カンボジア

内戦後の復興事業を経て、幼児教育の基盤整備と、生涯学習機会の拡充を支援しています。

活動の背景

30年近く続いた内戦が終わり、経済発展を遂げる一方、
都市と農民の経済格差が広がり、読み書きができない子どもやおとながいます。
小学校の約65%は教室不足のため、
午前と午後の2部制で授業が行われているのが現状です。

活動内容

貧困や非識字の問題が深刻なカンボジア農村部で幼児・初等教育の基盤整備と
生涯学習機会の拡充のための支援を行っています。

学校建設事業

1991年に国境帰還難民及び国内避難民の定住促進のため開始しました。子どもたちが楽しく学び、未来に夢を持つことができる場にするため、州教育局と協力して学校建設地を選定し、地域の人が計画から盛土作業などのプロセスに関わる住民参加型で実施しています。2020年末までに、280校を超える学校を建設しました。
※2012年にドリーム小学校事業に変更となりました。

公立幼稚園における幼児教育の質の改善事業

子どもたちが継続して教育を受けられる環境を整備し、貧困から抜け出すための方策の一つとして、世界的にも注目されているのが幼児教育です。現在幼稚園への就園率は低い水準にとどまり、幼い子どもの発達を促進するための適切な幼児教育・保育が不足しており、このことは初等教育にも悪影響を及ぼしています。そこで、子どもたちが「楽しく、遊びや経験を通して学ぶ」幼稚園づくりを目指した教員研修を行っています。また効果的な教授法(おはなし、教材制作、遊び、場づくり)や幼児にとって魅力的な教室環境を導入し、幼児教育の質を改善しています。

読書推進活動

読書は、 子どもが言葉を学んで表現力を高め、創造力を豊かなものにし、生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものです。カンボジア事務所はその設立以来、学校図書館の設置・運営や読書推進活動に取り組んできました。この長年のノウハウを生かして、現在は都市部と農村部の両方において読書推進活動を実施しています。都市部では他団体とのネットワークを通じて読書推進のための活動や研修会を行い、農村部では他事業と連携して移動図書館活動や絵本配布、保護者向けの研修会を行うことで、子どもたちが本に触れることのできる機会を届けています。

これまでの活動内容

1991年に事務所を開設した時は、政情も落ち着かず、内戦で人々の心は疲れきっていました。
そんな中、教育行政担当者や村人と連携し、図書館活動、学校建設などのプロジェクトを進めてきました。

図書館活動を中心とした コミュニティラーニングセンター(CLC)事業
コミュニティ図書館(CLC)を設立し、日常的に本や文字に触れる機会を提供することで、識字の向上を図りました。また住民のニーズに合わせて、識字教室や農業・衛生研修、スポーツ・文化活動も開催しました。
図書館事業
教員を対象とした研修を開催したほか、図書館建設や常設図書館の運営も行いました。また読み聞かせを披露する全国おはなし大会を1995年から毎年開催しました。
住民参加による学校図書館運営事業
学校を対象に、学校図書館の運営についての研修や図書の配布などを行いました。また、支援対象地域の住民を対象に、学校図書館への理解を深めるための会合などを行いました。
文化事業
ポル・ポト政権の焚書により失われた仏教の経典や書籍を復刻しました。2011年までに154タイトル、89,102冊を復刻し、カンボジア全国の寺院、仏教学校、関係省庁、図書館などに配布しました。
伝統文化事業、仏教学校における図書館推進事業
カンボジア宗教省・仏教教育局、仏教研究所、寺院らと協力して、職員研修や図書館員研修を実施しました。
スラムのコミュニティ図書館事業
地域学習センターとしての機能をもつ簡易図書館を建設し、識字能力やライフスキルを身に付ける成人教育プログラムを実施しました。
移動図書館活動
絵本を積み込んだ移動図書館車両で対象地域の学校やプノンペン郊外のスラム地域を訪問し、移動図書館活動を行いました。
統合的社会開発事業
コメ銀行、コミュニティ図書館・託児所建設、植林、灌漑(井戸、ため池)、寺院の伝統楽団復興といった複合的な事業を行いました。
アジア子どもの家事業
「子どもの家」プロジェクトを実施しました。またプノンペンの幼稚園教員養成学校の中に、社会教育・福祉のモデルとなる施設を建設し、運営しました。
人材育成事業
日本・カンボジア友好職業訓練所の建設が完了し、印刷、木工、電気、裁縫、刺繍の職業訓練を行いました。またプレイコンクラー職業訓練所が建設されました。

スタッフ紹介

カンボジアで働くスタッフを紹介します。

プノンペン事務所
所長
菊地 礼乃
プノンペン事務所
経理 / シニア・コーディネーター
ライム
プノンペン事務所
経理 / アシスタント・コーディネーター
ソリダ
プノンペン事務所
総務 / コーディネーター
ソフィアビー
プノンペン事務所
テクニカル・サポート / アシスタント・コーディネーター
ロアット
プノンペン事務所
ドライバー
ソケナ
プノンペン事務所
ドライバー
サムウン
プノンペン事務所
クリーナー
フーイ
バッタンバン事務所
フィールド事務所マネージャー / シニア・コーディネーター
ヴィスナー
バッタンバン事務所
幼児教育事業 / コーディネーター
モンクラ
バッタンバン事務所
学校建設、幼児教育事業 / プロジェクト・スタッフ
フーン
バッタンバン事務所
幼児教育事業 / プロジェクト・スタッフ
ファリナ
バッタンバン事務所
幼児教育事業 / プロジェクト・スタッフ
ティヴォン
バッタンバン事務所
学校建設事業 / プロジェクト・スタッフ
ボリー
バッタンバン事務所
テクニカル・サポート / エンジニア
ソンバット
バッタンバン事務所
総務・経理
スレイネット
バッタンバン事務所
ドライバー
ソッキア
バッタンバン事務所
ドライバー
ナット
バッタンバン事務所
クリーナー
ダー
プノンペン事務所
アドバイザー
手束 耕冶
図書館活動を中心とした コミュニティラーニングセンター(CLC)事業

内戦の影響により、教育の機会を失ったカンボジアの農村地域の住民の多くが読み書きに困難を抱え、日常生活に支障をきたしています。子どもからおとなまでが集い、学ぶことにできる生涯学習の拠点として、コミュニティ図書館(CLC)を設立し、日常的に本や文字に触れる機会を提供することで、識字の向上を図りました。また住民のニーズに合わせて、識字教室や農業・衛生研修、スポーツ・文化活動も開催しました。「楽しく、快適、実践的」なプログラムを通して、住民の自立を支援してきました。

図書館事業

本事業は1993年、学校や村を回る移動図書館と、絵本や紙芝居の出版から開始しました。学校や州教育局の要請により、教員を対象とした研修を開催したほか、図書館建設や常設図書館の運営も行いました。のべ1,500人を超える教員、図書館員を育成しました。また読み聞かせを披露する全国おはなし大会を1995年から毎年開催し、約2,600人が参加しました。
※2012年に住民参加による学校図書館運営事業に変更になりました。

住民参加による学校図書館運営事業

カンボジア教育省は、すべての学校が一定条件の整った学校図書館を設置することを求める「小学校図書館スタンダード」を制度化しましたが、限られた予算や技術的な問題から、学校図書館の運営は困難な状況に置かれていました。そこで、学校を対象に、学校図書館の運営についての研修や図書の配布などを行いました。また、支援対象地域の住民を対象に、学校図書館への理解を深めるための会合などを行いました。

文化事業

ポル・ポト政権の焚書により失われた仏教の経典や書籍を復刻しました。2011年までに154タイトル、89,102冊を復刻し、カンボジア全国の寺院、仏教学校、関係省庁、図書館などに配布しました。また1995年に行われた「トリピタカ(南伝大蔵経)」復刻の際に行われた贈呈式は、シアヌーク国王(当時)も臨席する国家式典となりました。さらに仏教研究所の再建、僧侶と村の開発に関する研修の開催、植林活動なども行いました。

伝統文化事業、仏教学校における図書館推進事業

カンボジアでは1970年代の内戦により、仏教寺院の多くが破壊されました。戦後の復興と発展において、仏教寺院と僧侶は大きな役割を果たしてきましたが、近年の経済発展の陰で、寺院に併設される仏教学校、図書館の復興、僧侶をはじめとした人材の育成は遅れていました。そこで、国の自立発展を目指してカンボジア宗教省・仏教教育局、仏教研究所、寺院らと協力して、職員研修や図書館員研修を実施しました。

スラムのコミュニティ図書館事業

事業実施当時プノンペンには推定700ものスラムがあるといわれ、住民は劣悪な生活環境に置かれていました。特に教育面では、子どもだけでなく若者や成人における教育レベルと識字率の低さが深刻な問題となっていました。そこでスラムの人々の生活を改善するために、地域学習センターとしての機能をもつ簡易図書館を建設し、識字能力やライフスキルを身に付ける成人教育プログラムを実施しました。

移動図書館活動

カンボジアには学校図書館や公共図書館が少なく、子どもたちが本に触れる機会が多くありません。そこで読書を推進するため、絵本を積み込んだ移動図書館車両で対象地域の学校やプノンペン郊外のスラム地域を訪問し、移動図書館活動を行いました。

統合的社会開発事業

1998年から2002年まで、コメ銀行、コミュニティ図書館・託児所建設、植林、灌漑(井戸、ため池)、寺院の伝統楽団復興といった複合的な事業を行いました。また地域との協力体制を強めるため、セミナーなども開催しました。

アジア子どもの家事業

1995年から2005年まで、「子どもの家」プロジェクトを実施しました。またプノンペンの幼稚園教員養成学校の中に、社会教育・福祉のモデルとなる施設を建設し、運営しました。さらに、子どもが自由に利用できる図書館やプレイルームを設置し、読み聞かせや人形劇などの活動も行いました。日本やカンボジア国内におけるカンボジア人職員を対象とした研修も行われました。
※2005年に幼稚園教員養成学校に引き継ぎました。

人材育成事業

1992年、日本・カンボジア友好職業訓練所の建設が完了し、印刷、木工、電気、裁縫、刺繍の職業訓練を行いました。
※2003年12月に支援を終了し、プノンペン市教育局に移管しました。

1993年、国境からの帰還難民、国内避難民の生活向上のためプレイコンクラー職業訓練所が建設されました。開設当初は陶芸など焼き物の技術訓練を行っていましたが、社会の変化に合わせて洋裁・養蚕・養魚などの訓練も行いました。
※2003年3月に支援を終了し、バッタンバン州教育局に移管しました。