【世界の現場から AIR MAIL】Fromラオス事務所
シャンティ国際ボランティア会は、アジア6カ国8地域に事務所をかまえ、教育文化支援を行っています。各国、各地の海外事務所から、現地の状況やシャンティの活動についてご紹介します。
今回は、1992年の事務所設置以来、学校建設や絵本出版・配布など広く教育活動を行ってきたラオス事務所から、現地の様子をお伝えします。
さまざまな意見が飛び交い、驚きや学びのある現場
約27年間のラオスでの支援事業の中で、特徴的なのが謄写版の配布です。すべての小学校8000校以上に配布したことで、黒板や教科書などがほとんどなかった当時の学校で貴重な資材となりました。これまでラオス事務所では、学校建設、複式授業運営改善事業、移動図書館活動、絵本出版・再版を行ってきました。活動を行う上で、みんなで協力しながら物事を作り上げていく過程はとても面白く、事務所内では年齢や肩書きに関係なく自由に意見を言い合える雰囲気があります。さまざまな意見が飛び交い、日本人と異なるラオス人の考え方を耳にすることで、さまざまな驚きや学びがあります。
Hot Topics
1.新しい事業地
複式学級運営改善事業の第2フェーズで対象となるポントン郡は、ルアンパバーン市から車で約7時間。学校によっては中心部から4~5時間かかります。へき地にこそ支援が必要なため、当地での活動に力を入れています。
2.札幌で複式授業の研修を実施
2018年9月、ラオスの教育スポーツ省職員や教員養成校教官など8人のラオス人を招き、北海道教育大学と協力して研修を行いました。日本の複式授業の現状などに関する講義、小学校の視察、指導案の作成や模擬授業を実施。みんな熱心に新しいことを学んでいました。
3.新たな学校建設を開始
2018年11月から2校舎の建設を開始。児童数に比べ使用できる教室数が足りず、老朽化した校舎を使用したり、約70人の児童が1教室で勉強したりしています。新校舎完成後は、児童たちがより良い環境で勉強できるようになります。
4.学校での移動図書館活動
2018年から移動図書館の対象地をパクセン郡の小学校に変更。各校で、絵本の読み聞かせや、ゲームやクイズなどを取り入れ、楽しみながら学べるようにするとともに、先生方にもそのやり方を研修と実践を通して引き継いでいます。
取り残されがちな子どもたちへ良質な教育環境を
ラオスの公式民族数は50。事業地へ向かう車窓からは様々な民族の家や生活が見られます。この数年で経済成長が進み、教育環境も改善されつつありますが、地域や民族によって差が出ています。教育スポーツ省の発表で、教育状況が良くない層に、「貧困層・少数民族・遠隔地の住民」の三者が強調されており、多くは同じ人々です。このような、取り残されがちな子どもたちへの支援を継続して行っていきたいと考えています。
「世界の現場から AIR MAIL」
本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.299 (2019年春号)」に掲載した内容を元に再編集したものです。
※ニュースレター「シャンティ」は年4回発行し、会員、アジアの図書館サポーターに最新号を郵送でお届けしています。
シャンティは、子どもたちへ学びの場を届け、必要としている人たちへ教育文化支援を届けています。引き続き、必要な人へ必要な支援を届けられるよう、月々1,000円から継続的に寄付してくださる「アジアの図書館サポーター」を募集しています。