楽しく学ぶ、幼稚園教員向けワークショップ
チョムリアップスオ、皆さまこんにちは。
さて、カンボジアの幼児教育事業ですが、先日、専門家として協力を頂いている社会福祉法人天竜厚生会の皆さん(通称:チームカンボジア)の現場指導をバッタンバンで実施しました。コロナ禍で日本とカンボジア間の渡航がなかなかできない状況が続いていましたが、ようやく!実現しました。
現在実施中の事業の対象の幼稚園教員、関係者への研修やモニタリングなどを通して、専門家からの直接的な指導が必要だと思われるポイントを基に今回の現場指導での指導内容を検討しました。カンボジアの幼児教育関係者(教員研修のトレーナーなど)を対象に、3日間のワークショップを実施しました。先生たちが体験的に楽しく学び、ワークショップ参加後に実践してみたいと思えるような活動にしました。
ワークショップ1日目。
子どもの姿や言葉を丁寧に見て、子どもの思いや行動を知ることで、子どものことを良く知り、それらを体験的な活動(遊び)の中に活かしていくには?またカンボジアの幼児教育では、どうやって実践できるか?といったことを参加者に考えてもらいました。
次に、体験の時間です。ネイチャーゲームやカモフラージュ、草花での色水遊び、魚釣りなどの活動の事例が、子どもたちのどういった育ちに繋がるか、どんな工夫で実践できるかを紹介しました。その後に、参加者には子どもになったつもりで実際に製作に取り組んでもらったり、遊んでもらったりしました。
参加者が自分の身の回りで集めてきた植物で、色水を作ってみました。
お魚と釣竿をつくって、遊んでみました。
参加者の先生たちも楽しそうです。「遊び=ただ楽しいだけではなく、子どもたちにとっては学び」、「先生が楽しいと子どもたちも楽しい」といったことを繰り返しお伝えし、理解してもらうようにしています。
2日目は、幼稚園での実践です。訪日研修に参加した幼稚園の先生が、自分が学んだことを取り入れて模擬活動を行いました。他の参加者はその活動中、子どもたちの間でのやりとりやつぶやき、表情や行動を観察してもらいました。そして、みんなで振り返りを行いました。そして、参加者全員に、遊びや体験を取り入れた活動案を作成してもらいました。
花輪をつくっている子どもたち。お友達と協力して一生懸命取り組んでいます。
参加者にとっては、チームカンボジアの皆さんの子どもたちへのまなざしからも、気づきがあったかと思います。
3日目。最終日の前半は、2日目に作成した活動案の模擬実践です。ワークショップ1日目ににチームカンボジアが実践例として紹介したカモフラージュ、魚釣り遊びをカンボジア流にアレンジして実践しました。
カモフラージュ。自然の中に隠したものを見つける遊びです。なかなか見つけられなくて、何度も花壇に戻って粘り強く探そうとする子も。こういった子どもたちの姿も大切にして欲しいものです。
こちらのクラスでは、カモフラージュ遊びで見つけたものを使ってお店屋さんごっこ。売り物にハエが寄ってこないように団扇で扇ぐ真似をしたり、電子決済のまねっこをしようとしたり、カンボジアの日常生活が垣間見えるお店屋さんごっこでした。
別のクラスでは魚釣り遊びを実践。ハサミを使って精巧に切るのは難しかったようです(先生にとっては、次の活動の改善につながると思います)が、頑張りました。
お魚が完成したらチーム対抗で釣ってみます。他のチームを応援したり、取ろうと決めたお魚が取れるまであきらめずに頑張ったり、わずかな時間の中でも色々な子どもの育ちが見られました。
ワークショップの最後には、保育ドキュメンテーションの手法を用いて、午前中に観察した模擬活動の振り返りをしました。どのグループも、子どもの姿を肯定的に捉えた振り返りが出来ていました。
作成したドキュメンテーション。
カンボジアの幼児教育の実態に、必ずしも日本の実践がそのまま適用できるわけではありません。また、日本の事例をそのまま適用することも100%正解ではないと思っています。一方で、「遊び」を取り入れていくことはカンボジアのカリキュラムの中にも記載されています。私たちも、現場の状況を見ながら、チームカンボジアと協力して、どうやったらカンボジアの皆さんにも遊び自体が学びであることを伝え、実践につなげてもらうのかを日々考えています。
今回このようなワークショップを実施し、多くのカンボジアの幼児教育関係者に、自分自身が遊びを楽しんでもらい、そのメリットを体感してもらえたのではないかと思います。是非職場に持ち帰って日々の活動に取り入れたり、他の幼稚園に紹介したりしてもらえれば良いと思います。
長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
※この事業は国際協力機構(JICA)草の根技術協力事業や皆様のご支援により実施されています。
カンボジア事務所 石塚