2025.11.05

【ファインダーをのぞいて】What is your important item?

ファインダーを覗いて
ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ
連載企画

「ファインダーをのぞいて」は、シャンティが教育文化支援を行うアジア各地の様子を、フォトジャーナリスト川畑嘉文さんが写真でご紹介するコーナーです。

今回はタイ国境のミャンマー(ビルマ)難民キャンプでの川畑さんの思い出をご紹介します。


旧日本軍統治時代の紙幣

What is your important item? 「あなたの大切な物は何ですか?」

限られた世界で生きる難民たちは何を大切にしているのか、私はインタビュー時に尋ねるようにしています。
多くの方は「家族」と答え、物に限定すると「食べ物」が圧倒的に多いです。中には化粧道具や聖書、武器と答える男性もいました。印象的だったのが、ミャンマーの難民キャンプから本国に帰還したお婆さんが見せてくれたもの。それは、旧日本軍統治時代の紙幣です。なんとなく大切にしていたとのこと。メラ難民キャンプで出会ったお祖父さんの言葉を思い出しました。「日本の行ったことはもう忘れたよ。今はミャンマー軍が憎い」。
その後、おばあさんが暮らす地域は国軍による攻撃で紛争地となってしまいました。


当たり前ですが、食料は最も大切なものの一つです


生きる糧を与えてくれるという聖書
 

撮影者 川畑 嘉文(フォトジャーナリスト)

千葉県出身。ペンシルベニア州立大学卒業。専攻は国際政治。ニューヨークの雑誌社勤務時代に9.11を経験し、記者職を捨て写真の道に進むことを決意。会社を退職しタリバン政権崩壊後のアフガニスタンを訪れ取材を行った。2005年フリーランスのフォトジャーナリストとなり、世界中の難民キャンプや貧困地域、自然災害の被災地で貧困や難民問題、自然災害などをテーマに取材。
第39回JPS(日本写真協会)展金賞、第17回上野彦馬賞「九州産業大学賞」、DAYS国際フォトジャーナリズム大賞2017「パブリックプライズ」等、受賞歴多数。著書に『フォトジャーナリストが見た世界:地を這うのが仕事』(新評論)。

KawabataSelfphoto

 


「ファインダーをのぞいて」

本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.322(2025年11月号)」に掲載した内容を元に再編集したものです。

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