2021.10.21
読み物

【寄稿】カンボジアの人々と共に(手束耕治)

カンボジア
ニュースレター
連載企画

年4回発行しているニュースレター「シャンティ」に寄稿いただいたシャンティと深く関わりのある方からの記事をご紹介します。

シャンティ国際ボランティア会 専門アドバイザー
手束耕治 カンボジア宗教省仏教研究所 顧問

カンボジア事務所の始まり

2021年、カンボジア事務所は開設30周年を迎えた。
1991年3月、秦、名倉、手束の3名がプノンペンに到着。市内のホテルの小さな1室に事務所を開設し、活動を開始した。教育省管轄下のプノンペン市教育局職業訓練所をカウンターパートに決め、事業計画書を提出。印刷出版活動を中心にした教育・文化の復興支援事業の始まりである。

カンボジアは1975年から約4年間続いたポル・ポト政権下で、教員の8割を含む多くの知識人が殺された上に、1979年に政権が崩壊した後も、東西冷戦の影響で内戦が続き、復興が遅れた。シャンティがプノンペンに事務所を開設した当時はソ連からの援助がストップして、カンボジアは国家崩壊の経済的危機に面し、人々の生活は窮乏を極めていた。

カンボジアの人々の熱心な支え

しかしながら、人々は不安の中にも内戦の終結と和平の到来に希望を抱き、私たちの活動に熱心に参加してくれた。
振り返れば、昼夜を問わず働いてくれた第1号スタッフ。灼熱の太陽の下で職業訓練所建設に関わってくれたワーカーたち。日本人スタッフの厳しい指導に応え、非常な努力で印刷・職業訓練所をカンボジア随一のセンターとした所長とその職員。道なき道を行き、地方の学校に図書館活動を普及したスタッフ。初めて読み聞かせと絵本の世界を自ら体験し、感動して、子どもたちにそれを伝えてくれた先生方。その先生方を励まし、サポートしてくれた図書館活動の良き理解者である教育省や地方の教育局の熱血職員。厳しい南方上座部の戒律を守りながら、慈悲と智慧をもって村人を助ける活動に率先して取り組んだカンボジアの僧侶の方々。

2008年2月、プノンペンのスラムを巡る移動図書館活動
プノンペン最大スラムでの移動図書館活動(2008年撮影)

2011年1月、初めての紙芝居、バンテイミンチェイ州チョムニック小学校ソックリー校長
バンテイミンチェイ州の小学校校長による初めての紙芝居(2011年撮影)

30年、そしてこれからも共に歩む

30年にわたり、皆さんと共に多くの子どもたちや村人に、我々の活動を通じて生きる力を届けてきたが、それはまだほんの一部でしかない。和平から開発、経済発展を迎えるカンボジアであるが、まだまだ困難な状況下にいる人々のことを忘れてはならない。これからもカンボジアの人々と共に生き、共に学びながら、シャンティの目指す社会の実現に向かって一歩一歩着実に進んでいきたいと思う。

本寄稿記事とニュースレターについて

本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.311 (2021年夏号)」に掲載した巻末言「道」の内容を元に再編集したものです。※ニュースレター「シャンティ」は年4回発行し、会員、アジアの図書館サポーターに最新号を郵送でお届けしています。

【寄稿】東日本大震災から10年―伝える心意気―(早坂文明)
【寄稿】ともに学ぶ(藤谷 健)
【寄稿】笑顔とテレビの間を埋めたい(高田博嗣)

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