2020.08.19
あなたにできること

【特集】世界を変えるための17の目標 いま知っておきたいSDGsの話

SDGs

「持続可能な開発目標(SDGs)」という言葉は知っていても、SDGsとは何なのか、人に説明するのは自信がない、という方も少なくないのではないでしょうか。

近年「経営とSDGs」、「投資とSDGs」、「仏教とSDGs」など、さまざま分野や業界で使われているSDGs。企業や行政、NGOなど組織、国や地域の壁を越えて連携するための「世界共通語」ろも言われてます。2030年までに、世界が協力して達成しなければならない世界共通の目標について一緒に考えてみませんか?

持続可能な開発目標(SDGs)とは

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SDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のことで、世界の国々が話し合い、2030年までに世界が取り組むべき17の目標として2015年9月に国連総会で採択されました。この目標、実は新しいものではなく、2000年から2015年に掲げられたMDGs(ミレニアム開発目標)の目標や指標が含まれています。

MDGsは、開発途上国の貧困・教育・健康・環境などの改善に一定の成果を挙げたものの、世界共通の新たな課題への対応が必要となりました。そこで、MDGsを現状に即して拡張し、先進国と途上国を問わず、世界が一丸となって達成すべき目標を加え、新たに策定されたのがSDGsです。

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SDGsは、「17のゴール(目標)」と「169のターゲット(具体目標)」で構成されています。

貧困や飢餓、働きがい、経済成長、気候変動など、世界が抱えるさまざまな課題が網羅されているのが特徴ですが、決してバラバラに設定されたものではありません。

目標4 質の高い教育をみんなに」を達成するための取り組みは、知識やスキルを身に付け職業を得ることや、女子教育の普及などにつながり、貧困からの脱却(目標1)や女性の権利向上=ジェンダー平等(目標5)の目標達成にもつながります。

SDGsは課題の集合体であると同時に、相互に関連し合った包括的な目標でもあるのです。そして、この目標を達成するには、すべての国、企業、個人、あらゆる人々の協力と参加が不可欠です。

経済成長だけでは解決できない「社会」課題

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SDGsは、経済・社会・環境の課題を総合的に解決することの重要性が示されています。目標(=ゴール)1~6は、MDGsで掲げた「貧困課題の解決」を現状に即して拡張した目標です。1999年以来、約10億人が極度の貧困から脱していますが、2015年時点、約7億3600万人(*出典:世界銀行)が未だ困窮していると言われています。

目標2「飢餓をゼロに」

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栄養不良に陥っている人々は、2015年の7億7,700万人から2016年の8億1,500万人へ増大しています。世界にはすべての人が食べられるだけの十分な食料がありますが、毎年生産される40億トンの食料のうち3分の1が失われ、経済損失は年間7,500億ドルにのぼります。先進国では消費段階で廃棄され、途上国では貯蔵設備の整備不十分で、農家が作物を市場に届けられず、作物が手つかずの状態で無駄になっています。

今からトライ SDGs アクション!「食品ロス」を減らすエコレシピに挑戦!

日本では「食品ロス」(まだ食べられるのに捨てられている食べ物)が、年間約621万トン発生しています。日本人一人当たり、毎日お茶碗1杯分を捨てていることになります。食品ロスを減らすため、「エコレシピ」に挑戦してみてはいかがでしょうか。エコレシピは、多額の廃棄物処理コストを削減する取り組みとも考えられており、各市町村や行政が紹介するケースが増えています。

消費者庁は、各地方公共団体から寄せられた「食材を無駄にしないレシピ」を料理レシピサイト「クックパッド」で紹介しています。

消費者庁の公式キッチン【クックパッド】 簡単おいしいみんなのレシピ

目標4「質の高い教育をみんなに」

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幼児と思春期の子どもの過半数は、最低限の読み書きや計算能力を身に付けていません。2015年時点で、7億5,300万人の成人(15歳以上)が読み書きできない状態にあり、その3分の2が女性です(* 出典:「グローバル エデュケーション モニタリング レポート」2017/8、ユネスコ)。読み書きや計算ができないと、農業や保健衛生など生きるために重要な情報を得られず、良い職に就けず、貧困から抜け出せない原因にもなっています。

日本企業のSDGs取り組み事例 パナソニック株式会社「ソーラーランタン10万台プロジェクト」

世界で約12億人が電気のない生活を送っていると言われています。人々が直面する社会課題を解決するため、自社の技術や製品を活用し、人々の生活の質の向上に活用してもらう取り組みです。

シャンティは、ポル・ポト政権時代の影響で読み書きができない大人たちが通うカンボジアの夜間識字教室で、このプロジェクトを通じてパナソニックから寄贈されたソーラーランタンを利用しています。ソーラーランタンは、子どもの学習や成人の識字教育、安全な出産や治療、所得創出など、夜間のさまざまな活動に有効に活用されています。

【Voice】夜の識字教室で活用~シャンティ国際ボランティア会~ | 100 THOUSAND SOLAR LANTERNS PROJECT | Panasonic

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目標16「平和と公正をすべての人に」
目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」 SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

実は、SDGsを達成するための重要な機関の一つに図書館があります。目標16「平和と公正をすべての人に」に明記された情報への公共アクセスの確保により、人々が情報を活用して必要な知識を得ることで、生活を向上させることができるようになります。例えば、貧困や不平等の解消、農業の改善、質の高い教育の提供、文化の保護など、情報通信技術を活用することで、課題解決のための支援を進めることができます。

シャンティの活動地の一つ、タイ国境のミャンマー(ビルマ)難民キャンプでは、難民の帰還に向け、タイ・ミャンマーに関する情報を図書館に設置したパソコンや、図書館の前の掲示板に定期的に掲示した結果、難民自身が必要な情報を入手できるようになりました。掲示する情報は、難民キャンプ内の支援組織やミャンマー国内などから収集しています。図書館は多様な人や組織をつなげることで地域の人たちの未来の選択を広げています。

目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は、SDGsを達成するために必要なパートナーシップを定義した目標です。途上国だけでなく先進国を含め、官(政府)・民(企業/営利セクター)・市民社会(NPO/非営利セクター)のパートナーシップを強化することが盛り込まれています。

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SDGsとシャンティの関係

シャンティは、目標4「質の高い教育をみんなに」を実現するため、教育課題の解決に取り組んでいますが、学校へ通うことだけを目指しているわけではありません。識字や計算など働きがいのある仕事に就く可能性を高める「認知スキル」と、創造性や思考力、問題解決力、協調性など、社会で強調して取り組むために必要な「非認知スキル」を伸ばす学習の機会を提供しています。そして「目標4」だけでなく、SDGsのさまざまな目標・ターゲット達成に向けた取り組みを行っています。

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みんなでSDGsアクション!

シャンティは、SDGs達成に向け、みなさんにご参加いただけるアクションをご提供しています。個人での参加はもちろん、所属する企業団体学校単位でのご参加もお待ちしております。

クラフトエイド

伝統文化を守るため、伝統的な刺繍や柄を生かしたフェアトレード商品を開発し、販売しています。商品を購入することで、生産者が安定した収入を得られ、子どもたちがより良い教育を受けられるようになります。。

フェアトレードショップ「クラフトエイド(CRAFT AID)」

絵本を届ける運動

本は、知らない世界の扉を開き、時間を忘れて夢中になる楽しさ、たくさんの物語や言葉を知る喜びを教えてくれます。まだ本を知らないアジアの子どもたちに絵本を届けるため、日本語の絵本に現地語の翻訳シールを貼り、届ける取り組みです。

「絵本を届ける運動」

パネル貸出

学校の文化祭や社内イベントなどで、アジア各国での取り組みについて知ることができる「活動紹介パネル(PDF)」をダウンロードいただけます。ぜひ印刷してご活用ください。

活動紹介パネル ダウンロードのお申し込み

講演申込

「SDGs」はもちろん、アジア各国での図書館活動や学校建設、防災や緊急救援に関する取り組みなど、さまざまなテーマで講演依頼を受け付けています。。

講演を依頼する

イベント開催

企業や労働組合、図書館などでイベントを企画したり、「絵本を届ける運動」の体験会の実施も承っています。。

イベントを開催する

SDGsは「みんなで実現したい未来のカタチ」

SDGs が掲げる「誰一人取り残さない」持続可能な社会とは、どのような社会なのでしょうか。そのヒントは、シャンティの活動現場で見ることができます。

「死ぬまでに自分で本を読んでみたい」そう話すのは、カンボジアの農村で暮らすおばあさん。このおばあさんは、学齢期は貧困のため、その後はカンボジア国内の内戦から命を守るために逃げる日々を送り、戦争が終わった後は、家族を養うために懸命に働いた結果、学校に通うことができませんでした。しかし、シャンティがカンボジアで行う、コミュニティラーニングセンターの識字教室を皆勤賞で卒業。今では文字を指でなぞりながら、自分の力で本を読むことができるようになりました。

https://sva.or.jp/wp/?p=20977

ミャンマーでの内戦から逃れ、難民キャンプにたどり着いた家族。難民キャンプ内のコミュニティ図書館で、はじめて絵本に触れた女の子。他にも、各国で行っている学校建設により、村に小学校ができたことで、学校に通うことができるようになった子どもたちがたくさんいます。

数えきれない人びとの学びと人生を支えることができるのも、シャンティを通して多くの日本の方々の思いが現地に届いたからです。このようなつながりこそが、まさしくSDGsが目指す、一人一人が参画して作る未来なのではないでしょうか。

そして、その未来とは、シャンティの理念である、人間の尊厳と多様性を尊び、「共に生き、共に学ぶ」平和(シャンティ)な社会の実現そのものなのです。

2030年までにすべての目標を達成することは、とても大きなチャレンジですが、一人ひとりが行動すれば、実現したい未来に近づけることを信じ、引き続き一緒に歩んでいきたいと思います。

本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.298 (2019年冬号)」に掲載した内容を元に再編集したものです。
ニュースレター「シャンティ」は年4回発行し、会員、アジアの図書館サポーターに最新号を郵送でお届けしています。

「絵本を届ける運動」について詳しくはこちら

絵本を届ける運動 特設ページ

※公益社団法人シャンティ国際ボランティア会は特定公益増進法人の認定を受けています。
「絵本を届ける運動」の参加費はご寄付として、税制上の優遇措置(寄附金控除)が受けられます。