ネパール医療物資支援開始～コロナ重症患者を救いたい～

ネパール

シャンティは6月4日からネパール、ヌワコット郡の病院に医療物資を供与する緊急人道支援事業を開始しました。ネパールではインドでの感染拡大の影響を受け、新型コロナウイルスの感染者数が増加しています。シャンティの事業地の一つ、ヌワコット郡の行政と病院から、不足している医療物資を支援してほしいという要請がネパール事務所に届きました。

病院には大勢の重症患者が続々と搬送されてきていますが、人工呼吸器や酸素ボンベ、ICU用ベッドなどの医療機器や物資が足りていないことが、命に関わる重症患者への治療が滞る大きな原因の一つとなっています。シャンティは、新型コロナウイルスの重症患者が適切な集中治療を受けられるように、医療機器と医療物資を支援します。本事業はシャンティの初めての医療分野の支援です。専門家の方にご助言をいただきながら、事業を進めています。

本事業の詳細：
【COVID-19】ネパールで新型コロナウイルス対策への緊急医療物資支援を開始

供与予定の医療物資；
人工呼吸器、酸素ボンベ、ICU用ベッド、輸液ポンプ、血中酸素濃度測定器、検査キット、防護服など

ネパール事務所スタッフ、ビノッドさんからのメッセージ

ビノッドさん

本事業に携わるプログラム・マネージャーのビノッドさん

「シャンティはこれまでネパールで教育分野の支援を行ってきましたが、昨年から新型コロナウイルスの感染拡大が最も大きな問題となり、教育は二の次になってしまっています。今まさに、ネパールの人々の命が脅かされているからです。子どもたちの幸せのためにも、医療分野の支援がとても重要なので、本事業を開始しました。私の周りでも、家族や親せきが新型コロナウイルスに感染し、亡くなっています。他のスタッフも同様に、家族や親せき、友人など身近なとても近しい人たちを亡くしています。子どもたちも身近な人を亡くしたり、ロックダウンで親が失業したり、学校の閉鎖により、教育の機会を奪われ、強いストレスと経験したことのない困難な環境にさらされています。

現在の感染拡大の第二波は、感染者数やその症状、医療の逼迫状況や経済へのダメージなど、第一波よりもずっとひどくなっています。変異株の流行が始まっており、今後の状況の悪化が心配です。ネパールの保健省も先日、危機的な状況にあることを発表しています。高齢者から中国製のワクチン接種が進んでいますが、多くの人々が様々な面でネパール政府への不満を訴えています。

事業対象地のヌワコット郡はタマン族という先住少数民族が多く暮らす貧しい山岳農村地域です。私も同様の山岳地域の少数民族出身なので、ヌワコット郡の人々が医療サービスにアクセスすることがどれだけ難しいかよく知っています。医療体制が脆弱な地域で、新型コロナウイルスが猛威をふるっています。一人でも多くの患者さんを救うため、一日でも早く医療物資を病院に届けたいと思います。コロナ禍の前から、日本の皆さまにはネパールに対し、計り知れないほど大きなご支援をいただいてきました。コロナ禍においても日本政府や日本の皆さまからたくさんのご支援をいただき、深く感謝いたします。」

ヌワコット郡とシャンティ

シャンティは2015年のネパール大地震の発生に対し、被災者支援の緊急救援事業をきっかけにネパールへの支援を開始しました。本事業の事業地でもあるヌワコット郡を中心に、仮設校舎の設置などの緊急救援事業を実施しました。その後、外務省NGO連携無償資金協力の助成を受け、ヌワコット郡と隣郡のラスワ郡で被災した小学校の防災能力強化事業を実施し、耐震構造の校舎の建設や防災研修、防災教育紙芝居の出版などを行いました。

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