2019.06.25
絵本を届ける運動

「一日限定アジアフェスティバル」開催報告

図書館
活動風景
絵本
講演会報告

2019年6月8日、東京・上野になる「いいオフィス上野」をお借りして、「絵本を届ける運動」20周年記念「一日限定アジアフェスティバル」を開催しました。カンボジア、ラオス、アフガニスタン、ミャンマー、ネパール、ビルマ難民キャンプから各国のナショナルスタッフが参加し、トークセッションと、フリータイム「アジアの言葉を学んでみよう」の二本立てでお送りしました。

 

フリータイムでは、その他にも、各国の民族衣装の試着体験、クラフトエイド販売、アジアのティータイムやお菓子を楽しんで頂きました。

Life Story「なぜ教育に関わる道を選んだのか」スタッフの想い

トークセッションでは、各ナショナルスタッフたちがなぜ教育に関わる道を選択したのか、そして教育に対する思いを強く伝えてくれました。

ミャンマー|ヤンナイ

 

私は、仕事を通じてコミュニティーや子どもたちの支えになりたいと強く思っています。私の家族は、私がシャンティで活動することをとても嬉しく感じていますし、誇りに思ってくれています。私がシャンティで活動し続ける理由は、そのビジョンにとても共感しているからです。子どもたちの将来に貢献できることが、私の原動力になっています。私自身、シャンティで活動できることをとても誇りに感じています。これからも、周りと協力しながら、子どもたちのために働き続けたいと思っています。(アフガニスタン ジャヴィッド)

大学卒業後、「助けを必要としている人々と共に歩む」というシャンティの理念に共感し、私の国を支え続けようと決心しました。私の家族は、常にシャンティの活動を気にかけており、私がシャンティで働くことに幸せを感じ、感謝しています。アフガニスタンは、治安が不安定で、政府側のステークホルダーとのコミュニケーションにおける難しさ、深刻な交通渋滞など、課題は
は、シャンティの治安対策や、関係部門との連絡の円滑化に向けた取り組みを行うことで対処しています。また、家族のサポートもとても助けになっています。(ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所 イン)

私は14年間、難民キャンプで図書館での活動に参加しています。私は昔から、子どもと働くことが夢でした。シャンティで働くことは、私の夢とぴったり合いました。ここ数年、援助の減少など、難民キャンプの状況は不安定です。人員の削減などで、スタッフの負担が増えているという問題もあります。しかし、ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所のチームワークは素晴らしく、お互いに支え合っているので、困難も乗り越えることができると思います。ミャンマーでは、まだ難民たちが安心して家に戻ることのできる環境は整っていません。子どもたちは、不安定な先行きやさまざまな社会問題の中で、良い教育の機会を掴めずにいます。その中でも、私たちは図書館活動を通じて教育の機会を提供しようと奮闘しています。子どもたちは、「家に帰ることができたら、図書館も一緒に持ち帰りたい」と言っています。

ネパール|ビノッド

私は、2017年からプロジェクトマネージャーとして働いています。私は12人兄弟の10番目の子どもです。兄弟のうち学校へ進むことができたのは5人だけで、その中でも私は唯一大学まで行かせてもらいました。私にとって、教育に携わることは「働くこと」以上の特別なものを自身に与えてくれるものだと思っています。教育はあらゆる問題に対処するために必要な核心的なものだと強く信じています。貧困や、戦争、犯罪、差別等社会に存在する問題の多くは、教育の欠如の結果であると思います。この信念のもとで、私は教育分野で活動しようと決心しました。

Children’s Story「絵本を手にした子どもたち」

絵本の活動によってどのように子どもたちが変化し成長していったのかについても、お話がありました。ご参加された方々も、時折熱心に頷きながら、各ナショナルスタッフのお話に聞きいっていらっしゃいました。

カンボジア|フォン・ソフィさん(21歳)

フォン・ソフィさんは現在、医療系大学の5年生です。自由時間には、図書館で本を読んだり、絵を見たり、絵を描くことを楽しんでいます。小学生の頃は、読書が重要なものだとは思っていなかったそうで、純粋に読書を楽しんでいました。時間が経つにつれ、彼女はより正確に読む力を身に付け、新しい事を学んでいきました。ソフィさんは「本を読むために図書館へ行くことで、私はたくさんの知識を得ることができました」と言っています。彼女の人生は、読書によって大きく変化しました。彼女の家族は医学生となったソフィさんのことを誇りに思っています。

「図書館を建て、多くの本を提供してくださったシャンティに感謝しています。これらの支援によって、子どもたちは若いうちから読むことを学ぶことができます。たくさんの本を読むことによって、子どもたちは新しい知識を獲得し、記憶力を向上させ、単語力、書く力、コミュニケーション力、物事を批判的に見る力を養うことができるのです」

ミャンマー|マグ・ピョー・ティハさん(11歳)

彼は7歳から図書館に通い、図書館で開催されるコンテストで何回も受賞しています。将来は医者になりたいそうです。図書館には、8歳の弟や友人と一緒に来ています。彼は、本を読むことが大好きで、宇宙や科学の知識を得ることもできています。静かで安全な図書館は、彼にとって安心して本を楽しめる大切な場所です。彼は本の片づけなど図書館のお手伝いも積極的に行い、図書館事業を支えてくれています。図書館に通ううちに、さまざまな知識を身に付け、お母さんのどんな質問にも答えられるようになり、お母さんもとても喜んでいます。8歳の弟の良いお手本にもなっているようです。

ラオス|カムフォンさん(15歳)

現在15歳の男の子で、学校の友達に誘われたのがきっかけで、2014年から図書館に通っています。恥ずかしがり屋で、友だちも多くはなかったそうですが、図書館に通いはじめてからとてもアクティブになり、友だちも増えました。図書館のさまざまな行事に積極的に参加するようにもなったそうです。彼の家から図書館はとても離れていますが、図書館に対する気持ちはとても強いそうです。

15 years of change「15年の変化」

15年前に活動を開始したアフガニスタンは、未だ治安が悪く、日本人の渡航が制限され、日々の活動はアフガニスタン事務所のスタッフに託されています。そんなアフガニスタンの変化を紹介してもらいました。

シャンティの活動が始まる前は、学校に図書館はありませんでした。しかし、シャンティが図書館活動を始めると、さまざまなコミュニティーから図書館活動のオファーが舞い込んできました。私たちはリクエストを受け、バルフ、ヘラート、ラグマーンなど、シャンティが活動する地域以外でも、公共図書館への子ども用スペースの設置を行ってきました。

現在、学校に通う生徒の欠席率が下がってきています。子どもたちの間で本を読む習慣が広まり、目に見えて習慣が変化していきています。また、図書館や絵本はもちろん、教育に対する理解も進んでいます。子どもたちや教師たちは学びの価値を理解し、ますます多くの子どもたちが本を借りるようになりました。

現地スタッフが言葉の書き方や読み方をレクチャー「アジアの言葉を学んでみよう」

トークセッションの後、フリータイムを設けて、アジアの言葉を学ぶワークショップや、民族衣装体験、クラフトエイドの販売、アジアのお菓子と飲み物を提供するフリータイムを設けました。

 

アジアのお菓子付きティータイムは大盛況で、多くの方々に各国のティーやお菓子をご賞味いただきました。お茶を淹れるスタッフと皆様との間でも、ティーの話題を中心にお話が盛り上がっていたのが印象的でした。

各国のスタッフが先生となり、現地の言語の読み方や書き方をレッスンした「アジアの言葉を学んでみよう」も大好評でした。「こんにちは」、「ありがとう」、「私の名前は~」などの基本的な言葉の紹介だけでなく、文法や発音の説明など、かなり高度な内容に発展しているチームもありました。

言葉を教えるだけでなく、各国の様子や活動地の現状など、通訳を交えてコミュニケーションが交わされていました。

 

民族衣装体験では、各民族の衣装が用意され、子どもたちが積極的に参加してくださいました。皆さん、民族衣装がとても似合っていらっしゃいました!

また、クラフトエイドでは、各国・各活動地で作られたクラフトを販売いたしました。スタッフと皆様が、クラフトを中心に楽しげにお話をされていたのがとても印象的でした。

クラフトエイドの商品は「クラフトエイド|オンラインストア」でも好評発売中!

一日限定のお祭りを終えて

今回、一日限定のイベント全体を通じて、参加者の皆様がいきいきとお話されているのがとても印象に残りました。各活動地から来日したナショナルスタッフたちも、皆様ととても楽しそうにコミュニケーションを取っていました。これからもシャンティではさまざまなイベントを予定しておりますので、皆様のご参加をスタッフ一同楽しみにお待ちしております!

【イベント報告】
広報・リレーションズ課 吉野 梨沙

 

「絵本を届ける運動」について

絵本を届ける運動」は、ご自宅などで好きな時間に参加いただけるボランティア活動です。あなたの作った絵本が、アジアの子どもたちにとって、生まれてはじめて読む絵本になるかもしれません。

現地の言葉に翻訳したシールを絵本に貼っていただいた絵本は、シャンティ国際ボランティア会が活動している国や地域の学校や図書館などに配布します。シャンティは1999年からアジアの子どもたちへ「絵本を届ける運動」を行っており、2019年は活動20周年を迎えました。これまでに約31万冊の絵本をアジアへ届けてきました。