ファインダーをのぞいて「カンボジアの今と昔 ~変わりゆく景色と経済発展がもたらすもの~」
「ファインダーをのぞいて」は、シャンティが教育文化支援を行うアジア各地の様子を、フォトジャーナリスト川畑嘉文さんが写真でご紹介するコーナーです。
今回は「変わりゆくカンボジア」がテーマです。
プノンペンの高層ビル群。川を挟んだこちら側にはイスラム教徒たちの暮らす貧しい地域がある。
カンボジア取材を終えて
2019年3月、シャンティの今昔物語をテーマにカンボジアへ取材に行かせていただきました。
私自身が同国を初めて訪れたのは10年以上前のこと。バンコクから長距離バスでシェムリアップに移動したのですが、国境を越えた途端悪路に変わり、タイとの格差を実感しました。
当時のカンボジアは暗い雰囲気を漂わせていた気がします。今の煌びやかな様子を見ると隣国との経済格差も多少は縮まり、恩恵に預かる人々も多そうです。
ただ、一概に経済的発展を喜ぶことはできません。「物価が上昇して生活は苦しくなるばかり」とは、プノンペンのスラムに暮らす女性の台詞です。弱い立場の人々を置き去りにしては本当の発展とは言えません。これからがこの国の正念場といえるでしょう。
プール付きルーフトップバーから望んだプノンペンの夕景
経済発展は貧しい暮らしをさらに苦しいものにすると不満を述べた女性
撮影者 川畑嘉文(フォトジャーナリスト)
千葉県出身。ペンシルベニア州立大学卒業。専攻は国際政治。ニューヨークの雑誌社勤務時代に9.11を経験し、記者職を捨て写真の道に進むことを決意。会社を退職しタリバン政権崩壊後のアフガニスタンを訪れ取材を行った。2005年フリーランスのフォトジャーナリストとなり、世界中の難民キャンプや貧困地域、自然災害の被災地で貧困や難民問題、自然災害などをテーマに取材。
第39回JPS(日本写真協会)展金賞、第17回上野彦馬賞「九州産業大学賞」、DAYS国際フォトジャーナリズム大賞2017「パブリックプライズ」等、受賞歴多数。著書に『フォトジャーナリストが見た世界』(新評論)。
「ファインダーをのぞいて」
本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.301(2019年夏号)」に掲載した内容を元に再編集したものです。
・ファインダーをのぞいて「ネパールのどぶろく、チャン」
・ファインダーをのぞいて「ミャンマー(ビルマ)難民キャンプでの邂逅」
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