2012.07.24
海外での活動

コミュニティ図書館マネジメント研修(理想の図書館とニーズ調査)開催!

ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ
活動風景

皆さん、こんにちは。ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所の小野です。

私たちは、難民キャンプの図書館関係者に対して、様々な研修活動を行っていますが、この時期、「図書館マネジメント」をテーマにした研修が始まりました。(別名は「図書館管理・運営研修会」とも言います)

まず、7月17、18日はタムヒン、19、20日はバンドンヤンの両キャンプで実施。参加者は図書館委員会や図書館員にかかわらず、女性同盟、青年同盟、教員、図書館ボランティアなどが各所20名程度集まってくれました。

「マネジメント」と言っても内容はとても広いので、今回、「研修ファシリテーター」を任された私は内容構成に悩んだ末、以下の二つを選びました。

(1)現在の図書館スペースを知り、理想の図書館を描く
(2)利用者のニーズを知る方法を学ぶ(とりわけ教育関係者)

実は、昨年、コミュニティ図書館の概念とニーズ調査の方法に関する研修会を一度やりました。しかし、新しい参加者も多く、また前回はちょっと難しかったとのこと。今回は、昨年の
復習とレクチャーに偏らない構成にしてみましたが、反応はどうだったでしょう?

ちなみに、(1)は帰還した際に誰か一人でも図書館の担い手になってほしいという願いも込めて、(2)は今後のSVAの事業展開に必要な視点なので、ということからの設定です。

以下の写真は、バンドンヤンキャンプの様子です。

まず、1日目は、簡単なオリエンテーションの後、現状の図書館を知ろう、ということで、巻尺を持って片っ端から建物を測り、10分の1の縮尺で見取図を作ってもらいました。

そして、改善点をいろいろと出し合った後、いよいよ理想の図書館の見取り図に挑戦。2つのグループに分かれて行いましたが、イメージ作りに、インターネットからいろいろな国の図書館の写真をプリントアウトしたものを見てもらいました。(電気がないので直接プロジェクターで見せたりできないのです)

結構もめることなく、着々と出来上がっていきました。大人の部屋はもっと広く、パソコンも入れてインターネットにアクセスできて、学生用の自習スペースもほしいな・・・。みんなの理想がかなり近いのか、どんどん理想の図書館が出来上がっていきました。

2グループともユニークなものになりましたが第1グループは、学生の利用を割と主眼にしたレイアウト、第2グループは子どもの発達のためにプレイルームもあることが特徴(上の写真は第2グループの例で、右側半分が子ども用スペース)。もちろん、憧れの(!)電気がふんだんにある環境が大前提です。

1日目は、「理想の図書館」の夢を見て眠ってもらいましたが、2日目は現実に戻っていただきました。以下のような調査票を使って、教育関係者に聞き取り!今の図書館を少しでもよいものに改善ということで、図書館の、「建物」「図書」「図書館員」「サービス」「その他」に関して自由回答をしてもらいました。

「1人で3人の人に聞き取ってきて下さい。1時間半ありますが、大丈夫でしょうかね」という問いに「大丈夫ですよ」。

もうしわけなかったのですが、事前に用紙を用意できなかったので、ノートやA4の紙に調査票を自分でメモってもらいました。

ほとんどの人たちが言葉通り、予定の時間でノルマを終えて戻ってきました。やはり昼ご飯があったからかな?なんて言ってはいけませんね。その後はすぐグループシェアリングに入り、プレゼンとなりました。

総勢、51人の人たちにインタビューできました(!)。2グループとも同様でしたが、図書に関しては膨大なリクエストをもらいました。歴史、宗教、政治、科学、英語、職業訓練などいろんな本をもっと置いてほしい。禁帯出図書を貸してほしい、などリアルなものがありました。一方、子どもに直接聞き取りできなかったこともあるのかもしれませんが、子どもの図書が足りないという反応はひとつもなかったです。やはり、このへんは、「絵本を届ける運動」もあるSVAの力の入れ具合が物語っているかも。建物関係では、お花畑、トイレを男女分けて、なんていうのもありました。

最後にはみんなで集合写真。図書館を実際に測ったり、見取り図を書いたり、調査結果をまとめたり、ふだんあまりやったことがない作業を楽しんでやってくれた参加者の皆さん。お疲れ様でした。今後、同じ研修を全てのキャンプでやるので、結果はまとめてまた全キャンプにフィードバック、そしてもちろん、SVAの今後の事業展開にも生かしていくつもりです。

研修はあと、5ヵ所のキャンプでも続きますよー。どんな成果がでるのか、お楽しみに。

小野