ネパール:『先住少数民族地域における基礎教育改善事業』を開始しました
みなさま、こんにちは。事業サポート課の杉戸です。
この度、シャンティ国際ボランティア会ネパール事務所では『先住少数民族地域における基礎教育改善事業』を開始しました。
本事業は、ネパール東部コシ州サンクワサブハ郡のマディ自治体およびダルマデヴィ自治体を主な対象地域とし、社会的に不利な立場に置かれた子どもたちが通う公立校において、基礎教育の質の改善を目指すものです。
事業開始にあたり、自治体や教育関係者、学校関係者などとのキックオフ会議を実施し、事業の目的や活動内容について共有しました。今後3年間にわたり、学校・家庭・地域・行政と連携しながら、子どもたちの学びを支える環境づくりを進めていきます。

シャンティとパートナー団体らが参加した事業開始会議の様子
対象地域における教育の課題
ネパールでは基礎教育の就学率は向上しているものの、子どもたちが十分な学力を身につけられていないことが課題となっています。特に、読み書きや計算など、その後の学習の土台となる『基礎的な学び(Foundational Learning)』の定着が十分でない子どもも少なくありません。
本事業の対象地域であるサンクワサブハ郡は、ヤカ、ライ、リンブー、タマンなどの先住少数民族が多く暮らす山岳地域です。州都から離れたアクセス困難な地域であり、教育分野への支援も限られています。
また、多くの学校では老朽化した校舎や不十分な水・衛生設備など、安全で快適な学習環境が十分に整っていません。中には地滑りや土壌浸食の影響により、壁や床に亀裂が生じた危険な校舎を使用している学校もあります。

地滑り等の影響により亀裂が生じた対象校の校舎
教室内の設備や教材も十分とは言えず、子どもたちが学習に集中できる環境づくりが求められています。

対象校の教室の様子
学習環境の改善と教育の質の向上に向けて
本事業では、校舎や水・衛生設備の建設・修繕、家具や教材の整備を通じて、安全で快適な学習環境の整備を進めます。
現在、対象地域の中核校2校では新校舎の建設工事が進められています。これらの学校は地域の教育を支える重要な役割を担っており、安全な学習環境の整備が課題となっていました。

マディ自治体の対象校における校舎建設工事

ダルマデヴィ自治体の対象校における校舎建設工事
今後は校舎整備に加え、水・衛生設備の改善や家具・教材の整備も進め、子どもたちが安心して学べる環境づくりを進めていきます。
子どもたちの学びを支える先生・保護者・地域の力
本事業では、施設整備だけでなく、教員の能力強化や学校・家庭・地域の連携強化にも取り組みます。
教員を対象に、子どもたちの主体的な参加を促す『子どもにやさしい教授法』や就学前教育、読み聞かせや読書推進に関する研修を実施し、多民族・多言語環境の中でも子どもたちの理解や意欲を引き出す授業づくりを支援します。
また、学校運営委員会や保護者、地域住民を対象とした啓発活動を通じて、幼少期からの学びの重要性や家庭での関わりについて理解を深める機会を設けます。

学校関係者や保護者を対象とした啓発研修の様子
教育の質の向上は学校だけで実現できるものではありません。子どもたちが安心して学び続けるためには、家庭や地域の理解と協力も不可欠です。本事業では、学校・家庭・地域が連携しながら子どもたちの成長を支える仕組みづくりを進めていきます。
子どもたちの未来につながる学びを
読み書きや計算といった基礎的な力は、その後の学習だけでなく、将来の進学や就労、生涯にわたる可能性にも大きく影響します。先住少数民族地域で暮らす子どもたちが安心して学び、自らの可能性を広げられるよう、地域の皆さまとともに取り組みを進めていきます。
本事業は『日本NGO連携無償資金協力事業』として、日本の皆様のご支援により実施しています。今後も活動の様子をお伝えしていきますので、引き続きご支援・ご声援をよろしくお願いいたします。
最後にシャンティ国際ボランティア会では、ネパールをはじめアジア各地で発生する災害への緊急人道支援も実施しています。各地での洪水災害への対応については、以下をご覧ください。
事業サポート課 杉戸


