映像「本の力を、生きる力に。」
今日は、シャンティの動画の紹介です。
「タイ国境のミャンマー(ビルマ)難民キャンプ」
皆さんは知っていますか。
ミャンマーは1948年にイギリスから独立して以降、少数民族と中央政府、国軍の対立は70年以上にわたって続いています。1970年代後半から、戦闘や人権侵害を逃れて少数民族の人々がタイ側へ流出し、公式には1984年に難民キャンプが設立されました。2011年3月民政移管によって民主化に向け舵がとられており、これをきっかけに難民たちの帰還がおこなわれていました。
しかし、2021年2月1日に軍事クーデターが起きました。
再び軍の支配が行われ、難民キャンプで生活する人々の帰還の見通しはつかなくなってしまいました。
難民キャンプでは自分の国を知らずに生まれ育った子どもたちが全体の3~4割以上占めています。
難民キャンプで生活をする人にも、生きる喜びを伝えたい。
シャンティは2000年から活動を模索しながら、2014年にタイ国境のミャンマー(ビルマ)難民キャンプに事務所を設立し、図書館活動等を通して絵本を届ける運動を行っています。
本動画は、難民キャンプで生活する3人と絵本の物語です。
1.絵本が教えてくれた、だれもが夢を描き、夢を叶えることができること
学校が終わったら、毎日図書館に行くと話すエッ・ブルー・トーくん。
彼は一度も難民キャンプの外に出たことがありません。
ポプラ社出版「ねずみくん おおきくなったら なにになる?」を見ながら、こう話します。
「ねずみくんは歯医者さんになって、自分よりも大きな動物の歯をなおすんだ。夢は叶うんだ。」
彼もまたきっと、絵本の中のねずみくんのように、自分の得意なこと、やりたいことを見つけて、その夢を叶えることでしょう。絵本がそっと彼の背中を後押ししてくれてるように感じます。
2.絵本は大人と子ども、みんなの笑顔の源
次の主人公のタ・ティさんは2007年に戦果を逃れて、難民キャンプへやってきました。
今は図書館員として難民キャンプで絵本の読み聞かせをしています。
絵本の読み聞かせを始めると、子どもたちの笑顔が見られるので、この瞬間が日々の疲れを忘れるときだと話します。
「絵本はいつも私たちを癒してくれます。」
素敵な笑顔でそう話してくれるタ・ティさん。子どもたちだけではなく、大人までも笑顔に変えてしまう絵本の存在はかけがえのないものですね。
3.絵本は私たちの生きる可能性を広げてくれる
マージーさんは「もし読み書きができたら、標識も読めるし、行きたいところに行けたと思う。」と話します。
マージーさんは読み書きができません。
マージーさんの娘さんは図書館に出会って、文字が読めます。娘さんがマージーさんに絵本を読んでくれます。
マージーさんも娘さんも、絵本に出会ったことで可能性が広がりました。日常生活をほんの少し離れてみると、自分の世界を広げることができます。
いかがでしたか。
絵本を初めて見たとき、心躍る気持ちを抑えきれなかったあの高揚感、そしてお気に入りの絵本を見つけたとき、その絵本を食い入るように読んでいた経験は皆さんの子どものころの記憶にもあるのではないでしょうか。
シャンティの活動の代表ともいえる「絵本を届ける運動」では、これまで20年以上各地に絵本を届けてきました。
特に、難民キャンプで生活する人々にとって絵本はなおさら心のよりどころです。難民キャンプを出たあとも、人々が自主的に生活できるように、絵本に触れることはそれを事前に育むことができると考えています。
最後までご覧いただきありがとございました。
こちらの動画を視聴することもあなたができる支援の一つです。
また、ミャンマー及びタイ国境のミャンマー(ビルマ)難民キャンプの活動内容は弊会ホームページより、また2022年6月刊行の「シャンティ」では、ミャンマーの今を特集としてまとめております。こちらも併せてどうぞご覧ください。
いつも温かいご支援に心より感謝申し上げます。
担当 広報・リレーションズ課