2024.09.07
海外での活動

カンボジア 移動図書館活動「読む喜びを届ける旅へ」

カンボジア

こんにちは、カンボジア事務所のボリーです。

農村部の村々の青々とした原っぱから太陽が昇る頃、私たちの移動図書館車両は出発します。これは、子どもから大人まで様々な年代の人々に、読む喜びを届ける旅です。

 

 

移動図書館活動は、私たちが年間を通じて毎月実施している活動です。バッタンバン州やポーサット州、バンテイミンチェイ州、シェムリアップ州、コンポントム州、オッドーミンチェイ州といった、カンボジアの各州におけるへき地の村々を訪れます。今年は「読書推進活動」として実施されているこの移動図書館活動ですが、加えてカンボジア事務所が取り組んでいる「幼児教育事業」や「学校建設活動」とも組み合わせることで、数多くの対象地で行っています。

 

 

移動図書館活動は、学校と家庭の両方で読書の習慣が根付くよう、学校や地域を対象に行われています。また農村部では、読書がいかに子どもたちの教育に良い影響を与えるのかを地域ぐるみで理解してもらうため、地域の人々とも協力して行っています。保護者には、子どもたちが家事や農作業をするだけでなく、家庭で本に触れられる機会を持つことができるよう、声掛けするようにしています。移動図書館活動を通じて、私たちは子どもたちとその家族が本に親しみ、生活がより豊かになり、地域社会の可能性を引き出して明るい未来を切り開くことができるよう努めています。

 

 

この活動では、農村部の子どもたちにその場での読書を促すだけでなく、既存の学校図書館の利用促進にも取り組んでいます。私たちは子どもたちをよく観察し、それぞれの子どもが持つ興味関心に合うような本をおすすめするようにしています。そうすることで、子どもたちの読書体験はより実感を伴うものになります。声に出して本を読んでいる子どももいて、子どもたちが読書を好きになっていく様を間近で見ることができます。

 

 

ある地域を訪問した際には、私たちは地元の小学校に学校図書館がないことを知りました。普段本に触れる機会がほとんどないにも関わらず、子どもたちは移動図書館車両によって運ばれてきた本に一目散に駆け寄り、夢中になって読んでいました。この様子を見て、地域の方もこの活動が意義のあるものであると感じたそうです。

 

 

さらに僻地の地域を訪問すると、さらなる課題が見つかりました。読み書きが困難な大人が少なくなく、多くの大人がタイに出稼ぎに出ていたりして、教育の重要性があまり理解されていないようです。私たちは学校運営委員会などとも協力し、大人たちに子どもや孫を学校に通わせるよう働きかけました。こうした状況下で教育の重要性を伝えていくことは、簡単ではありません。しかし私たちは、活動を通して教育の普及への種を蒔くことができたように思います。

 

 

学校訪問では、読書の楽しさを知ってもらうよう工夫して活動しています。多くの子どもが、「移動図書館活動のあとも、学校の図書館でもっと本を読んでみます」と言ってくれます。読書だけでなく、読み聞かせや折り紙などのアイスブレイクを行うことで、子どもたちが読書習慣を身につけ、学び、生きていくのに必要な力を引き出すことができればと願っています。

 

※シャンティ カンボジア事務所の取り組みは、Facebookでもご覧になることができます(クメール語):https://www.facebook.com/p/SVA-Cambodia-100080144510961/