再編集したものです。

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