難民キャンプの校長先生の半生と思い
ハラゲー!(カレン語で「こんにちは」)ミャンマー国境支援事業事務所のウェンです。
難民キャンプが新型コロナウイルスの感染拡大で閉鎖される前の6月、メラウキャンプとメラマルアンキャンプで行われた四半期ミーティングに参加しました。 今日は、ミーティングの参加者の一人で、とても興味深い話をしてくれた方を紹介します。
(四半期ミーティングの参加者たち)
校長先生の半生
メラウキャンプ第1高校校長のサー・トゥー・サーさん、57歳です。彼は自分の人生について語り、どのようにしてキャンプに来たのかを話してくれました。サー・トゥー・サーさんは、カレン族で、生まれた時からミャンマーのカレン族が暮らしていた地域に住んでいました。彼と家族は、住む場所を何度も変えて逃げなければならなかったそうです。11歳のときには、戦闘、銃撃、村が焼かれるのを目の当たりにし、とても怖かったそうです。16歳のときには、彼と家族はタイとミャンマーの国境近くの村に移り、その後、2001年にはメコンカ難民キャンプ(現在のメラウキャンプ)に移りました。彼らは難民キャンプに来た最初のグループだったと言えます。
(コミュニティ図書館で本を手に取るサー・トゥー・サーさん)
彼は約20年も難民キャンプに住んでいますが、再定住プログラムには応募しなかったため、彼のような難民キャンプに最初に来た人とお話ができてとても興味深かったです。サー・トゥー・サーさんは、現在、家族と一緒にメラウキャンプに住んでいます。妻と9人の子どもがおり、一番上の子どもは現在25歳で、子どもたちは全員キャンプに住んでいます。海外に親戚がいるそうですが、彼はここがカレン族のコミュニティであると感じているので、海外に行きたいとは思わないそうです。教師として、生徒たちがより良い人間に成長し、卒業後はコミュニティをより良くするためのサポートや発展のための取り組みができるようになってほしいと願っているそうです。
難民キャンプにおける教育の変化
サー・トゥー・サーさんは、メラウキャンプに来る前の1986年から学校で教えており、キャンプでの教師歴は20年以上になります。彼は、現在のキャンプ内の教育は以前と同じではなく、教育支援が少なくなっていると言います。新型コロナウイルスの発生後は、キャンプ間の移動が制限されたため、教員研修もできなくなっています。このパンデミックが起こったことで、学校や教員は、新しい教育ツール、新しい教え方、そして新しいクラスの形に適応し、工夫しなければならなくなったと言います。
難民キャンプのコミュニティ図書館の重要性
彼は難民キャンプに来た最初のグループなので、2000年初めのメコンカキャンプや、その後できたメラウキャンプでのコミュニティ図書館の様子について聞きました。
「当時はメコンカキャンプの図書館で本を読んでいました。メコンカキャンプがメラウキャンプに移ってからは、絵本の読み聞かせや絵画コンテスト、SVAのスタッフによる活動(人形劇、絵本の読み聞かせ、レクリエーション)など、図書館での活動が増えました。また、図書館から依頼を受けて、学校で絵描きコンテストに参加する生徒を選んだことも覚えています。」
(サー・トゥー・サーさんが働く高校の図書館。本が古く、有効に活用されていないため、SVAスタッフやTYV(図書館ユースボランティア)がサポートして、改善を目指しています。)
コミュニティ図書館についてどのように感じているか、聞いてみました。
「SVAが難民キャンプに図書館を設立したことは、キャンプやコミュニティの人々にとってとてもいいことだと思います。また、私たち教員にとってもいいことです。数学や科学などの試験を作るためのガイドブックのようなものはなく、試験を作ることに苦労していましたが、図書館には参考書やさまざまな本があるので、先生方は試験を作るために必要な情報を得ることができています。
生徒たちは学校に通っているだけでは学校の外の情報を得ることができないので、図書館で本を通してさまざまな情報に触れることができるので、彼らの教育にとっても非常に有益だと思います。
長年コミュニティ図書館を通じた教育支援をご支援してくださっている皆様に感謝いたします。」