世界の絵本を読んでみよう 「白鳥とカメ」カンボジア
シャンティ国際ボランティア会は、良質な本が少ないアジア各国・各地域で独自に制作した絵本を出版しています。子どもたちに質の高い絵本を提供できるよう、現地の作家やイラストレーターを対象とした専門家による研修を実施したり、少数民族たちに口頭で伝承されてきた民話などを絵本にまとめる活動を行っています。
今回は2002年カンボジアで出版した絵本「白鳥とカメ」をご紹介します。
1.カメの住んでいる池にいつも遊びに来る白鳥の夫婦がいました。カメと出会った白鳥は、カメに自分たちの友達になってくれるように言いました。そうして、白鳥とカメは長い間一緒に暮らしました。
2.しかし、時がたち、その池の水が干上がってしまったのです。カメは白鳥に言いました。「白鳥さん。私はもうこの池に住むことができません。どうぞ私のためにほかの池を見つけてください」。
3.白鳥は言いました。「分かりました。私たちが、水とハスの花があふれるヒマラヤの大きな池へ、空を飛んでお連れしますよ。カメさん、どうぞこの枝をかみつづけてください。どんなものを見ても、音や声を聞いても、何も言ってはいけません。空の旅は危険ですから」。
4.そうして白鳥はカメを連れて、ヒマラヤに向かい飛び立ちました。しばらく空を飛んでいると、子どもたちが、カメを運んで空を飛ぶ白鳥を見つけました。そして大きな声で言いました。「あ!白鳥がカメを捕まえて、巣で食べようとしているよ」。
5.それを聞いたカメは怒って「子どもたちは本当のことを知らないのだ。白鳥さんとは仲が良いし、水のたくさんある大きな池に私を連れて行ってくれるんだと、子どもたちに話そうと口を開けました。すると、カメが口を開けた瞬間、カメは地面へ落ちてしまいました。
6.白鳥の言うことを守らなかったカメは、危険な目に遭ってしまったのです。そのまま白鳥は遠くへ飛び去ってしまいました。
「世界の絵本を読んでみよう」シリーズ
本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.317 (2023年6月号)」に掲載した内容を元に再編集したものです。
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