辺境のキャンプに灯る学びの明かり – バンドンヤン難民キャンプ
こんにちは、ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ事業事務所のウェンです。
前回はタムヒン難民キャンプの様子をご紹介しましたが、今回はカンチャナブリ県サンクラブリ郡に位置するバンドンヤン難民キャンプについてご紹介します。
バンドンヤン難民キャンプは、1997年5月、紛争の影響により各地から避難した人たちによって設立されました。
現在、約2,580人が暮らすバンドンヤン難民キャンプは、タイ国内のミャンマー(ビルマ)難民キャンプの中で最も人口が少ないキャンプです。キャンプの名称「バンドンヤン」は、かつてゴム農園だったこの地域の旧称「トン・ヤン」(又は「ドン・ヤン」)に由来しています。時を経て、この名称はキャンプの正式名称となり、今日に至っています。
2003年にシャンティによって初めて設立されたコミュニティ図書館は、キャンプ内の1棟の図書館棟から始まりました。

バンドンヤン難民キャンプで第一号となるコミュニティ図書館の開館セレモニー
翌年には、子どもたちや地域住民の利用機会を拡大するため、2棟目となるコミュニティ図書館が建設されました。2010年にその内1棟が閉鎖され、現在は残った1棟の図書館がキャンプ内で唯一の学習スペースとして多くの人びとに愛されています。
ここは、放課後に子どもたちが集まって読書をしたり、学びにつながるアクティビティなどをする重要な場所であり続けています。

コミュニティ図書館で子どもたち同士で読み聞かせをしている様子
バンドンヤン難民キャンプは、山間部のアクセスが困難な場所にあります。カンチャナブリ県の町サンクラブリからの距離は約30キロメートルに過ぎませんが、キャンプまで荒れた曲がりくねった林道が続き、特に雨季には道路状況が悪化します。そのため、シャンティのスタッフが現地を視察する際には、同じターク県南部のタムヒン難民キャンプへの訪問と合わせ、天候や道路状況、移動手段などを慎重に確認したうえで日程を組んでいます。こうした厳しい立地条件のもとでは、キャンプで暮らす人びとが外部の教育機会や情報に触れ、安心して交流できる場所は限られています。だからこそ、身近な場所で本や学びに触れ、人びとがつながることのできるコミュニティ図書館が、キャンプの中で大切な役割を担っています。
バンドンヤン難民キャンプのコミュニティ図書館は、図書館員や図書館青年ボランティアがキャンプ委員会、図書館委員会、教師たちと協力して主体的に運営しており、遊び、学び、集うための安全で有意義な場所であり続けています。バンドンヤン難民キャンプは都市部から遠く離れ、インターネットや携帯電話の通信環境も十分に整っていません。それでも、通信が可能な場所や時間帯を活用し、音声やテキストメッセージを送ることのできるメッセンジャーを通じて、コミュニティ図書館の運営に携わるスタッフと連絡を取り合っています。離れた場所にいても日々の業務を支え、チームとしてのつながりを保つための大切な手段となっています。

コミュニティ図書館の運営スタッフが本を検品する様子
こうした日々のやり取りを重ねるなかで、図書館の活動だけでなく、スタッフの目を通して、バンドンヤンという土地ならではの特徴も見えてきます。コミュニティ図書館のスタッフたちに、バンドンヤンに来て最も興味深いと感じたことを尋ねたところ、多くの人がキャンプのすぐ目の前にミャンマーとの陸続きの国境があることを挙げました。スタッフのほとんどはミャンマーにいた頃、川を隔てた国境しか見たことがなかったため、陸続きの国境を目にすることが新鮮だったといいます。
ひとくちにミャンマー難民キャンプといっても、それぞれの土地が歩んできた歴史や土地、そこで暮らす人びとの背景によって、文化や暮らしのあり方はさまざまです。コミュニティ図書館は、そうした多様な人々が学び、交流し、つながりを育む場所でもあります。
これからも、図書館で活動する人々の声とともに、それぞれの難民キャンプで営まれている暮らしや文化、そしてコミュニティ図書館が果たしている役割をお伝えしていきます。
ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ事業事務所 ウェン


