ラオス 教員の学びを次の実践へ フィードバック研修を実施しました!
サバイディ(こんにちは)。
今回は、7月から8月にかけて実施した「フィードバック研修」の様子をご紹介します。
その前に、今回の研修がどのようなプロセスを経て計画・実施されたのかについてお伝えします。
フィードバック研修の計画と実施に至るまで
今回のフィードバック研修は、昨年末に実施した教員研修後の教員による取り組みと成果を振り返り、さらなる実践力の向上を目指して実施したものです。
昨年の教員研修の様子については、以下の記事をご覧ください。
ラオス 教員研修を実施しました!| 活動内容 | 公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会(SVA)
第1回研修の終了後、本事業では約6か月にわたり、教員の取り組み状況を遠隔で継続的にモニタリングしてきました。さらに3月には、対象となる全22校を訪問し、ラオス語の授業観察を実施しました。
授業観察には、教育スポーツ省や県・郡教育スポーツ局、教員養成校の関係者が参加し、各校における授業実践の状況や課題について確認しました。
授業観察の様子については、以下の記事をご覧ください。
ラオス 子どもたちの学びと笑顔のために―村民と教員が進める読書推進と教育開発の現場| 活動内容 | 公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会(SVA)
ラオス 山岳地域の教室から ― ラオス語授業の変化とこれから| 活動内容 | 公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会(SVA)
モニタリングや授業観察を通じて収集したデータ、そして教員への聞き取りから見えてきたのは、少数民族の子どもたちのより良い学びを支えるための授業改善のポイントと、教員が日々の授業の中で直面しているさまざまな課題でした。
これらの結果をもとに、7月には教育行政関係者とのフィードバック会議を開催しました。会議では、後に実施されるフィードバック研修の目的や内容について丁寧に協議を重ね、参加する教員が自らの実践を振り返りながら、ラオス語指導力の向上につなげられるよう研修プログラムを検討しました。
また、今回の研修では、兵庫県立大学の乾美紀教授から専門的な知見を共有いただく機会も設けました。
乾教授のプロフィールについては、以下をご覧ください。
リンク:ラオスの教育 | 兵庫県立大学 環境人間学部 人間形成系 乾美紀 | 姫路市
乾教授は、本事業の開始以降、これまで2度にわたり対象校のラオス語授業を視察してきました。今回の研修では、その授業観察を通じて見えてきた成果や課題、さらなる改善に向けた提案について発表いただき、参加者が自身の授業実践を客観的に振り返る貴重な機会となりました。また、振り返りを基に、自らの授業改善のためのアイディアを出し合い、それをグループまた全体に共有しました。
このように、多様な関係者の協力と知見を結集しながら、フィードバック研修のプログラムが完成しました。
フィードバック研修の様子
フィードバック研修は、ルアンパバーン県のムンゴイ郡とポンサイ郡で、それぞれ夏休み期間を利用して5日間にわたり実施されました。対象22校から参加した教員数は合計59名にのぼり、多くの教員が学びを深める機会となりました。
研修は、大きく「講義」と「実践」の2つの要素で構成されました。講義で学んだ内容を、その場で実践し、振り返る。このサイクルを繰り返すことで、学校へ戻った後の授業改善につなげることを目指しました。
講義では、参加者たちは熱心に講師の話に耳を傾け、重要なポイントをノートに書き留めたり、スマートフォンでスライドを撮影したりしながら学びを深めていました。また、講師を務めた教育スポーツ局の職員たちは、自身の教育現場での経験や、これまでの研修で共有された好事例、他校の教員の実践例などを交えながら説明を行い、参加者の理解を促していました。
実践セッションでは、参加者がグループに分かれ、テーマに沿った協議を実施しました。その後、それぞれのグループが授業案を作成し、授業で活用できる指導技術や教材活用の方法を実際に模擬授業形式で試しました。
参加者同士が意見を出し合いながら授業づくりに取り組む姿が随所で見られ、活発な学び合いの場となりました。
研修に参加した先生たちの声
今回の研修では、先生方から、子どもたちの学びを支える新しい工夫をたくさん得られたという声が寄せられました。CPDの計画の作成をきっかけに、アムクーン先生(30代、女性)は「授業終わりのまとめを工夫したり、授業中にさまざまなアクティビティを導入したりすることで、子どもたちが授業のねらいを達成しやすくなる」と感じ、次の学期には本研修での学びを可能な限り取り入れていきたいと語ります。先生同士でのブレインストーミングを通して、シタッス先生(30代、男性)は「子どもたちが楽しみながら学べる活動を取り入れ、民族の言葉も交えながら理解を深めることが大切」と話し、すべての子どもがラオ語を読めるようになることを願っています。先生たちの温かな思いが、子どもたちの未来を明るく照らしていくのだと感じます。
学びを継続するために
研修の最後には、各学校が次学期に実施する「学校ベースのCPD(継続的な職務能力開発)」の計画を作成しました。CPDは、教員同士が授業を見学し合ったり、教材研究を行ったりしながら、継続的に指導力の向上を図る取り組みです。
今回の研修で学んだ知識や教授法を一過性のものにせず、それぞれの学校で実践し、改善を重ねながら定着させていくことが期待されています。
本事業では今後も、教育行政機関や学校との連携を通じて、少数民族の子どもたちがより良い学習環境の中で学び続けられるよう、教員の指導力向上を支援していきます。
本事業は、JICA草の根技術協力事業の助成によって実施しています。
2026年夏期NGO海外研修プログラム参加者の紹介
サバイディ!
8月10日よりシャンティ国際ボランティア会ラオス事務所にて約1カ月間のNGO海外研修プログラムに参加しています、西村太一と申します。
まずは、簡単な自己紹介をさせていただきます。私は東京にある大学に通っている学生で、人間工学という分野を専攻しています。私はこの分野での学びを言語学習に応用できるのではないかと考え、このプログラムに参加しました。
さて、今回は、ポンサイ郡で8月10日から14日にかけて行われたフィードバック研修を見学しました。私は2日目の午後からの参加でしたが、先生方が授業の進め方を学び、準備し、実践し、振り返る一連のプロセスを観察することができました。先生方はリラックスした雰囲気の中でも学ぶ意欲にあふれ、互いに意見を交わしながら授業改善に取り組んでいました。その姿から、人と人とが向き合うことが学び合う上で大切だと改めて実感しました。近年ではデジタル面の発達が凄まじく、個人でも学習を進めることが非常に容易になりました。しかし、そのコンテンツ作成のような裏側にも人が関わっており、結局人は人から教わることが学習というものの根底にあるのだと感じました。「人」という漢字は学習者と教員が支えあっているものなのかもしれないと思わされた出来事でした。
さらに、現地教員や教員養成校、教育スポーツ局職員への聴き取りを通じて、ラオス語教育の課題を知ることができました。主な要因は以下の3点です。
1. 学校外でラオス語を使う機会がほとんどなく、学習内容が定着しにくいこと
2. 視覚的・触覚的な教材が不足しており、理解を深める機会が限られていること
3. 複式学級や指導スキル不足など、地方の教員環境が過酷であること
これらの課題について、具体的な案はまだありませんが、人間工学の視点から教材や環境の改善に貢献できるのではないかと考えています。また、このインタビューを通じて、通訳が必要なときの意味伝達や質問構成の難しさを実感しました。今回の見学とインタビューの経験を、一種の知見として終わらせるのではなく、今後の研究やインターン活動に活かしていきたいと思います。
ラオス事務所















