震災3周年を迎えたネパール
ネパール事務所の三宅隆史です。9,000人が亡くなり、708,000世帯が家を失った2015年4月25日に起きたネパールの震災から3年が経ちました。上の写真は世界遺産のパタンの旧王宮の様子です。倒壊を避けるために建造物を棒で支えています。2018年4月26日、復興の進捗についての会合をネパール政府復興庁と日本の国際協力機構(JICA)が開きました。
復興の進捗は以下の通りです。
震災から3年が経過したネパールの復興状況
・家屋を再建できた人は15%にすぎない。60万世帯が今も仮設の家屋で暮らしている。家屋を失った世帯に30万ルピー(33万円)を政府は支給しているが、少なくとも60万ルピーが家屋再建に必要なため、貧困世帯は自己負担額を捻出したり、借金をしたりすることが難しい。
・倒壊した7,553の校舎のうち、3,613校(48%)の再建が完了し、1,692校(22%)が工事中。今後2,221校の再建が必要。多くの学校は住民組織である学校運営委員会によって再建された。
・病院や保健所など1,197施設が被害を受けた。680施設は再建が完了し、94施設が工事中。423施設の再建が必要。
・寺院などの文化遺産は753件が被害を受けた。100件は再建が終了し、329件が工事中。294件の再建が必要。
政府は当初、3年間で復興を完了する予定でしたが、このように復興はまだ途上にあります。特に被災者の家屋の再建は重要な課題です。シャンティの支援対象の村でも下の写真のようにトタン屋根の仮住まいの世帯が大多数を占めています。
2月末に工事が完了した校舎建設の竣工式で住民代表は「私たちの家の再建は進んでいないが、校舎が再建したことは大きな希望と励みになった。家屋や生活の再建に努力していきたい」とおっしゃていました。当会は校舎の再建と学校防災の強化の支援を続けていきます。
シャンティによるネパールでの活動
シャンティは地震発生から5日後に現地入りし、緊急救援を開始しました。復興の遅れや震災前にもあった経済的な理由による子どもの学校離れに対し、2017年に首都カトマンズに事務所を設置し、地震の被害が大きかったヌワコット郡にて、学校建設や図書活動を通じた防災教育と、子どもたちの心のケアなどを行ってきました。