2026.06.27

【特集】学びの種を蒔き続けて~カンボジア35年のあゆみ~

「シャンティ」特集記事
カンボジア

内戦終結後の復興支援を目的に、シャンティがカンボジアで活動を初めてから35年。2000年代以降、外国投資の拡大による経済発展を背景に、国の姿は大きく変化してきました。その一方で、貧困や国境地域の緊張など、いまなお多くの課題が残されています。シャンティのこれまでの活動を振り返ります。

1991年 カンボジア事業のはじまり

過激な共産主義を掲げるポル・ポト政権下で、数十万人が隣国のタイに難民として逃れました。シャンティは難民キャンプで教育文化支援を行いながら、内戦によって傷ついたカンボジアの復興を支援するためカンボジア国内でも活動を開始しました。

プノンペン事務所前にて

1992年~ カンボジア難民キャンプからの帰還

1992~1993年、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)の下でタイ国境の難民約36万人が帰還しました。当時最大級の帰還事業として国連主導で帰還と再定住支援が進む中、シャンティは難民キャンプで亡くなられた方々の遺骨帰還にも携わり、尊厳の回復と心の復興に寄与しました。

1992年3月 難民帰還第一陣

 

学校建設

建設した校舎・園舎 303校

学校を子どもたちが安全安心な環境で学ぶことができる場にするため、州教育局や軍教育局と協力して建設地を設定し、新校舎を建設しています。

新校舎での授業の様子

 

伝統文化活動

復刻した仏教書など 89,102冊/154タイトル

1970年代の内戦により仏教寺院が破壊され、焚書により仏教の書物が失われました。カンボジア宗教省・仏教教育局、仏教研究所、寺院らと協力して、職員研修や図書館研修を実施しました。また仏教の経典や書籍を復刻しました。

トリピタカ(仏教における「経蔵・律蔵・論蔵」の3つの教え(三蔵)を指すサンスクリット語)をカンボジア高僧へ贈呈する日本贈呈団

1993年~ 

出版活動

出版した絵本 370,500冊129タイトル、出版した紙芝居 3,500冊44タイトル

ポル・ポト時代に多くの書物が破壊され、焼かれたため、1990年代初頭にはクメール語で書かれた本は数も種類も限られ、とりわけ子ども向けの本はほとんどありませんでした。そこで昔はなしや民話の中から子ども向けのお話を選び、絵本の出版を開始しました。

出版された絵本を読む子どもたち

 

読書推進

移動図書館利用者数 532,424冊、図書館・図書室設置数 669館/室

子どもたちが絵本と出会う機会をつくるため、移動図書館活動を開始しました。

移動図書館活動の様子

2016年~

幼児教育

「遊びを通した学び」の研修63回、建設・修繕した園舎 7棟

幼児の心身の発達を育む「遊びや環境を通した学び」と取り入れた幼稚園活動を実践できるよう、教員研修、環境整備、保護者への幼児教育理解促進活動などを実践しています。

園児と先生のごあいさつ

カンボジア避難民支援活動|カンボジア・タイ国境紛争

2025年、カンボジア・タイ国境での度々の軍事衝突により戦闘地域が拡大。同年12月25日時点で最大約64万人の避難民が発生し、国境の村の家屋、病院、学校、市場などが損壊する被害がありました。シャンティではカンボジア西部の3州で緊急書道調査・緊急支援活動を実施しました。

避難所にテントが並んでいる様子

絵本を読む避難所の子どもたち

まとめ

35年の歩みの中で出会った子供たちは大人となり、親となり、次の世代へと学びをつないでいます。シャンティのカンボジア人職員も世代交代を重ねながら、その理念と共に学びの種を蒔き続きています。蒔いてきた種は地域に根を張り、確かに広がっています。これからも「共に生き、共に学ぶ」という理念を大切にしながら、教育と文化の力を通じて、尊厳と信頼に支えられた平和な社会づくりに向けて歩みを続けてまいります。

カンボジア事務所所長 菊池礼乃

(写真撮影:川畑嘉文)


特集「学びの種を蒔き続けて~カンボジア35年のあゆみ~」

本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.323 (2026年6月号)」に掲載した内容を元に再編集したものです。
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